身延・東松山【1】(2010/04/10)
かつて、職場の同僚だったYちゃんという子がいる。この子とは2005年の社員旅行の際に一緒に観光して回った間柄なのだが、ただの同僚である。というか、カミさんも自分と同じ職場の人間なので、カミさんもまたYちゃんの同僚である。だから悪さはできないw
といってもカミさんに気を遣って疎遠にということもなく、お互い同僚同士として引き続き仲良くやらせてもらっている。で、この3人でこれまで何度かドライブに出かけたりもしているのだが、前回のお出かけから少し間が空いたこともあり、そろそろまたどこか行こうかという話になった。
なんとなく日程が先に決まり、お出かけの日は4月10日と決まったのだが、なぜか目的地がなかなか決まらなかった。だが、出発の数日前になって、テレビで関東近郊の桜の名所を訪ねる番組を見ていたら、山梨にある身延山の桜が見事だった。身延のあたりは自分らもあまり行ったことがない場所なので、散策を兼ねてその桜を見に行きたくなり、みんなに提案してみたところ全員一致で賛成となったので出かけてきた。
身延山久遠寺:
2010/04/10
Yちゃんを地元の駅で回収しそのまま身延山へと向かった。都内からだとまず中央道を甲府の手前まで進んで、後は一般道で南下する。特に行楽シーズンというわけでもなかったので、渋滞に巻き込まれることもなく、2時間ちょっとで身延山の入口に到着した。
最寄りの駐車場に車を置いて散策開始。身延山は山梨県の中南部に位置する標高1,153mの山で、日蓮宗の総本山である久遠(くおん)寺がある。この久遠寺の境内が桜の名所で、特に樹齢400年以上と言われるしだれ桜が見事だそうだ。
駐車場から久遠寺の山門までの間は緩やかな上り坂で、その両側に門前町が広がり様々な店が並んでいた。

その道すがらにみのぶまんぢゅうと看板を掲げた和菓子屋があり、店先のせいろから盛大に湯気を上げていた。身延銘菓であるらしく食べてみたかったのだが、甘味は参拝を済ませてからだと両名からツッコミをくらい、見送りとなった。
後ろ髪を引かれながらさらに進んでいくと山門が見えてくる。山門の前にもしだれ桜があり、丁度見頃を迎えていた。これを見ただけでも桜見たい欲はだいぶ満たされたが、せっかくここまで来たのだから本堂へもお参りをしておきたい。
ということで、山門をくぐると、
これである・・・。根性ない奴はここで帰れ、といわんばかりに消失点に向かって一直線に階段が続いていた。
覚悟を決めて登り始める。
ええ、登りましたよ頑張って。途中で何度も小休止したけど。
だが、登り切るとそこが境内だった。
よかった、消失点は実はフェイクで、その先に折れた道が続いて更に登っている、なんてことになっていたら挫折するところだったw
本堂の手前には五重塔もあり、そしてここで写真を撮ってください、といわんばかりにしだれ桜が絶妙なアクセントになっていた。
だが、このしだれ桜は前哨戦である。
こちらが樹齢400年以上とされるしだれ桜。樹勢は全く衰えておらず大きく広げた枝に沢山の花をつけていた。いやはや、これは見事なものだ。シーズン的にも見ごろど真ん中でいいタイミングで来られたものだ。

境内にはその他にも至るところに桜が植えられていて、そのどれもが満開に咲き誇っている。見上げるしだれ桜も良いが、こうして間近で眺める桜も良い。ここでお弁当を広げたらさぞ美味しいだろう。持ってこなかったのが悔やまれる・・・。
久遠寺奥の院:
お寺へのお参りと桜の鑑賞を済ませ、そのまま本堂の裏手の方へと回ってみたらロープウェイ乗り場があった。
身延山山頂には久遠寺の奥の院があり、そこまで一気に運んでくれるらしい。

面白そうなので、ロープウェイで頂上まで運んでもらうことにした。乗り場にはいくらか行列ができていて、その行列に並んで待っていると、15分ほどでやってきたロープウェイに乗車することができた。

ゴンドラは昭和テイストあふれる小ぢんまりとしたもので、恐らく20人くらいで満員になるくらいのサイズしかない。
ただし案外頻回に往復しているので順番待ちの列はスルスルと進んで、それほど待たずに乗ることができた。
そして山頂の奥の院でもお参りを済ませる。
奥の院の周辺には展望に優れた見晴台があり、そこから身延川に削られた谷間が見えた。空気が澄んでいる時には、ここから伊豆半島の方まで見渡せるそうだ。冬の晴れ間に来たらさぞ絶景だろうと思うが寒いんだろうなぁ。
そうして休憩を挟みつつ山頂周辺を30分ばかり散策した。自分の足で登らずともこんな見晴らしの良い所に運んでくれるなんて、文明の利器ってやつはすげぇもんだな、とプリミティブな感動をしながら絶景を堪能した。
と、ぼちぼち昼時が近づいてきた。いい感じに腹が減ってきたので頃よいところで下山。

再びロープウェイで麓の駅まで戻って、境内から脇の方を見ると眼下に広がっていたのは駐車場だった。なんだ、こんなところに駐車場あったのか。で、その駐車場からここまでの間を写真の搬器が結んでいた。そこの駐車場に車を置いて、これに乗って来たらあの階段を登らずして参拝ができたのか。まぁ、苦労をした後の参拝はまた格別なのでそれはそれでよいのだが。
とはいっても、あるのを知っちゃったからにはちょっと乗ってみたい。見た感じモノレールとケーブルカーの合いの子の様な構造物だが、近くに行ってみると斜行エレベーターと表記されていた。エレベーターなのかこれ。
どう見てもエレベーターのそれには見えないが、搬器に乗り込むと上と下のボタンがあって、自らそのボタンを押さないと動かない仕組みになっているところは確かにエレベーターだった。エレベーターの定義というものを考えさせられる物件だ。
ボタンを押下してカゴが動き出すと景色が斜め下の方へと動いていく。かごの中はエレベーターっぽい感じなのに、見える景色の動きが妙でなんだか笑えてくる。
1分ほどで下階に到着。あっという間だったが物珍しい乗り物に乗ったような感じがしてなかなか楽しかった。
その駐車場から自分の車を停めた駐車場まで少し離れている。歩いて戻る道にも桜が点々と植えられて、いずれも見ごろを迎えていた。考えてみたら満開の桜並木を歩くのは久しぶりだ。
そば たつみ:
車に戻って、それから昼食を取りに行くことにした。といってもこの辺りの店のリサーチは全くできていない。車を走らせながらよさげな店を見つけたら入ろうと話していたのだが、走らせて程なく車内の女性陣が、あそこ美味しそうじゃない?と声を揃えた店があったのでそこに入ってみることにした。

その店はたつみという名前だった。手打ちそばを中心に地の物を提供している店らしい。

お出かけからこのエントリをまとめるまでにちょっと時間が空いてしまったこともあり、なんというメニューを注文したのかは失念してしまったが、カミさんは写真のようなそばと炊き込みご飯のセットを注文している。

一方自分はミニカレーが付いた山菜そばを頼んだようだ。店は女性が切り盛りしていて、両方ともそばに季節のお花が添えられていて優しい気づかいが感じられた。味は普通に美味しかったが、量も優しくて男の胃袋には少々物足りなかった。
そういえば、帰りに門前町を通らずに帰ってきてしまったので、例のみのぶまんぢゅうを食べそびれてしまった・・・。