東京水辺ライン【4】(2009/05/30)
江戸東京ぶらり旅 - お台場付近:
お台場海浜公園を出発すると、かつて13号埋立地と呼ばれていた青海地区を横目に見ながら進んでいく。この辺りには船の科学館や大江戸温泉物語などがある。
※2025年註:船の科学館は本館が閉鎖され、大江戸温泉物語はいつの間にか閉館していた。借地権の更新が出来なかったためらしい。
青海地区の先端から中央防波堤との間の運河を左折して進む。更に青海地区に沿って左に曲がり、更に10号埋立地との間にある運河を進む。
その辺りから正面方向にお台場地区の大観覧車が見えてきた。こうして海から眺めるのはもちろん初めてだが葛西臨海公園の大観覧車にも引けを取らない巨大さだ。
※2025年註:この観覧車も今は昔。16年の間に随分と風景が変わってしまっているので、もう一度この船に乗って同じ場所を定点撮影してみたいものだ。
そして今度はお台場・有明地区に沿うように右に曲がる。その突き当りにあるのが東京ビッグサイトだ。現在はサブカルの祭典が開催される場所として非常に有名な物件である。
こうして見ると改めて異様なデザインの建物だなと思う。土地が広くてのびのびと建物が建てられる埋立地ならではの施設だ。
そのビッグサイトの袂に有明発着場がある。ここは殆ど乗り降りがなくすぐに出港。
江戸東京ぶらり旅 - 中央防波堤:
さて、ここまで時折霧雨程度の雨が降ることはあったものの、服が濡れるほどの降雨には至らずに済んでいる。ただいかんせん気温が低い。ずっと水辺を航行しているうえ、海風も吹いてくるのだからまぁ当然といえば当然なのだが、やはり長袖1枚ではどうにも寒い。徐々に手がかじかんでくるようになったので、とうとう船内の自販機で温かいお茶を買ってしまった。飲む前にカイロ代わりに手で握ったり首筋にあてたりして暖を取った。船内に入れよという指摘はノーサンキューだ。
船は運河を南下し、再び正面に中央防波堤が見えてくると今度は左に曲がって、ひとしきり有明、新木場、若洲、中央防波堤に囲まれた広い海域を通過する。
その中央防波堤だが、防波堤という名前に反してごみ処理施設となっている。これは元々単なる防波堤だった場所に隣接した海域をゴミ処分場として埋め立てたためだ。ここは現在も埋め立てが続けられているので民有地とはなっておらず、地番が付けられていないので未だに中央防波堤という通称で呼ばれている。
※2025年註:現在は埋め立て完了した区域において江東区海の森、および大田区令和島という住居表示がなされるようになったが、未だに民間人が気軽に訪れやすい雰囲気ではなく、また居住者もいない。そのためか未だに中央防波堤の方が通りが良いようである。
その中央防波堤の外観は、木々がまばらに生える草原のようになっている。だがあの山の土中には埋め立てられたゴミがある。ゴミを埋め立てたあと土を被せているのでそこに植物が生えてくるようだ。
遠目で見ている限りそうは見えないのだが、この埋め立て地は既に30mもの高さを持っている。それだけゴミが積み上がっている訳だ。無尽蔵に積み上げてよいかというとそういうわけでもないらしく、ぼちぼちこの辺りの埋め立ては完了して、今度はさらに南側を埋め立てる計画だそうだ。
自分はかつて中野区の小学校に通っていたことがあり、その時の社会科見学でこの中央防波堤を訪れたことがある。もちろんその当時もしきりにごみを埋め立てていた。だから社会科見学の見学先になったわけだが。
もう20数年も前の話なので流石に記憶はあいまいだが、当時見た中央防波堤はもっと土がむき出しの荒れた土地だったような記憶がある。
だからこんな殺伐とした場所でもあと何十年か放置したら深い森のようになってしまうのだろう。もちろんその前に何らか土地利用されると思うので、あるいはコンクリートジャングルになっているのかもしれないが。
江戸東京ぶらり旅 - 新木場付近:
そして若洲地区と中央防波堤との間を結ぶ橋が建設中だった。橋の名前は東京港臨港大橋。のっぺりとした曇り空を背景にした写真なせいか、新しい大動脈の建設現場というよりは、神をも恐れぬ暴挙の現場のように見えた。
今のところ橋脚数本と一部の橋げたがかかっただけの状態だが、これでも来年には開通予定だそうだ。開通後は中央防波堤を経由して品川区の城南島の方へと繋がるそうである。開業すれば湾岸を通る道路の新たなバイパスとなり、慢性的な渋滞に悩まされている湾岸道路の渋滞解消に効果が期待できるとのこと。
ちなみにガイドによると、この橋は2016年開催に向け誘致が進められている東京オリンピックの新たなランドマークとなるそうだ。
※またしても2025年註:当時は東京港臨港大橋と呼ばれていた橋は東京ゲートブリッジという名前で開業した。2014年に中央防波堤と共に訪問している。一方のオリンピックは2016年は誘致に失敗し、2020年になって誘致に成功した。ところが件のコロナ禍で開催どころではなくなり1年延期して2021年の開催となった。翌年には冬のオリンピックも開かれ、なんだか2021年前後のスポーツ業界は随分と慌ただしかった。
若洲の沖合にコンクリートブロックが浮かんでいた。最初は東京港臨港大橋の橋脚にでも使われるものかと思ったら、近くで見ると利島港と書かれていた。少し傾いた状態なので浮いているようだが、何に使うものだろうか。
周辺には他の島の名前が書かれたものもあったので、伊豆七島の港湾関係で何らかの用途に使われるものと思われるが情報もなく不明。
東京港臨港大橋を横目に見ながら、新木場と若洲の間にある砂町南運河を抜ける。すると今度は荒川の河口沖になり、葛西臨海公園やディズニー関連の施設が見えてくる。あの辺りはもう千葉県である。工場地帯が続く殺伐としたエリアの先に唐突に夢の国が見えてくる光景はなんだかシュールだ。陸路でディズニーリゾートに一歩足を踏み入れるとその中は完全にディズニーの世界となるが、それを周りから眺めるとやっぱり日本のどこかなんだなと現実に引き戻されるような感覚に襲われる。
そして船は葛西臨海公園発着場に到着。ここで30分ほど停泊するとアナウンスがあった。30分か。だいぶ寒いのでさっさと動き出して欲しい所だが。。。
デッキから岸壁の様子を眺めていたら、バッグを抱えた売り子が乗船するのが見えた。お、何の売り子だろう?もし暖かいものが手に入るならぜひ手に入れたい。お腹も空いているからがっつりとした食べ物でもよい、ということで下のデッキに降りてその売り子を捕まえて何を売っているのか尋ねてみたら、よりによってアイスクリームだった。今はそれじゃないんだよなぁ。。。船室の中は適温が保たれているのでそれなりに需要がありそうな気もするが、我々にとっては生命を脅かされかねない(中に入れよ)。残念だが下船まではひたすら我慢するしかなさそうだ。
隅田川の河口を出てから東京港を進む間、寒さと疲れで少しダレていた。この辺りの風景は小笠原訪問の際にもある程度目にした場所だったこともある。そこへきてダメ押しのような30分待ちである。微妙な天気であるうえ食事もロクに取れていないので、流石にテンションも下がり気味である。せめて一時的な下船が出来れば良いのに。。。
何をするでもなくぼんやりしていたら、30分が経過したらしく再び出港となった。
荒川の河口部を国道と首都高湾岸線と京葉線が並走しながら越えている。河口部だけにその距離もだいぶ長い。1500mくらいはありそうだ。
で、我々を乗せた船はこの橋をくぐってここから荒川の遡上を開始する。