奄美皆既日食観測ツアー - 11(2009/07/22)
— そしてついに。。。 —
久々に暗くて静かな所で寝たからか、かなり爆睡して8時半に目覚ましが鳴って目を覚ますと、止まれる所にすべて車は止まっているのですが、外に出てカメラをセッティングしている人はほとんどいません。
太陽は薄曇の中、時折顔を見せるという、やや不安定な空模様。
まだ外で場所取りをしている人が少なかったので、再度タイマーを合わせて9時までもう一眠り。
9時の目覚ましがなって目が覚め、再び周りを見てみると、まだ外に出ている人はまばら。
とりあえず来る前に買っておいた朝食を食べつつ、ラジオをつけてみると、奄美の地元放送局のデイ!ウェイヴが流れていました。
すぐそこの奄美パークに移動して放送しているそうです。
日食にまつわるあれこれの話を交えつつ、「後何分で始まります」としきりにカウントダウンをしてくれていますが、不思議とエリカ嬢の話はこれっぽっちも触れられていません。
もしかして来てないのかな?
ま、どうでもいい事ですが。。。
15分前にカメラを出して、セッティング開始。
今回は、
・日食をメインで撮影する予定の、借りてきた一眼レフ
・皆既日食中のあたりの雰囲気を撮影するビデオカメラ
・ブログ用に時間ごとの周りの変化を写し取るための普段使いのデジカメ+ワイドコンバージョンレンズ
・皆既中にコロナなどを写す為に借りてきたデジカメ
という物々しい布陣で臨みたいと思います。
一眼レフは太陽光を直接浴びると壊れたりすることがあるそうなので、使わないときはタオルで隠せるようにしてあります。
ただ。。。
冒頭でも少し書いたとおり、メインの一眼レフに付けているのはわずか4段階しか絞れないNDフィルターなので、まともに太陽を写すことは難しいかもしれません。。。
車のラジオから「第一接触です」というアナウンスが聞こえたので、日食グラスから太陽を覗くと流石にまだ欠けているか欠けていないか分からないくらいです。
周りの雰囲気などを撮影しつつ、10分くらいたってから再び日食グラスから太陽を覗くと、20%位欠けた太陽を見ることができました。
その時「すみません」と声がかかったので、声のするほうを向くと、女の人が、
「日食ってデジカメでも写せますか?」
と聞いてきました。
欠けている最中の太陽は直接写せないこと、皆既中の太陽はそのまま写せること、お勧めはしないけど、日食グラス越しに太陽を写せば、多分写せることを説明すると、お礼を言って去っていきました。
ふと周りを見渡すと、隣に駐車していた夫婦(カップル?)はもっぱら日食観測メインで撮影はしなさそうです。
他の人たちも地元の人で日食を見に来た、という感じの人が多く、デジカメや携帯で写そうとする人はいても三脚を構えている人がほとんどいなかったのが却って意外でした。
ということで原付も日食グラス越しに欠けた太陽を写してみることにしました。
撮れた写真はこんな感じ。
あまり倍率の高くないレンズでの撮影で、しかもやや薄雲がかかってしまっているので、こんな感じが限界のようです。
辺りはなんとなく暗くなってきているような感じですが、まだ雲のせいなのか日食のせいなのか分からないくらいです。
そうこうしているうちに、時折雲が太陽を隠すようになって来ました。。。
空を見渡すと、全体的に薄い雲が立ち込め、太陽がどこにあるのかわかるのですが、その輪郭ははっきりしなくなり、光量も日食グラスで覗くと見えないくらいの弱さになってきてしまいました。
逆に駄目もとで持ってきたNDフィルターだけでも充分に写せます。
が、輪郭がぼやけて丸くしか見えないので、欠けている写真を写す事は出来ません。。。
— 一瞬でいいから、切れて!! —
と祈るような気持ちで空を眺めていましたが、後ろの方から更に濃い雲が漂い始め、非情にも雲が切れそうな雰囲気はありません。
それでも言っている間に空は徐々に暗くなり、気温も下がってきているようで、吹いてくる風は冷たく、汗が引いてくるようになりました。
太陽は肉眼で見てもまぶしくないくらいの弱々しい光になり、切れてくれそうにもない雲を恨めしそうに眺めながら、半分諦めの心境になってきました。
誰だよ。奄美地方は当日晴れるって予想出した人は。。。
以下、太陽が写せないので、周りの雰囲気を定期的に写した写真をどうぞ。
徐々に、暗くなってきているのがわかると思います。
この間、すぐ脇の奄美空港から3機程飛行機が飛び立っていきました。
最初、その飛行機は定期便だと思っていたので、このタイミングで飛び立てる人はラッキーな人たちだな、などと暢気に思っていたのですが、数機立て続けに飛び立っていくのを見て、これは最初から上空で観測する人たちを乗せた飛行機だという事に気づきました。
飛行機を使えば雲のない上空に出られ、ほぼ確実に皆既日食を観測する事が出来るわけで、そんなブルジョア観測はズルイなぁ。。。
と薄雲のかかった空だけでなく飛び立っていく飛行機まで恨めしそうに眺めるハメに。。。
ものすごく分かりやすい貧富の差を見せ付けられた気分。。。Orz
皆既の5分前くらいになると辺りはかなり暗くなり、東の空が夕焼けのような色に変わってきました。
それまで欠けている筈の太陽は雲に乱反射して、いつまで経っても丸い形を保ったまま、欠けているのかどうか分からない位の大きさで照らしていましたが、皆既の1分位前になって、その大きさが急速に小さくなり始め、それにあわせて回りも一際暗くなってきました。
そして。。。
最後の一筋の光が完全に収束し、太陽の光が全く見えなくなると、周りから歓声と拍手が上がりました。
ついに太陽が完全に隠れてしまいました。
雲に覆われている中での皆既なので、厚い雲が流れてきて隠れたんだよ、と言われれば信じてしまいそうなくらい、なんだか現実感溢れる皆既日食の瞬間です。
当然、ダイヤモンドリングが見えるわけもなく、辺りは曇りの日の夕方のような雰囲気です。
ただ、さっきまで後ろの繁みでやかましく鳴いていたセミや鳥の鳴き声が皆既の直前にぴたりと止み、辺りは不思議な静寂に包まれました。
波の音もしなかったように思ったのですが、それは気のせいかな?
この不思議な時間はそう長くは続かず、3分弱で再び一箇所から光が漏れ出しました。
これで、第三接触が終わったことになります。
それに伴って空はふわーっと明るくなり始め、周りの観測者も「終わった終わった~」という感じで撤収を始めました。
そしてさっきまでシーンとなりを潜めていたセミの鳴き声も戻り始めてきました。
車に戻ってラジオをつけると、「日食はこの後第四接触まで続きますので、皆さん最後まで見てみて下さい」とアナウンスしていましたが、肝心の太陽に再び目を向けると、厚い雲に覆われてその姿がまったく見えなくなってしまいました。
ある意味ギリギリのタイミングだったようです。
太陽が見えなくなってしまっては、もはや長居は無用。
原付もカメラを撤収して、道が混む前に名瀬に戻ることにしました。
ところが。。。
目の前の通りはいつの間にか渋滞を始めています。。。
どんだけみんな早期撤収なんだよ。。。と思いながら、このまま渋滞にはまるのも気持ち悪いので、昨日のロケハンで覚えた裏道を通って、一旦島の西海岸へ。
ラジオでは、奄美パークで日食を観測していた専門家の人が、 「くもってダイアモンドリングやコロナが見えなかったのは残念と捉える向きもありますが、日食を経験できること自体がとても貴重な事。全てを受け入れる事が大切です。」と言っていたのを聞いて、慰められているような、誤魔化されているような気がしない事もないのですが、なんとなくそうだなと思えるような気がしてきました。
まぁ、悪天候で全く見れない事に比べればずっとマシですから。
西海岸から国道58号に出ると、こちらはガラガラ。
この58号線はこの先で空港から来る県道と合流するのですが、多分こっちの方が先にそこまでいけるはずです。
快適に走らせて県道との合流地点まで来ると、この辺はまだ混んでいないようで、案外するっと通過できました。
確実に渋滞すると予想していた龍郷町役場前の交差点は手前でやや渋滞していましたが、それでも10分ほどで抜け、後は渋滞している所もなく市内まで戻って来れました。