奄美皆既日食観測ツアー【22】(2009/07/23)

途中の島々:


今回も例によって酔い止めを飲んで乗船しているので、案の定ぼちぼち眠たくなってきた。ところが船の進行によってデッキ上には結構強めの風が吹いている。太陽が隠れてしまったこともありその風は半袖シャツで凌ぐにはちょっと寒いくらいに感じた。長袖は船室に置いて来たので取りに行こうか迷ったのだが、船室内の乗客はまだ寝息を立てている人も多いだろうと思い、結局半袖のままで凌いだ。単に面倒くさかっただけだが。寒いは寒いのだが凌げないほどでもない。

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そのまま目を閉じていたら軽くウトウトしたらしく、次の瞬間気が付くと加計呂麻(かけろま)島の沖に浮かぶ須子茂離(すこもばなれ)夕離(ゆうばなれ)が見えるところまで進んでいた。その辺りから奄美大島の南端部の守りを固めるように浮かぶ請(うけ)島与路(よろ)島の姿も見える。更に南の方に視線を向けると遠くにうっすら徳之島の姿も見える。

日本地図でこの辺りの島々を見ると太平洋の大海原の中にぽつぽつと列をなして浮かぶ絶海の孤島のように見える。それぞれの島同士交流は途絶しているのではないかと思うほどにそれぞれが離れているようにも見えるが、こうしてみると案外隣の島の姿が視界に入ってくる。想像していた以上にそれぞれの島は近接しているのだなと思った。


目を覚ましたついでに一度船室に戻ることに。長袖を取り出すついでに荷物がなくなっていないことを確認。まぁ盗まれたとして旅先で貰ったパンフレットと洗濯待ちの服くらいしか入っていないのだから、むしろ盗んだ人を気の毒に思うくらいなものなのだが。

荷物は出発時と変わらず自席にぽつんと佇んでいた。両隣は案の定他の乗客で埋まり双方就寝中だった。極力静かに長袖を取り出して再びデッキに戻る。その途中でロビーの売店に立ち寄って朝食の弁当と水を購入。買って来た弁当をデッキの片隅で頂くことにしたのだが、風が強く吹いていることを忘れていた。ちょっとでも気を抜くと醤油の小袋や弁当の蓋が飛ばされそうになる。

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シンプルな弁当、500円。味はそれなり。船内のレストランに行けば暖かくてマシなものも食べられるが、混んでいるし高いので弁当で我慢。

長袖を羽織ったらだいぶ寒さが和らいだ。多少気温が上がって来たからというのもあるが。食事を済ませてぼんやりと大海原を眺めていたら再び眠気が襲ってきて、気が付いたら徳之島へ入港する手前まで来ていた。


徳之島:


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徳之島も相変わらずの曇天模様。港の入口に大きなケーソンがある。見た感じ浮かべてあるだけのように見えるが、その上に渡し舟で上陸したと思われる釣り人が頑張っていた。

コンクリートの上面が濡れているところを見ると少し前まで雨が降っていたようだ。

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そして程なく亀徳港に入港。港の周辺は思いのほか発展していた。もっと鄙びた場所かと思っていたのでちょっと意外だった。

徳之島は奄美大島の南に位置する小離島だが、全国的に有名なものが多い島である。まず何といっても闘牛が盛んなことで有名。そのせいか分からないが、血気盛んな人が多いようで町議会が度々乱闘騒ぎになることでも一躍有名になってしまった。

そして最も有名なのが泉重千代さんである。この方は世界で最も長生きした男性としてギネスに登録された人物として知られている。だいぶ昔の話だがテレビで世界最長寿の男性としてよく取り上げられていた時期がありそれを見たことがある。
※2025年註:その後、生年について疑義が生じ、2012年にギネス認定が取り消しになったそうだ。知らなかった。


徳之島で下船する乗客は意外と多かった。単純な所用による乗客もいるのだろうが、奄美での観測のついでに観光で訪問する人や、逆に日食観測のために奄美に滞在して帰ってきた人もいるのかもしれない。

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その様子を眺めていたら通り雨が降って来た。デッキで自分と一緒に様子を眺めていた人たちが一目散に船内に逃げ帰る。自分はちょっとした屋根のあるところで暫く雨宿り。雨の島の姿もいい物じゃないか。雨は2分もしないうちに上がってしまった。

それから荷物の積み下ろしが始まった。大型トラックほどもある巨大なフォークリフトがコンテナを船から降ろして次々と所定の場所に積み上げていく。数台のフォークリフトは一切無駄のない動きでお互いを交わしながらその仕事を粛々とこなしていく。プロの仕事を見た。

その作業が30分ほど続いたあとようやく出港となった。

徳之島については上述したような上っ面な情報だけを持っていたが、どんな島なのかはまだチェックしていない。だがこうしてみるとなんか面白そうな島だなと思った。いずれ上陸する機会があることを願う。


船は島の東岸に沿って南下を再開した。
これまでデッキの最上段に陣取っていたのだが、散策がてらひとつ下のデッキに降りてみたらこちらには庇が付いているところがあった。最上段は屋根がないのでさっきみたいな通り雨の時に雨が凌げない。この後もまた通り雨に見舞われるかもしれないので下の段のデッキに移動した。

ここはベンチの背後にいい感じに船体の壁があって寄りかかることができる。そうして寄りかかっていたらまたウトウト。


沖永良部島:


そして次に気が付いた時には船は沖永良部島の付近に差し掛かっていた。なんか寝て起きたら次の島って感じなのでそれぞれの島があまり離れている感じがしない。

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和泊港から見える沖永良部島も思ったより中層建築の多い島に見える。

相変わらずの曇り空だが、さっきより幾分薄日が差し込む時間も増えて気温もだいぶ上がって来た。長袖を着ていると汗ばむほどになってきたのでぼちぼち脱ぐことに。

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ここでも接岸の後に乗客の乗下船があり荷物の搬出入が行われる。徳之島よりはいずれも少なく停泊時間は短め。

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陽が差すと海が綺麗なアクアブルーになる。やっぱり南の島に来たならこの海の色がなくちゃ。

出港して暫くすると空がだいぶ晴れてきた。今回の奄美は曇りがちで全く日焼けをしていない。折角南国に来たのに真っ白な肌で帰京するのでは何となくやり切った感が満たされない。ということで腕を露出させた状態で少し太陽にあてておくことにした。

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デッキを吹き抜ける風と太陽の陽射しがいい感じにバランスしてすごくしのぎやすい陽気になった。薬のせいで船の上ではほとんどの時間をうつらうつらしながら過ごしているが全然寝た気がしない。そりゃそうか。なので断続的に眠気が襲ってくる。

この程よい気温に包まれてながらのまどろみはなかなか至福のひと時だった。そして次に目が覚めた時には腕もいい感じに焼け始めていた。流石南国の太陽である。

Posted by gen_charly