箱根散歩【1】(2010/06/19)

自分の職場が加入している健康保険組合は関東では比較的規模の大きな組合で、そのスケールメリットを活かして様々な福利厚生施設が格安で利用できるようになっている。ところがこれらの施設は多くがリゾート地にある。そのエリアで保養を兼ねてのんびりさせることが目的となっているので、観光地に行ってはあちこちを転々と旅する我々のようなスタイルにはイマイチフィットしない。

というわけでせっかく安く利用できる保養施設があるというのに、これまで一度も使ったことがなかったのだが、毎月安くない保険料を納めているのだから、たまには活用して払った保険料の一部を取り返しておきたい。だったらあえてあちこちぶらつかずに保養そのものをメインにしたお出かけを企画するか。とはいえ宿泊施設で1日くすぶっててもしょうがない。なので宿近くにほどよく散策できるような見どころがあるようなところの保養施設にしたい。

そういう条件で探すと箱根にある保養施設がベストな感じだった。箱根は過去に何度も訪問しているので、どうしても行っておきたいという場所はないけど、ちょっと散策しようと思えば近隣にあれこれ見どころがある。その加減が丁度良さそうだった。

 

といっても、じゃあその施設を予約して一丁上がり、というわけにはいかない。その健保は施設予約する際に、泊まりたい日をピンポイントで指定できないのだ。正確にいうと利用したい月の2カ月前の締め切り日までに利用希望日を第三希望まで書いて申し込んでおき、後日抽選結果が送られてくるシステムになっているので、希望を出した3日間のうちのどの日で確定するかがすぐに分からないのだ。それでも当たればまだ良いが、天下に名だたる観光地である箱根とあっては、抽選の倍率が高くてなかなか当選しない。

だから毎月のようにカミさんに空きの日程を確認して申し込みを繰り返すことになる。それでも2ヶ月も先の予定となると、3日間空けておいたうちどこかは埋まってしまうことがある。

そんなわけで、我々のように思い付きで旅に出るような人間にとってはこの上なく使いづらいシステムなのだが、それでもめげずに毎月のように申し込みを続けていたら、4月に申し込んだ分が当選したと通知が来た。その日時は6月19日だった。一応その日はまだ埋まっていなかったのだが、よりによって梅雨時だ。雨は大丈夫だろうか。

 

まぁ、いずれにしても当選したのでもうその日に箱根に行くしかない。だが自分はその少し前くらいから急に業務が多忙になっていて、旅行計画を立てる余裕がなかった。一応、隙間時間で下調べくらいはしたのだが、そこで決められたのは移動手段を鉄道にするということだけだった。

それは少し前に運行が始まった地下鉄千代田線と小田急線を直通するロマンスカー、メトロはこね号に乗ることをマストにしていたからだ。東京の地下鉄路線にクロスシートの特急列車が入ってくることなどこれまでありえないことだった。クロスシートの列車の車窓から見る地下鉄の線路はどんなものだろうか、とても興味がある。それに、この列車の始発駅となる北千住駅は自分らの住む町のすぐ近所である。つまり近所の駅から箱根まで乗り換えなしで運んでくれるのである。

というわけで出発前までにメトロはこね号(と帰りのロマンスカー)のチケットの手配だけは済ませておいた。結局それ以外は何も決められなかったが、まぁ保養のためのお出かけなのだから、たまにはノープランで行くのも悪くはないだろう。

 

これで最低限の準備はOKだと思っていたのだが、数日前に箱根の交通機関に乗るのなら箱根フリーパスという周遊券を利用した方がお得に回れることを思い出した。この周遊券が買えるのは小田急線の各駅の券売機か小田急トラベルの窓口しかない。ところがそれに気づいたのが出発の2日前で、もはや新宿駅まで行って買う余裕がない。小田急トラベルは北千住にもあるのだが、こちらも10時開店なのでやっぱり立ち寄ることができない。

というわけで小田急線区間での利用は諦めて、箱根湯本に到着した時点で購入することとなった。せめて千代田線内の券売機でも売ってくれたらいいのに・・・。

 

メトロはこね:


2010/06/19

そんなわけで慌ただしく過ぎ行く日々の中で迎えた当日。メトロはこねの始発駅となる地下鉄の北千住駅へと向かった。

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普段は通勤、通学や近所へのお買い物に行く人たちが電車を待っているはずのホームに、リュックを背負った人やスーツケースを引いている人の姿が目立っている。なんか妙な違和感を覚えた。

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数分後、列車が入線してきた。車両は60000形という専用車両があてがわれている。千代田線に流線型の車両が入線してくるのもまた凄い違和感である。

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この列車に乗ると終点で降りた時にはもう箱根だ。ワクワクしながら列車に乗る。

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クロスシートが並ぶ車内は完全にリゾートへと向かう列車のそれだが、窓の外には見慣れた千代田線の丸い柱と緑色の駅名標。なんかバグっている。

着席すると程なく発車。地下鉄線は数分おきに列車が入線してくるのでのんびり停車していられない。

しかし、東京の地下鉄でクロスシートの特急列車に乗れる時代が来るとは思わなかった。まぁその特別列車で見える景色はトンネルの壁しかないのだが。ただそんな壁でも、ロングシートに後ろ向きに座って窓の外の景色を見るわけにもいかないので、大人になると案外自分の背中の後ろ側にある景色は見られないものだ。

ちなみに小田急ロマンスカーといえば前面展望車がその代名詞になっているが、この60000形は地下鉄に直通するためのお約束として先頭車に貫通扉が設けられているので前面展望車はない。もし前面展望車付きのロマンスカーだったら、地下鉄トンネルを運転士になった気分でかぶりつけるので、きっと大人気の車両となることだろう。

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メトロはこね号は千代田線内も多くの駅を通過する。停車するのは大手町、霞が関、表参道の3駅のみ。とはいっても途中に追い越しできる施設がないので、1本前を走る列車をひたすら追いかけて進むしかなく、所要時間は各駅停車と大して変わらない。

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30分もすると千代田線の終点代々木上原駅を通過。そこから先はいつもの小田急線になるので目新しさはなくなる。しかし、たまに千代田線を乗り通すといつもその長さにうんざりするのだが、クロスシートの列車で通過したら思いのほかあっという間だった。やはり景色が新鮮だと時間が早く感じられるのかもしれない。

それにしても天気が微妙だ。案の定、梅雨時なのでしっかり雨の予報が出ている。今のところ降っていないがこれから山の上に行くわけなので降ると思っていた方がよさそうだ。

Posted by gen_charly