北東北の旅【5】(2010/08/15)
御崎港:
それからようやく大理石海岸での釣りの時間だ。大理石海岸は地磯が続く海岸で、適当なところに場所を定めて釣りをするつもりだったのだが、ここでひとつ問題が生じた。今回、従弟の奥さんが同行しているのだが、奥さんは釣りをやらないそうだ。なのでどこかで見学していてもらう予定だったのだが、周囲に日差しを遮れる日陰がどこにもない。奥さんはお腹に赤ちゃんがいることもあり、あとはうまいことよろしくというわけにもいかない。結局場所を変更することになった。
従弟はこの辺りで年中竿を出しているので他の釣り場も熟知していた。結果、ここからさらに南下して、唐桑半島の先端に位置する御崎港という堤防が仕切り直しの舞台となった。既に15時を過ぎておりあまり時間が残されていない。短期決戦にあたり偽エサでは効率が悪いということで、イソメを求めて途中にあったコメリに立ち寄った。が、この店には取り扱いがなかった。従弟はしきりに首をかしげていたがないものはない。仕方なくアイスクリームを購入。もちろん人間様が食べるためだ。
肝心のイソメが手配できなかったので偽エサでチャレンジ。港には16時少し前に到着。太陽は既に向こうの山の後ろに隠れてしまっているのでさっきの大理石海岸と比べるとだいぶ凌ぎやすくなっていた。逆にいえばタイムオーバーまでの時間がそれほど残されていないことを意味する。とはいえこれから夕マズメの時間帯に入るので短期決戦で臨みたい。
いそいそと仕掛けを準備し、従弟、自分、カミさんの3人がそれぞれ釣り糸を垂らす。従弟の奥さんは堤防近くに停めた車に戻ったり、適当に降りて様子を見に来たりしている。
適当に括り付けた偽エサで適当に放り投げたらすぐさまアタりがあった。お、と思って引き上げ見ると小さなアイナメ。これで坊主逃れは完了。と、続けて従弟の竿にもアタりが。上げてみるとこれまた小さいカジカ。大きいのを釣りたいところだがあまり大型のものは入ってきていないのかもしれない。
ちなみに我々の釣りのスタイルとしては爆釣時は別として食えるものなら基本小魚でも持ち帰ることにしている。1度釣った魚は弱ってしまうので海にリリースしても長生きできないのではないかと思っているからだ。まぁ、幸先の良い感じなのでこの調子で行きたいところだ。
・・・そう思っていたのだが、まさかの自分が真っ先にリタイヤを喫する羽目になった。というのもこの日は朝から鼻炎にやられていて一向に治る気配がなく難渋していた。とはいえ従弟を誘ったのは自分だし休みを調整して来てもらっているので自分が一抜けするわけにはいかない。
なのでだましだましやり過ごしていたのだがここへきて頭痛まで始まってしまった。下を向くと頭をハンマーか何かで殴られたような痛みが走るのがどうしようもない。釣り中、仕掛けを付ける時はもちろんだが、竿先の様子を見ている間も基本的に下方を向かなければならないのでその度に傷みが襲ってきて全く集中できない。
結局限界を迎えてしまい、暫く従弟の車で休養することになった。何とも不甲斐ない。

1時間ほど仮眠をしたら幾分回復した。車を降りて彼らのところに戻ると、それからはあまりパッとした釣果が得られなかったらしい。バケツの中は寂しい限りだった。それから自分も30分ばかり再参戦したが全くアタりのないまま日没で試合終了。
昨晩、伯父さんに釣りに行くことを話したら、坊主になった時にごまかそうと思ってもサンマだけは買って来るなよ(=サンマは堤防では釣れない魚だから)と散々からかわれた。それでこのまま帰宅したらまたからかわれるから、アジの干物でも買って帰ろうか(=それも間違い)などと冗談を言い合いながら帰宅した。
家へと戻る途中従弟の携帯が鳴った。昨日お見舞いに行ったじいちゃんの弟さんが息を引き取ったということだった。昨日お見舞いに行った時には既に意識はなく人工呼吸器に繋がれて肩で息をしているような状態だったので、いつお迎えが来てもおかしくはない感じではあったのだが・・・。お盆時はご先祖様がお迎えに来るから海に落ちたりしないように気を付けるんだぞ、と出かける前に伯母さんから口酸っぱく言われていたのだが、本当にそういうことってあるのかもなと思った。いつ自分にお迎えが来るかもしれないのでお盆時期は気を付けた方がよさそうだ。
幸か不幸か車の中には礼服を忍ばせてある。必要あらば今後の予定を変更して葬儀に参席しなければならなくなりそうだなと思ったが、従弟によると我々はこれまであまり交流のない人だから参列は不要と言われたそうだ。ただし、おじさんおばさんは葬儀の段取りの打ち合わせで今から出かけるので夕食は勝手に済ませてくれとのこと。
家に戻ってありあわせの物で夕食をこしらえた。釣ってきた魚は従弟が捌いてフライにしてくれた。図らずもおじさんにからかわれることなく証拠隠滅することができた。フライは加減が絶妙でなかなか美味かった。
さて、我々は明日朝に伯母さんの家を出発するつもりでいたのだが、急な不幸で伯父さんも伯母さんもバタバタしているので手を煩わせないように今晩出発することにした。葬儀の打ち合わせを終え、21時頃に帰宅した伯母さんにその旨を伝えてそれから家を出発した。
既に自宅に戻っていた従弟にその話を伝えたら、竿を1本譲りたいので出発時に自宅に寄って欲しいと言われた。竿を貰えるなんて願ってもない話なのでまずは従弟の家へと向かう。従弟から譲り受けたのは長竿とベイトリールだった。ベイトリールはルアー釣り用のリールでキャスト時のリリースがスムーズにできるよう工夫されたものだ。従弟はもっぱら地元の溜め池などでバス釣り用に使っていたものだそうだ。自分は淡水もルアー釣りもまだ未経験。使いこなせるか何ともいえないがありがたく頂戴した。
従弟とも別れを告げ、一関ICから高速に乗る。本来明日朝まで伯母さんの家に滞在する予定だったので、早々に出発したはいいがあてがあるわけではない。鼻炎が治らず調子も良くないので高速に入って早々に最寄りのSAに滑り込んですぐに就寝。