九州初日の出 - 19(2013/01/04)
— 土耳古ライス —
時計を見ると丁度昼前、お昼ご飯を求めて市内さるく(探り歩き=ぶらり歩き)をしてみる事にしました。
長崎といえば、なんと言ってもちゃんぽんが有名ですが、他にもくじら料理とかトルコライスとか色々名物があります。
ちゃんぽんとくじら料理はなんとなく気分じゃなかったので、トルコライスを食べに行く事にしました。
携帯とガイドブックでチェックして、近隣でメジャーな洋食屋である「メイジヤ」 がよさそうです。
その横でカミさんが「吉宗(よっそう)」 という茶碗蒸しの店に興味がある、と言い出したので場所を確認するとその店もメイジヤの近くにあるようです。
長崎まで来て茶碗蒸しもなかろう、と思ったら、老舗でかなりの名店とのことで、メイジヤが混んでいたら吉宗に行ってみようという事になりました。
メイジヤは大波止からはほぼまっすぐ行けば着く場所にあるのですが、カミさんは地図を読むのがニガテなタイプなので、トレーニングを兼ねて先導させてみる事にしました。
最初のうちは地図と見比べながらちゃんと進んでいたのですが、一つ目の交差点を渡って一本裏の路地に入る段になって早速道をロストした模様。。。
早いって!
ヒントを出したりアドバイスしたりしながら正しい道に復帰して、どうにか到着。
メイジヤは商店街のアーケードの中にあるのですが、場所が2Fなのでちょっと分かりづらいかもしれません。
まだ行列はなかったので、そのままここで食べる事になりました。
メニューを貰い、原付は最初からトルコライスのつもりだったのでそれを、カミさんが違うものも食べてみたいといってカレーハンバーググラタンを注文。
暫くして料理が出てきました。
トルコライスは、ご覧のとおりピラフとナポリタンの上に豚カツが乗った料理で、お子様の大好物目白押し的な食べ物です。
東京では余りなじみのない料理ですが、実際長崎以外では余りお目にかかれないご当地グルメです。
トルコライスとは名前がついているものの、トルコ発祥の料理というわけではなく、その由来や元祖に付いては諸説粉々のようです。
味はそれぞれ想像通りというか、分かりやすい美味しさで、素直に美味しいという感想が出てきます。
一方、カミさんの頼んだカレーハンバーググラタンは、これも味としては容易に想像が出来、また食べてみてもやっぱり想像通りという、これまた安心して美味しいと唸ってしまいます。
出来立てアツアツなのはもちろん、中にハンバーグが入っているので見た目以上に食べ応えもばっちり。
食べ終わってから、吉宗の方も気になったので様子を見に行ってみると長蛇の列で、お昼時に来るところではなさそうです。
次に来る事があったら一度訪ねてみたい所です。
さて、お昼も済んだところで、いよいよ今回の旅の最後の目的地、九十九島へ向けて出発する事にしました。
来た道を戻る途中、長崎電気軌道の路面電車が通りかかったので激写w
大波止の駐車場に戻っていざ佐世保へ。
カーナビで検索すると、推奨ルートは長崎自動車道を通っていくコースを示しました。
地図を見てもらうと分かるのですが、長崎県の地勢は非常に複雑で、諫早市のあたりから島原半島、長崎半島、西彼杵(にしそのぎ)半島の3つの半島が台風の雲のように三方向に腕を伸ばしたような形になっていて、それぞれの地域へのアクセスがややこしい事になっています。
高速は九州本土側を通っていくのですが、一旦佐賀県側に入り再び長崎県に出ると言うルートであまり面白くなさそうだったので、西彼杵半島を通って西海橋を見てから佐世保へ向かうことに。
西海橋はほとんど湖のような大村湾の口に当たる場所にかかる橋です。
西彼杵半島と九州本土は、間に針尾島という島を挟んで、 針尾瀬戸と早岐(はいき)瀬戸という二つの狭い海峡だけで隔てられているため、潮位差の影響で潮の流れが速い場所として知られています。
長崎の市内を抜けるまで渋滞につかまってしまいましたが、街の外れに出てようやく解消されてきたなぁと思ったとき、視線の先にふと気になる物体が見えました。
森の中からこけしのような岩肌がにょきっと顔を出していて、最初その形から巨大な大仏か何かと思ったのですが、良く見ると棒状になった岩の上に大きな丸い岩の塊が今にも落ちそうな微妙なバランスで乗っかっているように見えます。
ちょっとでもバランスを崩したら下の集落が大惨事になること請け合いです。
後で調べたら、この岩は「鯖腐らかし岩(さばくさらかしいわ)」という妙な名前がついていて、地元では割と有名な物件のようです。
かつて商人が町へ鯖を売りに行くときにここを通りかかり、もしかしたら通過中に落ちてくるかもしれないと不安になって、急いで通り抜けてしまうか、落ちてくるのを待ってから行くか悩んでいるうちに時間が経ってしまい、売り物の鯖を腐らせてしまった、という逸話がその名前の由来になっているとのこと。
上下の岩は本当にくっついておらず、背後から見ると上下の岩の間から向こう側が見えたそうですが、風化が進んでいて危険と言うことで今では特殊な樹脂で接着したので落下の心配は余りないそうです。
どこかから転がってきたようには見えず、まるで剣玉みたいに降ってきた岩を上手に受け止めているかのような状態に見えますが、かつては土の中にあって周りの柔らかい部分が侵食されてなくなったことで外に出てきたのではないかと言われています。
上下の岩の間の切れ目はそこに断層が通っていたのではないかと考えられているそうです。
軍艦島の建物もそうですが、九州北部というのは昔から余り地震の起こらないところなので、こんな不安定な状態のものがそのまま残っていると言うのはとても興味深いですね。
鯖腐らかし岩を過ぎるとようやく渋滞も解消して快適な一本道になりました。
途中のガソリンスタンドで給油した時に、久々にカミさんが運転してみたいというので、また交代しました。
そのまま助手席で景色を堪能しつつ一時間ちょっとで、西海橋の近くまで来ました。
西海橋の前に、もう一箇所見ておきたいところがあったので、まずは西海パールラインへ。
有料道路を走り出してすぐ、窓の外に不思議な光景が見えてきます。
三本の煙突?
いやいや、これは「針尾無線塔」 と呼ばれるもので、高さは135メートル、300メートル間隔で三本が建ち並んでいるのですが、建設されたのは大正時代といいますから、かなり年季の入った建築物です。
写真ではその大きさが伝わりにくいかもしれませんが、左下の灯台の島と比べるとその大きさが少し分かるかも知れません。
現在では運用を終了しているとの事です。
もっと近づいて間近で見てみたいところですが、日が暮れる前に九十九島に行かなければならないので、高速から眺めるだけで終了。
それから次の針尾ICで降りて、少し戻るような形で西海橋のたもとへ。
橋のたもとに「西海橋公園」という公園があるので、そこに車を置いてちょっと散策してみる事に。
西海橋は開通したころには、東洋一と謳われていたそうで、今でもどっしりとしたそのシルエットはなかなか立派な光景です。
また、足元の海峡(針尾瀬戸)は前述の通り大村湾と外界を繋ぐほぼ唯一の水路となるため潮の流れが激しく、時期や時間帯によってはうず潮を見ることも出来るそうです。
ちなみにもう一つの瀬戸である早岐瀬戸の方は針尾島の海岸線が九州本土に寄り添うような地形になっているので、その間の海峡は殆ど川か用水路かという感じです。
原付が訪れた時も潮が大きく動く時間だった様で、川の流れのような筋と細やかな波を見ることが出来ました。
現在は、西側にさっき通った西海パールラインが通る新西海橋がかかっているのですが、原付は開通直前の2006年1月にここへは来た事があります。
橋の下に遊歩道が出来ていて、歩いて渡ることが出来るようになっています。
(2006年の時の写真)
遊歩道を歩いてみたい気もしたのですが、時計を確認するともう15時半で、のんびりしていると日没までに九十九島にたどり着かない可能性があったので、散策もそこそこに出発。
市街地を高速で抜けて佐世保みなとICで降り、ナビの案内に従って見覚えのある九十九折の山道を登って行くと、「展海峰」 に到着。
ここは小高い丘の上にある展望台で、九十九島のうち南九十九島と言われる一帯が一望できる場所として知られ、ガイドブックなどでもよくここからの写真が使われています。
遊歩道を歩いていくと展望台が設けられていて、階段で上まで登れるようになっています。
背後には花畑があるらしく、行った時は特に何も咲いていなかったのですが、数分毎に鳥避けの空砲が鳴り響いて一瞬焦ります。。。
あと一時間弱で日没を迎えるため、若干翳った写真になってしまったのが残念ですが、展望台の上からは九十九島の島なみが一望できます。
佐世保市付近は宮城の松島と同様、リアス式の海岸になっていて、複雑に入り組んだ陸と海の境界線が風光明媚な光景を作り出しています。
特に一番手前にあり特徴的な島影を見せる松浦島は重要なアクセントになっています。
またパノラマ写真を作って見ました。
九十九島は遊覧船に乗って回る楽しみ方もあるのですが、展望台からの眺めは箱庭的に全体を俯瞰してみる事が出来るのでこちらからの眺めの方が面白い、とカミさんもご満悦の様子。
ここでも一頻り展望台で眺めを楽しんでから車に戻り、今回の旅行の予定は概ね消化しましたが、折角なので佐世保グルメも楽しんでおきたい所です。
佐世保といえばレモンステーキも有名ですが、今回は佐世保バーガーを食べてみる事にしました。