奄美皆既日食観測ツアー【8】(2009/07/19)
直方界隈:
続いて訪れたのが筑豊電鉄の筑豊直方(ちくほうのおがた)駅。
筑豊電鉄は1路線を経営する鉄道会社で、車両は2000形と3000形の2種類がある。かつて2000年に1人旅をした時もここを訪ねているが、その時は3000形の姿を見ることが出来なかったので再訪した次第。
相変わらず昭和で時間が止まったような雰囲気の駅である。
路面電車やバスと同じく乗車時に整理券を受け取って降車時に車内で精算するシステムなので券売機や改札がなく、階段を上がるといきなりホームに出る。
そのホームに停車中だったのがお目当ての3000形だったので早速撮影。
折角なのでもう1本待ってみることにした。ここは10分に1本程度の頻度で列車がやって来るが、ホームにいてもこれといった見どころがないので、列車が出発したあと次の列車が来るまでの間は結構退屈だった。そうして待っているとJRの直方駅の方から時折汽笛の音が聞こえてくる。車両の入れ替えでもやっているのだろうか。後で行ってみよう。
暫く待ったら次の列車が入線してきた。が、次も3000形だった。いつの間にか2000形の方が少数派になってしまったようだ。流石にもう1本待つ気にはなれずJRの直方駅へ移動することにした。直方駅は徒歩数分の所にあるので車は置いていく。
例によって入場券を買ってホームに入場させてもらった(手元に残っているのは2枚購入してるからである)。
ホームから見えたのは813系と、
817系。
筑豊本線は数年前に電化され福北ゆたか線という愛称を持つことになった。車両は黒とグレーをあしらったシックなものが使われている。
後ろの方にもいくつか車両が見える。ホームから車両基地をまたぐ歩道橋があるのが見えたのでそちらへ移動してみた。
キハ31形。JR北海道のキハ54形と似た雰囲気だが別の系列になっている。
北九州モノレール:
さらに北上を続ける。次の目的地は北九州モノレールの企救丘(きくがおか)駅だ。九州入りをする時、新幹線で来ても飛行機で来ても大抵福岡に着いてしまうので、北九州地区で途中下車することがあまりない。北九州も政令指定都市となっていて結構大きな街である。その街中を1本のモノレールが運行されているのだがこれまで未訪だった。企救丘駅は北九州モノレールの終着駅なのだが、そこを目的地として定めたのは終着駅だから乗客が少なくて撮影しやすいのではないかと思ったからである。
で、駅周辺までやってきたが、困ったことに周囲は住宅地が広がるばかりで車を停めておけそうなところがない。どうしたものかとそのまま進んでいくとどうした訳だか道路脇の駐車場へ誘導された。もしかして自分が駐車場を探しているの知ってました?(そんな訳はない)
入口に立つ係員が何か話したそうにしていたので、車を停めて窓を開けると紙を1枚手渡された。どうもここは小倉競馬場へ行く人のための臨時駐車場となっているらしい。今日はレース開催日で競馬場周辺に車を停める所が少ないのでここに無料駐車場を設けているのだという。小倉競馬場はここからだとモノレールに乗って行かないとならないのだが、ご丁寧に今渡された紙は帰りの乗車券の引換券になっていた。つまり駐車場代と帰りの電車賃が無料。なんと太っ腹な。
自分はもちろん競馬場に行くつもりはないのだが、その辺をとやかく言ってくる感じでもなかったのでそのまま駐車させてもらうことに。
せっかく無料券をもらったのでモノレールに乗車して空中散歩でも堪能しようかな。
誘導に従って駐車場内に入るとその奥の方にモノレールの車両が停められているのが見えた。
なんと、ここはモノレールの車両基地の一角だった。企救丘駅から車庫に入る引き込み線は駐車場の周囲を回るようにループしながら高度を下げて車両基地へと引き込まれていたのだ。駐車場のみならず列車まで上げ前据え膳で来てくれるなんて、こんなラッキーあるかw
北九州モノレールは東京モノレールや多摩都市モノレールと同じ跨座式のモノレールである。列車の先頭部に付けられた赤色灯が独特である。
駐車場内をうろつきながら何枚か撮影を行って車に戻った。なかなかなオンデマンドぶりだ。
お目当ての車両が駐車場に居ながらにしてゲットできてしまったので結局モノレールは乗車しなかった。車に戻ってエアコンをつけて一息入れる。外も酷暑だし、ほんの数分停めただけでも車の中は温室状態だ。それにめげて散策する気になれなかったというのもある。
で、車が冷えて来るまでの間ノートPCを取り出して本日の宿を探してみることにした。昨晩の車中泊が想像以上に寝苦しかったので流石に2夜連続の車中泊は無理だと思ったからだ。しかもこの先も船中泊をしたり、ことと次第によっては野宿もあり得る旅が続く訳で少しは体力温存しておかないと帰りまで持たない気がしたのだ。
博多周辺の格安ホテルを探してみたところプレジデントホテルというのが見つかった。ここは素泊まりだがシングルで4900円と格安だったので予約することに。これで今晩は涼しい部屋で眠れるw
門司港駅界隈:
ということで今晩の宿の確保も終わったので、次の目的地門司港駅へと向かった。門司港は九州の北の玄関口。本州の下関と関門海峡を隔てた対岸に位置する。鉄道線は手前の門司で分岐しそのまま関門トンネルに吸い込まれていくが、門司港駅は分岐を少し進んだ所にあり、行きどまりの終点である。その門司港駅は1914年に建てられた駅舎が今も現役で使われており、またつい先日、門司港駅から続く貨物線を活用した門司港レトロ観光線というものが開業して関門橋の直下まで行けるようになったらしいので、それらを見に行ってみようと思う。
北九州モノレールの企救丘駅からは道路の混雑にも阻まれてたっぷり1時間かかった。門司港駅周辺の駐車場は駅前にあるのだが、門司港レトロ観光線に乗車する人が駐車していて満車だった。数台の順番待ちが連なっていたが、他の場所を探すのも面倒だったので自分もその列に並んだ。
だが、ここに車を止めている人の大半がレトロ観光線に乗車している訳なので、列車が戻ってくるまではびた一文動きがなかった。結局列車が戻ってきて乗客が出場するまで20分ほど待たされたがどうにか駐車。
駐車場の目の前にレトロ観光線の駅がある。駅名は門司港ではなく九州鉄道記念館駅だった。その名のとおり門司港駅には九州鉄道記念館という鉄道の展示施設が併設されている。その記念館も興味がないではなかったが、ここまでの移動で少し時間が押し始めているのと、3連休の初日で周辺は結構な混雑だったのとで見学は見送ってしまった。そして同じ理由でレトロ観光線にも乗車しなかった。何しに行ったんだか。。。
まぁ、自分は写真が撮影できれば概ね満足なのでとりあえず線路沿いを適当に歩いて良い感じの撮影スポットから撮影してみようと思う。
歩き始めて程なく良い感じの撮影スポットが見つかった。線路は低いフェンスで仕切られているだけなので線路沿いならほぼどこでも良い感じに写真が撮れる所ばかりだった。そこで暫く待っていると向こうの方から順に踏切が鳴る音が聞こえ始めた。もうすぐ列車が来そうだ。
やがてブルーの小さな機関車がトロッコ風の客車を従えて走って来た。潮風号というヘッドマークを掲げている。
トロッコの車両も大概小さいのだがそれを牽く機関車が輪をかけて小さい。かわいらしい編成はのんびりと自分の目の前を通過していった。
続いて門司港駅に行ってみた。ご覧のとおり非常に重厚な駅舎である。現在は国の重要文化財にも指定されている。
関門トンネルが開業するまでは、ここと対岸の壇ノ浦を結ぶ連絡船が運航されていて、門司港駅は文字どおり九州の玄関口としての役割を担っていた。関門トンネルが開業した後は連絡船も廃止になり、寂れた盲腸線の終着駅になり果てていたが、そのことが却ってこの駅舎を長らく残存させることに繋がったようだ。
駅構内は連絡船との結節点であるので通常の鉄道駅にはない乗り継ぎ客向けの設備があちこちに残っているらしいのだが、非公開となっていてそれらを見ることはできなかった。表示案内板の類は最近掛け替えられたと思しき大正モダン風レトロ調の物になっていたが、個人的にはそうじゃないんだよなぁと感じた。かつてはほとんどの物が手書きだったわけで、それを書き入れる職人さんの個性が出る部分でもあった。文字フォントをプリントしただけの物にはそうした味は出せない。
自分はそうした手仕事を見て、その見ず知らずの職人がどういう人だったのか、とか当時の世情はどのようなものだったのだろうか、といったことを妄想するのが好きなので、プリントしたものを見てもなんか心が躍らないんだよなぁ。せめて拙い筆跡でもよいから今の職員が手書きした方がまだマシな気がする。
駅前は周辺の観光に訪れた人の姿を多く見かけたが駅構内は閑散としていて、まるで廃止後保存された大社駅の様だった。
が、ちゃんと営業している駅なので入場券は買える。