奥秩父名所めぐり - 8(2012/03/18)
— 埼玉のマチュピチュ —
無事良縁成就のお参りを済ませられたところで、次の目的地へ向けて出発。
登ってきた道を再び麓まで降り、秩父湖の堰堤を渡って今度は左折。
上述の通り、この道はこの先のトンネルで秩父市街方面へ向かう国道140号線に合流するのですが、合流地点はY字路になっていて左折は不可能。
なので、国道140号線を栃本方向へ行くには、一旦秩父方面へそのまま進んで、トンネルを抜けてからUターンしなければならないのですが、今回は堰堤の端のトンネル入り口との間にある道が左折可能になっていました。
左折してすぐに国道と合流し、その先は引き続き離合困難な道が続きます。
上でこの道を国道140号線と書きましたが、今ではこの道は旧道になっていて、かつて山梨へ抜ける雁坂トンネルが開通する以前、長らく「開かずの国道」 と呼ばれていた頃に使われていた道です。
原付が中学生だった頃に訪れた当時もまだ行き止まりだったので、一番突き当りまで行って戻ってきた事を憶えています。
現国道の開通に合わせて、この旧国道も現国道に合流する形でやっと通り抜けできるようになったのですが、メインルートは現国道に変わったので、今では専ら栃本集落の生活道路として使われていてます。
そんな一車線の道を進んでいくと、現国道に合流する少し手前に「栃本の関所跡」があります。
いかんせん、離合場所すら殆ど取れないような急斜面に作られた道なので、関所跡に駐車場はなく、100mくらい先にある少し道幅が広くなったところに停めることになります。
道の向こうは結構深い谷間になっていて、その斜面にへばりつく様に民家や畑が並んでいます。
「日本のマチュピチュ」といえば兵庫県の竹田城跡が有名ですが、これだけ奥深い山里はもはや「埼玉のマチュピチュ」くらいに呼んでも良い気がします。
え?勝手に遺跡にするなって?
それは失礼しました。。。
その狭い谷にへばりつくように関所跡が有ります。
この道はかつては秩父往還と呼ばれ、秩父と甲州を結ぶ重要な道でした。
そこに16世紀に武田氏が設置したのがこの栃本関所なのだそうです。
今残っている建物も2階は明治になって増築されているものの、1階部分は江戸時代に作られたものがそのまま残っていて、当時の面影を残しているそうです。
しかし、残念ながら旧大滝村はもとより、秩父市も余り観光資源としては考えていないのか、雨戸が硬く閉ざされていて内部の様子を窺い知ることは出来ません。
確か20年前に来た時も中は見れなかった気が。。。
ということで、みんなには限界集落、というか天空の城、というかそんな雰囲気を肌で感じてもらうことでお茶を濁すことに。
集落をそのまま抜け、新道との合流地点へ向かう途中、
木の根から巨大なつららが垂れ下がっている木が有りました。
外はコートを脱いでも暫くは平気なくらい暖かくなってるというのに、日陰に入るとまだまだ寒いんですね。
そのまま進んで現国道に合流すると、さっき100年位前にタイムスリップしたような道を走っていたのがウソのような、近代的な道になります。
今回の旅も終盤戦、最後の目的地である「橋立鍾乳洞」へと向かいます。
— ダムマニア —
その途中、女性陣がトイレ休憩を挟みたいというので、「滝沢ダム」のトイレを借りることにしました。
ダムのほとりにちょっとした駐車場があった気がしたので、そこを目指して走らせていたのですが、なぜかある筈の駐車場が見つかりません。
その先に駐車場が見えたので、一旦入ってみると、そこはダムの管理事務所でした。
いつの間にダム完成してたんだ。。。
というのも、雁坂トンネルが開業したばかりの頃ドライブコースとして何度かこの道を走っているのですが、何度目だったか夜に通った時、突然暗闇の中に浮かぶ秘密基地のごとく、谷間に明かりが煌々と照らされている光景に出くわし、それが滝沢ダムの工事だったことを、ダムの予定地を見下ろせる件の駐車場の看板で知ったのでした。
この工事は24時間態勢で行われていて、辺りには明かり一つ無い山中でそこだけが明々している光景に何ともいえない胸騒ぎというかワクワクした気持ちを感じて、以来何度か夜に訪れて駐車場からその風景をぼんやりと眺めていたものです。
数年前に引っ越したことで、山梨方面が遠くなったことから足が向かなくなっていたら、いつの間にか完成していたという訳です。
調べてみると昨年(2011年)の6月に完成したそうです。
管理事務所の脇にトイレがあったので済ませて外に出ると、管理事務所の入り口に最近ダムマニアの間で収集するのがブームになっているというダムカードがおかれていることに気づいて一枚いただきました。
それから巨大なダムを眺めたり写真を撮ったりしていたら、ダムの最下部までダムの中を降りるエレベーターがあると書かれた看板を見つけました。
しかもなんと一般公開している、と言うでは有りませんか。
俄然降りてみたくなったので、二人に聞いてみると、二人とも行ってみたい、というのでダムの堤体を経由して、エレベータースペースへの入り口へ。
堤体から下方を見ると、山肌に沿って作られた階段の踊り場の形が少しずつ変わっていて不思議な幾何学模様を作っていました。
吐水口の真上から見ると140m有るのですが、一つ一つの構造物が巨大なせいか余り高さを感じませんでした。
エレベータ室への入り口にもちゃんと案内表示が出ています。
数年前まではよほど特別な時でなければ立ち入れなかったことを考えると隔世の感ですね。
エレベーターで下までおよそ1分。
エレベーターを降りると、そこから延びている通路の両脇にはダム湖周辺に生息する生き物を紹介するパネルがずらりと並んでいて、そこを通り抜けると、予想もしなかった登り階段が現れます。
エレベーターは一旦本当に基礎の最下部まで降り切ってしまうので、外に出るためには一旦階段を上がらなければならないようです。
この階段が案外長くてめげましたが、何とか登り切ると扉の向こうに外の明かりが見えてきました。
扉の手前には職員が巡回に使うと思われる自転車が置かれていて、後ろにテプラで自転車の名前が貼られているのですが、これが、「滝沢ダム管理所フルル号」 とその姿に似合わない何ともメルヘンチックな名前が付けられていました。
それを見て、原付が小学生の頃、友達と貨車の写真を撮りに大宮の操車場へ行った時に、先導してくれた職員のクラシカルな自転車の泥除けに「トヨタ2000GT」とマジックで書かれているのを見つけて、ずいぶん大きく出たものだな、と思ったことを思い出しました。
それはさておき、外に出るとそこは吐水口をセンターに挟んだ芝生の広場になっています。
背後を振り返ると、高く聳え立つダムの姿を見ることが出来ます。
上から見た時はさほど大きさを感じませんでしたが、下から見るともの凄く巨大で圧倒されます。
何処かからニワトリが鳴くような「トーットットット・・・」という鳴き声が聞こえ、カミさんが「どこかでニワトリでも飼っているのかな?」と言うのですが、こんな人気のない山奥でニワトリを飼育しているとも思えず、なんだろうと思いながら耳を澄ましてみたのですが、音の出所が良く分かりません。
分からないので、探すのは諦めて少し周囲を散策し、それから排水溝の網の上で靴底に付いた泥を落としていたら、その音に反応して鳴き声がぱったりと聞こえなくなりました。
こんな靴の音に反応する位なら、音の主は割と近い所にいそうですが、結局見つけることは出来ず。。。
もしかしてニワトリの鳴き声に似た声で鳴く生き物って他にもいるのかな?
ダム観光は思ったより楽しめましたが、元々予定になかったコースなのに少し時間を食ってしまいました。
橋立鍾乳洞の観覧時間が終わってしまうとまずいので先を急ぐことに。