岐南ドライブ - 2(2012/05/05)
— モーニングセット —
到着した夜中のうちはまだ良かったのですが、夜が明けると新幹線が目の前を爆走する音で何度か起こされ、結局7時半頃に起床。
今回の寝床になった羽島パーキングエリアは、行ったことがある人はご存知のとおり、主要高速のパーキングの癖に都市高速のそれに匹敵するほどのかなり狭苦しいパーキングで、併走する東海道新幹線のせいで駐車スペースが一列しかない上に、施設はトイレと自販機のみと、かなり割り切っています。
そんな場所なので、すぐに出発。
大垣インターで高速を降りてから適当に走って見つけたコメダ珈琲店で朝食にすることにしました。
一昨年の年末年始に初めて行った時に、 モーニングの意味を良く分かっていなかった(笑)せいでありつけなかったモーニングセットを注文。
やっとリベンジを果たすことが出来ました。
モーニングセットといっても厚めのトーストが半分とゆで卵が付くだけなので、腹はあまり膨れないのですが、まぁこれはそういうものなのでしょうがないですね。
— ダムに沈んだ徳山村の痕跡を探しに —
お腹もなんとなく膨れたので、一路徳山ダムに向けて出発。
なぜしょっぱなからダム観光かというと、近年脚光を浴びつつあるダムマニアの一員になるべく、先日行ったダムカードを集めたいと言うのもあるのですが、 このダムはダムマニアの皆さんとはまた別の方面でも非常に有名なダムで、以前から一度その姿を見てみたいと思っていたからです。
徳山ダムは2008年に完成した比較的新しいダムですが、 その端緒は戦後まもない時期に計画されたダム計画まで遡ります。
計画が発表されるや、賛否それぞれ激しい論争が巻き起こってなかなか着工出来なかったため、計画から完成まで実に58年もの歳月がかかっています。
この地にはかつて徳山村という山あいに開けた小さな村があり、風光明媚な静かな山村だったそうですが、 ダム計画によって村のほぼ全ての集落が沈むことから、村外への移転を余儀なくされて1989年に全ての住民が徳山村を離れます。
また、先立つ1987年には徳山村は隣接する旧藤橋村に吸収され、地図上から徳山村がなくなっています。
(旧藤橋村も現在は揖斐川町に吸収されています。)
上述の通り、1989年には全住民が離村しているにも関わらず、その後も紆余曲折があって、工事はなかなか始まらず、結局2000年にようやく着工されるまで、集落の跡地は放置されたままの状態になっていました。
木造の建物は比較的早い時期に解体・撤去されたようですが、鉄筋建ての小学校や、橋などの構造物、一部の看板などが現地に取り残されていたことから、廃墟マニア系の人たちの間では超有名物件として知られていました。
原付が徳山ダムの存在を知ったのもそれらの廃墟系サイトからなのですが、中でも落ち着いたトーンで全国各地の廃村の探訪記をまとめられているHEYANEKOさんという方が記した探訪記には原付も心を打たれました。
HEYANEKOさんのサイトを見たことがきっかけで徳山村のことを調べたときに知った、増山たづ子さんというおばあさん。
ある日、思い立ってコンパクトカメラを片手にひたすら写真を撮りまくり、徳山村の沢山の日常を切り取り続けてこられた方です。
その数実に8万枚。
写真集も出版され原付も入手したのですが、それらの写真の一つ一つに素朴な村の日常が良く切り取られていて、とても還暦を過ぎてから手習いで撮影した写真とは思えない迫力に満ち溢れているものばかりでした。
ダム建設の是非について否定的に語られることが多くなってきた昨今では、増山さんの写真を建設反対を情緒的に訴えるために使われることも多かったようですが、ご本人はダム建設については賛成でも反対でもなかったとのこと。
それはさておき、原付はダムが湛水を始める前からその存在は知っていて、いつかその寂寥とした景色をこの目で見てみたいと機会を窺っていたのですが、結局行けないままダムが完成してしまい、その時は自分の行動力のなさを恨みました。
今更行っても痕跡らしきものは何もないのかもしれませんが、それでもいいから一度その姿を見て気持ちを納得させたいと思ったのが徳山ダムへ足を運ぶ事にした動機です。
国道303号線をひたすら北上すると、やがて道の駅「星のふる里ふじはし」 が見えてきます。
渋滞と体力の限界がなければ、昨晩のうちに来ておきたかった場所です。
敷地内には「藤橋の湯」 と言う名前の温泉が併設されています。
昨晩風呂に入れなかったので、朝風呂を決め込もうとカミさんに話して店の前まで行ってみると、 オープンは10時からで、時計を見るとあと15分くらいの時間が有りました。
それなら先に他の施設を見学しつつ情報収集をしてしまおうと、観光案内所風の建物に入ると中にいた案内係と思しき女性から声をかけられました。
「徳山ダムへ行かれますか?徳山ダムはゴールデンウィーク期間中は自家用車の通行規制をしていますので、藤橋城からはシャトルバスにご乗車ください。」
上述の通り、徳山村の遺構を探しに行くつもりだったので、通行規制は予想外でした。。。
通行規制をやっている理由は、
「ゴールデンウィーク期間中は徳山ダムからの観光放流があります。時間は11時、13時、14時、15時、16時です。」
ということで、これはまたレアなタイミングに来たものです。
またとないチャンスなので是が非でも見たいところですが、風呂に入っていると次の11時の放流は間に合わず、その次は2時間空いてしまうので、朝風呂は後回しにして先にダムを見てくることにしました。
お礼を言って早速見に行こうとしたとき、カミさんが「ちなみに、この辺でどこかお勧めの温泉とかありますか?」 とナイスな質問。
この後どちら方面へ行かれますか?と聞かれたので、郡上八幡に行く予定だと伝えると、
「それでしたら道の駅の『古今伝授の里やまと』のお湯がとてもよいと評判ですよ。」
とのこと。
この辺の温泉の事は聞けませんでしたが、郡上八幡方面で入るお風呂はこれで決まりました。
お礼を言って再び出発。
程なく横山ダムという小規模なダムがあり、その先で国道417号が分岐します、というか417号は直進で、これまで走ってきた303号が左折して横山ダムを渡っていくようになっています。
417号に入ると道は急に細くなり、またダムに沿ってカーブが続く道に変貌します。
あたりに人家はなく、若干心細さを感じながらハンドルを右へ左へ切っていると、やがて視界の先に天守閣が唐突に飛び込んできます。
この天守閣は藤橋城と呼ばれていますが、古城でも再建城でもなく、 実はプラネタリウムなのだそうです。
周囲には他にも周辺の古民家が移築された歴史民俗資料館があります。
時間が無いので立ち寄りませんでした。
係員の指示に従って車を駐車場に置き、バスの止まっている方へ歩いていくと受付のあるテントがあり、運賃は往復200円とのこと。
カミさんは飲み物を買ってくるというので、原付が運賃を支払って先にバスに乗り込んで待っていると、やがて出発時刻になったようでバスがエンジンをかけ始めました。
カミさんがなかなか戻ってこないので、一瞬焦って席を立ったのですが、程なくカミさんが自販機の陰から顔を出したので、バスの中から「早く来い!」と手招きをすると、小走りで戻ってどうにか出発に間に合いました。