奄美皆既日食観測ツアー【13】(2009/07/21)
奄美名瀬新港入港:
2009/07/21
何かの拍子にふと目が覚めた。時計を見ると4時を指していた。この船が名瀬港に入港するのは5時、それを見越して携帯の目覚ましを4時半にセットしていたのだがそれより前に目が覚めてしまった。頭がぼんやりしているのは酔い止めと睡眠時間のせいだろう。気がつけば昨晩17時から入浴の時間以外ずっと寝て過ごしている。ということは9時間以上寝ているのか。その割にあまり寝た気はしない。
まわりは夜に消灯されたらしく、常夜灯のみが灯る薄暗い空間になっていて夜の病院みたいでちょっと薄気味悪かった。周りを見ると殆どの人が寝息を立てているが、既に起床したのかマットが片付けられている区画もあった。
自分も一旦起床してデッキに出てみることにした。
まだ夜明け前だから、デッキから見えるのは漆黒の世界のみ。船室内の明かりがついていないような時間だけに人影もない。全速力で風を切って進んでいるせいか、デッキの上には結構な強風が吹き荒れている。夏であるにもかかわらずここで風にあたっていたら少し肌寒さを感じた。
暗さに目が慣れてから改めて空を見てみたら星が見えた。満天の星空という訳ではないがぽつぽつと光っているのが見える。ということは雲が切れつつあるということだ。この分なら今日の天気は大丈夫そうだ。明日の天気もその調子でいてくれることを願う。
体が冷えてきたので程よい所で船室に戻った。船室はいつの間にか電気がつけられていた。
それから持ってきた荷物をまとめていたら軽く酔った。。。ちょっと作業の手を休めていたら、5:15に名瀬港に入港する旨のアナウンスが流れた。いよいよだ。
荷物を抱えてロビーに移動。まだ乗客は殆ど集まっていなかったが、入港前には自分の後ろに長い列が出来ていた。やっぱり日食観測で訪れる観光客はかなり多そうだ。
そして5:15にタラップが降ろされ無事に下船した。下船した乗客の列に並んで出口の方へ進んでいったら、出口前で地元の高校生がパンフレットを配っていた。こんな早朝からご苦労なことだね、と思いながら受け取ろうと手を差し出したら、アンケートに答えてくださいと言われた。この先にやらなければならないことを考えたら、ここでのんびりしている余裕がないのだが、一生懸命頑張っている高校生を無碍にするのもかわいそうかなと思ってそのアンケートに答えることにした。といってもA4用紙1枚分のアンケートなので1,2分のお仕事。
アンケート回答して無事パンフレットを入手することが出来た。が、中に書かれていたのは奄美観光や名産品についての極々基本的な紹介で、内容は全て知っているものだった。まぁこれも記念。
ネットカフェ確保:
ということでついに奄美大島に上陸した。ここからが今回の旅の本番だ。正念場といっても良い。まずはネットカフェのブースを手配しにいく。奄美大島に1カ所しかないそのネカフェは、手配編で述べたとおり予約制ではなかったので、少しでも早く店に行ってブースを確保しなければならない。空きがあるかどうかは運次第、もし満席だったら船の出港まで半日以上の野宿を余儀なくされる。その覚悟をして訪れているとはいえ、出来ることならちゃんと屋根のある場所で過ごしたい。
計画の段階では明日レンタカーを返却した後にネカフェを手配するつもりだったのだが、昨晩の乗船中にこの後の計画を再チェックしていた時に、よくよく考えたら下船してすぐに手配をしておけば奄美滞在時のベースキャンプとして非常に有用であることに気が付いた。もちろんその分利用料は余計にかかるが、それによって享受できる利便性を考えたら些細な話だ。自分と同じように宿泊先が確保できず、ここを最後の頼みの綱と考えている人も結構いるのではないかと考えると、出来るだけ早く場所を確保しておいた方が得策だ。
そんなわけで、まずはネカフェを押さえに行くことにした次第。だがその店はここからだと徒歩で20分くらいかかる場所にある。荷物を担いで歩くにはちょっと遠いので、ズルい大人になった。タクシーの利用である。
港前のタクシー乗り場に停まっていたタクシーに乗り込んだら、随分と高齢なドライバーだった。流石にネットカフェなんて知らないだろうな思い、地図を見せてこの辺に行って欲しいと指さして伝えたのだがなぜかピンときてくれない。これはどこかな・・・。なんて言いながらと険しい顔をして地図を眺めている。地元で長くドライバーやっているんじゃないの?地図見て分かりませんか。
自分も具体的な地名や周りの目印になるような建物が分からないのでどうにも説明しづらい。
それで何度か同じやり取りを繰り返す羽目になったのだが、その時、
「あれかい?ネットカフェに行きたいのかい!?」
と、ドライバーが発言。なんだ知ってるのかい。最初からネットカフェに行ってくれと伝えればよかった。。。しかし地図を見てもどこなのか分からないのに、ネカフェの場所は知っているというのも妙な話だ。同じ場所なんですが。まぁとりあえず行き先はインプットできたのでタクシーは出発。
歩けば20分かかる距離もタクシーならワンメーターだ。いやな顔されるかなと思ったが特にそんなこともなく建物前に到着。
ドライバが建物を指さしてその店だよと教えてくれたのだが、イメージするネットカフェの姿とはなんか微妙に違った。でも店の名前は看板に出ていたので間違いはないようだ。
お礼を言ってタクシーを降り店に入る。
今満席だったら万事休すである。ちょっとドキドキしながらカウンターの店員に利用の旨を伝えたところ、意外にもまだ空きは沢山あった。
事前にサイトをチェックして畳敷きの部屋があることは知っていたので、その部屋が確保できればラッキーだなと思っていたら、その部屋も空いていた。なんだか首尾よく行き過ぎて逆に不安。変なフラグにならなければよいが。。。
時間制限などはなく、自分が退室するまでは占有できるそうだ。これで出港までの橋頭堡は確保できた。
というわけで今日明日の我がベースキャンプとなる個室に入室。壁はベニヤ板、床はリノリウムのタイル貼りの上に畳を1枚置いただけというこのうえなく簡素な造りの部屋だったが、雨風が凌げるパソコン付きの部屋である。飲み物は飲み放題、食事も頼めば作ってくる。何ならシャワーもある。何の不満があるというのか。
もっとも、ネカフェなので完全な個室ではない。ご覧のとおり天井は抜けているし、部屋の入口は暖簾がかかっているだけなので、音は筒抜けだ。その気になれば外から覗くことも容易だし、もちろん鍵がかけられないので貴重品を放置することもできない。一応無料の鍵付きロッカーがあるので、貴重品はそこに預けておけば安心だが、まぁ貴重品は持ち歩いていればいいので特段の問題はない。なお、音は周りにだだ洩れとなるので、携帯はマナーモード必須で室内での通話はNGとのこと。
まだあまり店を利用している人はいないようで、周囲に人のいる気配は感じられずまぁ静かなものだった。急いできた甲斐があった。でもこの後続々と入店してくるのだろう。とりあえず店内が静かなうちに少し仮眠することに。
軽く仮眠して8時に起きた。3時間くらいは眠れたのかな。ノロクサと支度してレンタカーの貸し出し時間になるのを見計らって店を出た。
こちらが快適な?奄美滞在を約束するらんど★まぁ~くインターネットカフェだ。お世話になります。