奄美皆既日食観測ツアー【21】(2009/07/23)

N-1タクシー:


2009/07/23

昨晩からの降雨により満室となったらんど★まぁ~くは、騒ぐような人は流石になかったが、人数が増えた分店内が賑やかになった。だがその騒々しさも全く気になることなく熟睡できた。こんな畳でもあるだけで随分と違う。

目が覚めたのが午前4時だった。4時半に目覚める予定だったので30分早いが騒々しくて目が覚めた訳ではない。自分は早朝に時間指定のイベントがある時にちょっと早めに目が覚めてしまうことが多い。2度寝したら本気で寝過ごしそうだったのでそのまま起床。荷物をまとめたあと少しネットのニュースをチェックしてそれからお会計。

フロントで会計の旨を申し出たら、館内で頂いた食事の代金はサービスしてくれた。丸2日間の滞在だからまけとくよとのこと。なんと太っ腹な。ありがとうございます。

そのついでにタクシーの手配をお願いしたら、制服がいい?と聞かれた。制服?タクシーコス(なんてものがあるのか知らんが)の話をしているわけではないよな。制服と言いますと?と返すと、奄美のタクシー会社は2社あって1社は制服姿で乗務し、もう1社はかりゆし風のラフスタイルで乗務しているのだそうだ。そのラフスタイルの方の会社は格好だけではなく就業姿勢も若干ラフなのだという。そんなこと言われてもどっちがいいかなんか分からない。いくらラフだからといって日本の登録されたタクシー会社が発展途上国みたいなぼったくりをすることはないだろうし、運転が荒かったとしてもせいぜい5分の乗車だから気になるほどのものでもない。あしらいが雑だったらちょっと凹むかもしれないが。

どちらがおススメなんですか?と更に聞くと、どっちも変わらないと言えば変わらないんですけどねと言って笑った。変わらんのかい。
変わらないんだったらどっちでもいいですと答えて待つこと10分。やって来たタクシーの運転手は制服を着ていた。


ドライバーにフェリーターミナルまでお願いしますと伝えたあと、改めて運転手の後姿を見たらかなりのご年配だった。仕事が長く続けられて良いですねと思いながら別の場所に視線を移した時に、助手席背面(つまり自分の正面)にかけられたプレートに目が留まった。

そこには「おかげさまで90年 これからも安全運転で」云々と書かれていた。90年!?この運転手90歳か?確かに90歳と言われればそうかもしれないね、というくらいの印象を受けるが、いやいや0歳から運転している訳はないし、、、まさか100越え!?・・・まさかね。

このドライバーは一体何歳なのかと思わず凝視してしまった。運転大丈夫か。だがそんな見た目とは裏腹にハンドルさばきに不安なところもなく、安全に自分を港まで運んでくれた。

その90年というキーワードがどうにも引っかかったので帰宅後に調べてみたら、自分が乗車したタクシーはN-1タクシーという会社だったようだ。このN-1タクシーの親会社が西川グループという企業で大正7年創業であった。大正7年は1918年なのでどうやら会社創立からの年数ということだったようだ。

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名瀬新港のターミナルに到着した時もまだ夜が明けておらず辺りは真っ暗。だが乗船客は続々と集まっていて建物の周囲は賑やかだった。
建物の入口には「また、いも~れ奄美へ!」と書かれていた。もちろん、またいも~りたいです(使い方あってる?)。

自分は昨日のうちに乗船手続きを済ませてあるので乗船待ち列へ直行。

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既に数十人か百人程度が並んでいるようだった。どのくらいここに並ぶのだろうなと思ったら、並んですぐ列が動き始めた。いいタイミングだったようだ。乗船時にデッキ前に立っていた係員にチケットを見せたら、また席までアテンドしてもらうことが出来た。それで後ろについて行ったらちゃんとした船室へ通されて、こちらになりますと言われた。

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あれ、臨時席と聞いていたのだが。人数の折り合いがついて全員船室内に敷物を敷くことが出来たのかもしれない。だがご覧のとおり足の踏み場もないほどマットがみっちりと敷き詰められている。これ足踏んじゃう奴じゃないですか?廊下に寝るよりはマシかもしれないが、両脇みっちり固められた状態で窮屈な思いをするのとどっちがいいか?といわれると微妙だ。まぁ今回の便は日中帯の運行なので元々自席でゆっくりするつもりはない。

そうして席を外す時間が長いと思うので余計な荷物はコインロッカーに仕舞っておこうと思い、係員に場所を確認するとこの船には設置がないとのことだった。幸い大事な荷物で手持ちが出来ないものはあらかた宅配便で発送してあり、スーツケース内には大したものは入っていないのでそのまま席の上に放置しておくことにした。カメラなどの大事な物だけショルダーバッグに仕舞ってデッキに出てみた。

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名瀬の町はまだ夜のとばりが下りたままである。薄明るくなってきているのであと30分もしたら朝になるのだろうが。デッキに置かれたテーブルのひとつにレゲエミュージックの演奏者と思しき5人組のグループがいて、ビールを飲みながら談笑していた。それをビデオカメラで撮影している人が1人いる。PV撮影だろうか。その割にロケという風でもないようでどういうシチュエーションでの乗船かは推し量りかねた。

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そして15分ほどで出港。人生2度目の奄美大島滞在はこうして終わった。今回も前回同様なんだ妙にしんみりとした締めくくりだった。さあ帰るぞという感じではなく、名残惜しいなという気持ちが強い。沖縄本島も何度か訪問しているが、何故かそんな風に感傷的な気分になることはなかった。奄美大島という島の雰囲気によるものだろうか。


那覇へ:


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このフェリーは奄美大島を出発すると、徳之島の亀徳(かめどく)港、沖永良部(おきのえらぶ)島の和泊港、与論(よろん)島の与論港、沖縄本島の本部(もとぶ)港をそれぞれ経由しながら那覇へと向かう。所要時間は12時間、またしても長旅である。

先ほど今日の航海はデッキで過ごすことにすると書いたが、12時間も室外に居たらどんなことになるだろうか。暑くて退散する羽目になるかもしれない。ただ経由地となる島々には興味がある。もちろん下船することは叶わないが、どのような雰囲気の島なのかはしっかりと目に焼き付けておきたい。

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奄美大島を東に見ながら進んでいたら、1時間ほどで山の向こうに太陽が昇って来た。太陽は全くいつもどおりの仕事をこなしていただけに過ぎないのに、たまたま自分の前を月が横切ったものだから日本ではお祭り騒ぎになった。太陽からしたらさぞ滑稽に見えたことだろう。そう思うほど昨日とは何の違いもない太陽だった。

その太陽も顔を覗かせたと思ったら10分かそこいらで再び上空の雲の中に隠れてしまった。

Posted by gen_charly