奄美皆既日食観測ツアー【14】(2009/07/21)
ロケハン:
レンタカーの店はらんど★まぁ~くから歩いて5分ほど。散歩がてら歩いて店に向かった。借りた車はデミオである。その車が割り当てられることは事前に聞いていたのだが、出てきた車は1世代前のデミオだった。車はだいぶくたびれていてその点やや微妙だったが、それ以外に何の不満もなかった。
ということで移動手段の確保も無事に完了したので、まずはロケハンをしに行ってみることにした。冒頭で述べたとおり皆既日食は奄美大島の北半分の地域で観測が可能である。となれば北部エリアは日食観測をする人が押しかけて混雑することだろう。正直あまり窮屈な場所では観測をしたくなかったので、地元民しか来ないような穴場的スポットを見つけておきたい。ということでまずは北端に位置する笠利崎へ向かうことに。
と、その前に今のうちにお土産を手配しておくことに。明日も午後になれば相当混雑しそうな気がするので早めに買い求めておくのが吉だろう。ということで島内随一のスーパーであるダイエーに立ち寄ったのだが、まだ開店前だった。仕方ないので先に進むことに。ちなみにダイエーでは当日屋上にカメラを設置して全国のダイエー各店で生中継をするそうだ。
日食観測ポイント(笠利崎):
今回、奄美大島での日食の始まりが9:35、それから1時間半かけて徐々に食が進み10:55に皆既日食となる。つまり午前中のイベントなので観測するべきは南東側の空ということになる。奄美の北東部には奄美パークという公園施設や、奄美空港などのインフラがあるので道もよく整備されている。実際そのエリアを中心に観測者受け入れの為の整備が行われており、中でも奄美パークではイベント形式での観測会を開催するそうだ。ということは多くの観測者がそうした東海岸エリア付近に集結することになるはずだ。観測者が鈴なりになっているような場所で周りで音楽だのカウントダウンだのが流れる騒がしい場所は避けたい。
大前提としては上述のとおり南東側の空を眺めることになるわけだが、そうはいってもお昼ちょっと前であればほぼ天頂に近い場所まで太陽は登っているので島西側のエリアでもすぐ東に高い崖があるとかでもなければ問題なく太陽を見ることはできると思う。
そうした条件下で出来るだけ長く(北に行けば行くほど長くなる)、かつひと気のあまり多くないところはどこだろうか。山の上に登れば恐らく全方位をカバーできると思うが山頂に木々が生い茂っていたらアウトだ。ひとつひとつ登山してチェックするわけにも行かないので、やはり海岸沿いの空の広い所を狙うべきだろう。
地図を眺めながらそんなことを諸々検討して、まずは奄美大島の北端にある笠利崎を第一の候補地とした。一応それ以外にもいくつか目星をつけてある。これからそれらをひとつずつ現調してどこが一番観測しやすそうかチェックしてみよう。
というわけ笠利崎へと向かう。国道58号を北上しその先で県道に入るのが最短コースだが、東側の海岸エリアで他に観測スポットになり得る場所がないかのチェックと、奄美パークやあやまる岬などの観測者の集結状況もチェックしておきたかったので、赤尾木という集落から東海岸沿いに県道を北上した。といっても車の窓越しに眺める程度だが。
現地周辺はまだ閑散としていた。恐らく奄美パーク辺りではイベントに向けた設営が行われているものと思うが、車窓からはまだそうした慌ただしさは感じられなかった。明日現地に来た時に空いていたらここで観測してもいいかなと思った。まぁありえないと思うが。
そうこうするうち、笠利崎のある半島の先端部に差し掛かった。道路の片側に斜めに線が引かれている。最初は何の線だろうかと思ったが、少し走ってみてピンときた。駐車スペースだ。恐らく周辺にまとまった駐車スペースが確保できる敷地がないのだろう。
だがこうやって片側車線が塞がってしまったら、とてももう片方の車線だけで交通が捌き切れるとは思えない。どのようにするつもりだろうか。
要所要所に仮設トイレなども設置されている。
このあたりはまだ閑散としていた。臨時の駐車スペースには1台も車が停まっていない。場所取りで前日入りする気合いの入った人はあまりいないのか。一番突き当りに笠利崎灯台への訪問者用の駐車場がある。そこにも車の姿はなかったが、ここには数組のテントが張られて早々に場所取りをしている人の姿があった。なるほど、テント泊という手段もあったのか。といっても東京から持参する気にはならないが。
前回の奄美旅行の際、この笠利崎周辺は未訪に終わった。折角来たので少し観光しておこう。駐車場に車を停めて周囲を見渡すと随分な丘の頂上に灯台が見えた。そこへ続く道は階段で結構な段数を登らされそうである。でも登ってみることにした。見晴らしがよければここも候補にしたい。
ということで登って来たが案の定かなりしんどかった。頂上は灯台以外に何もなかった。
灯台のあるような場所だけに見晴らしは抜群ではあったが、流石にカメラ機材を担いでここまで登るのはしんどいし、仮に登るとしても場所取りが難しい。今から明日の日食の時間までずっとここにいるわけにも行かないし、かといって場所取りとしてデポしておけるようなものも持ち合わせていない。なのでここを候補地とはしなかった。
ただ絶景ではあった。汗が引くまで少し休憩してから車に戻った。
再び車を出発させるとほどなく「県道」と書かれた矢印に導かれて元の道とは違う道に誘導された。そちらの道はジャングルの中の林道のようなワイルドな道で、舗装もされていない。なるほど、さっきの道とこの道とで一方通行にするのか。道はあちこち波打ってなかなかの悪路であった。車高の低い車が突撃してスタックしなければいいが。。。
今回のロケハンでは、場所取りをしている人がどのくらいいるのかについてもチェックしようと思っていた。もし場所取りをしている人が大勢いるような状況だったら、ネカフェでのんびり休息している場合じゃなくなる。自分も早々に場所を見つけて確保しなければならない。
だがここまで見てきた範囲ではまだそこまでではなさそうだ。この感じだと明日の早朝、せいぜい日が昇る前くらいに移動してくるくらいでも問題なさそうである。万一目星をつけたところが埋まってしまったとしても、何カ所か候補地を作っておけばそれらの中のどこかは空いているような気がする。
日食観測ポイント(蒲生崎展望台):
という訳で次の候補地蒲生崎展望台へ。といってもこの展望台は笠利崎のすぐ裏手にある。
この展望台は海が南と西側に開けていて、東側は山が続くロケーションである。それでも建物が山頂付近にあるようなら観測可能かと思って訪ねてみた。
展望台付近は樹木が生い茂っていて若干空が狭い感じがしたが、展望台に登ってみたら赤尾木湾が一望出来た。思ったよりは観測に向いていそうな気もしたが、日食が午前中であることを考えると若干不安が残る。それと既に何人かがテントを張って場所取りをしていた。彼らはひとつのグループらしく、なんかこの展望台を占拠しているような雰囲気があった。もちろん本人たちにそのつもりはないだろうが、部外者である自分が単身乗り込んだら大いに肩身の狭い思いをしそうな気がしたのでここも候補地とはならなかった。
ちなみにこの赤尾木湾は隕石の衝突により生じたクレーターだと言う説がある。地図で見ると確かに丸い形状をしている所がある。とはいってもマールの可能性も否定できないが。
写真奥、山が低くなって細長い陸地が繋がっている箇所がある。ここは奄美大島の中で一番細くなっている場所だ。ここから陸の向こう側に広がる太平洋の海原まで見えている。