伊豆大島上陸【1】(2014/03)
例年、3月になるとカミさんの誕生祝いを兼ねて近場へ出かけているのだが、あちこち行っているうちにだんだんと行きたいと思う場所が少なくなってしまい、さて、今年はどこに行こうかなと考えあぐねているうちに3月になってしまった。
まぁ、そういうことなら今年はお出かけはナシでもいいかな、なんて考えていたところ、東京都が昨年秋の台風26号で被災した伊豆大島に対する復興支援として、椿まつりの開催期間中、運賃補助という名目でキャッシュバックを実施しているという情報を入手。
以前から大島も含め伊豆諸島へ行きたいと思っていたのだが、後述する種々の理由により今まで行けずにいたので、このキャンペーンは伊豆諸島への足がかりになるまたとないチャンスのように思えた。
しかし、そうは言っても30人を超える犠牲者を出した大災害が起こった場所へ、未だ傷も癒えていないであろううちにカジュアルな気持ちで訪れても良いものなのか、という一抹の不安も感じるのである。観光が主産業の島で観光客が来ないことは死活問題なので、いち早く観光客を取り戻すためのアピールは確かに必要だし、行政がそれをバックアップするというのはとても素晴らしいことなんだけど、被災された方との間でその辺の折り合いはちゃんとつけられているのだろうかといったあたりがどうしても気になってしまう。。。
そんなわけで、行ってみたいけど本当に行っても大丈夫なのか?と逡巡していたが、カミさんに聞いたら即答で「行ってみたい!」と無邪気な返事が返ってきた。
その返事を聞たらなんだか踏ん切りがついて、思い切って訪ねてみることにしたのだが、お互いのスケジュールを確認すると、二人とも空いているのがよりにもよってその週の週末の8日、9日の土日しかなかった。
いくらなんでも残り4日でチケット類を手配するのはムリだろう。やはり今回は行くべきではないのか?
手配を始める前から諦めムードになったのにはわけがある。というのも、伊豆諸島の島々に行くには1にも2にも予約がキモ、といったところがあり、往復の移動手段と宿泊先が手配できないと話が始まらないからだ。
しかも伊豆大島程の島であればレンタカーがなければ島に行った所で殆ど何もできない。
もちろん宿がなければ野宿上等、という心構えならば、チケットだけ手に入れて強行突破することもできなくもないが、流石にそんな若気の至りができるほど若くはないのだ。。。
というわけで予約を取る必要がでてくるのだが、これがなかなかに面倒なのである。
なぜかというと、、、
- 情報が少ない。
伊豆諸島はそれぞれが小さい島なので、大きな見所が少ないから、と言ってしまえばそれまでかも知れないが、市販されているガイドブックの殆どが伊豆諸島と小笠原をひとまとめにしたポケットサイズのものばかりで、各島の名所など網羅的に紹介しているガイドブックが売っていない。
以前小笠原に行ったとき、ガイドに書かれていることが少なかったので、島に着くまで時間が余ったらどうしようかと考えていたのだが、いざ行ってみると見どころは盛り沢山。これだけ見どころがあるならまっぷるやるるぶでも独立した冊子を仕立てることができるんじゃないかと思える程だった。
まぁ、あの手の雑誌は掲載してもらうためにいくらかお布施をしている、という話もあるので、島民にそういうのを嫌う人が多くて冊子を組める分量の記事が集まらないということなら今のままでもよい気がするが。。。w
- 交通手段が複雑
まぁ、複雑と言っても船か飛行機しかないのだが、たとえば伊豆大島へ行くことを考えた場合、羽田から出る全日空航路、調布から出る新中央航空航路、竹芝や熱海から出る東海汽船のフェリーと高速船、下田から出る新神汽船といった具合に5パターンもの行き方があるし、他の島へ目を向けると、そのパターンから高速船が無くなったり、逆に東京愛らんどシャトルのヘリコプター航路が追加されたりと言った具合にバリエーションが増える。
また、各島の間もたとえば、大島や新島から三宅島や八丈島へ行く手段がなかったりして、その島からどの島へリーチできるのかも、島の位置関係を把握していないと混乱してしまう。
この辺を網羅的に記載しているサイトがなく、例えば複数の島を渡って東京へ帰るコースを考えたとき、各島になるべく長時間滞在するにはどのようなコースが適当なのか、とか宿泊しないでその日のうちに他の島へ渡ることが可能か、とか更には日帰りでも見どころを回るのに十分な時間が取れるのか、といったことを調べようとすると、あちこち首っ引きで調べないと情報が得られないため、なんというか気軽さがない。
- 出港しない ・帰って来れない
これが一番問題かも知れない。
伊豆諸島の島々というのは、どの島も太平洋の真っ只中に浮かぶ孤島で、風や波の影響を非常に受けやすいことから特に冬から春の季節風や秋口の台風シーズンなどは欠航率が高くなる。
また、行きは出港できても、島に滞在中に天候が悪化して帰りの便が欠航ということが、伊豆諸島に限らず島旅では稀によく起こるw
(幸い自分はそういう場面に遭遇したことはないが。。。)
また、帰りの時期に天候が悪化しそうな予報が出ていたとしても、出発日に予定通り出港するなら運を天に任せて出発するか、安全策を取って自主的にキャンセルするかを選択しなければならず、非常に悩ましいことになる。
運悪く帰りの船便が欠航となってしまったら、幾分就航率の高い飛行機に変更するという手もあるが、考えることはみんな同じで、その場合空路もあっという間に満席になってしまい、乗れなければ自動的に一泊追加が確定だ。一泊ならまだしも、荒れた日が続いて数日に渡って足止め、などという笑えない事態に陥る可能性もあるのが怖い所。
いずれは行ってみたい島の一つ青ヶ島という島は船の就航率が低いことで知られていて、特に冬場の就航率は実に2割まで下がるらしい。2割というと月に6日しか就航できなかったりする場合もあるということだ。
まぁ、天気のせいにして強制的に有休をとるシチュエーション自体には憧れもあるが、無事帰ってきた暁に自分の席がなくなっていると非常に困るのでおいそれと実行できないのが悲しきサラリーマンのさだめ。。。w
そんな状況なので、普通の土日を使って気軽に訪ねるというのはリスクが高く、より安全な3連休などを使って計画を立てたりするわけだが。。。
- 予約が取れない
やはりみんな考えることは一緒、3連休ともなると予約がなかなか取れなくなってしまう。
もっとも、混むと言っても早いうちなら十分予約可能なレベルなので、早めに計画を立てないのが悪いと言われると何も言い返せないのだが、ウチらのように割と思いつきで旅をするようなパターンだと、思い立ったのが2週間前などということが往々にしてあり、その場合大概何かしらの予約が取れずに断念、ということになる。
・・・とまぁ、そんなわけで伊豆諸島は以前から行きたいと思いつつ実行に移せなかったのだ。なので、今がいくら自粛ムード漂うオフシーズンとはいえ島を代表するイベントの最中だし、流石に4日前じゃ予約は無理だろうな、と考えた次第。
とはいえ、やる前に諦めるのも何なので、出来るだけ頑張ってみることにした。
まず最初に移動手段の確保。試しにネットで全日空の便を検索してみると、意外?にもまだ「空席あり」の表示。それなら船はどうかと東海汽船のサイトをチェックしてみると、こちらはエラーが出て空席のチェックができなかった。
理由を調べて見るとインターネット予約は乗船日の一週間前で予約を打ち切るらしく、それ以降は窓口に直接問い合わせる必要があるとのこと。
それならひとまず移動手段は後回しにして次にレンタカーをチェック。伊豆大島のレンタカーはネット予約が出来る業者がなく、殆どが電話予約になるのだが、一軒だけメール予約が出来る業者があったのでそこにメールを送って返事を待つことに。
最後に宿のチェック。以前チェックした時は、大島でネット予約対応の宿は比較的高級な宿ばかりで、そういうのを求めていなかったのでネット予約はあまりアテにしていなかったのだが、今回は素泊まりで一人2000円という宿を見つけてしまった。
が、その部屋はあいにく満室の表示だった。
同じ宿で3000円というプランもあり、そちらはまだ空きがあったので思わずその部屋を予約。
なんだかんだで宿(しかもリーズナブルな安宿)が取れてしまった。。。
3000円のプランは部屋が7.5畳あるそうだ。2000円の部屋の方は4.5畳で、二人旅なのでその大きさで充分なのだが、まぁ7.5畳くらいなら持て余すこともないからいいか。
また、浴室は無くシャワーのみらしいが、風呂はどこかの温泉に入るつもりなので問題なし。
翌日になって、東海汽船に電話を入れると、あっさり席の予約もできてしまった。
そんなにみんな自粛しているの?
しかし、肝心のレンタカーは満車回答がメールで送られてきた。
ここまで来たら何としても大島へ行きたいところ。ネット予約は諦めて別の業者を探して電話してみたら、これまたあっさり予約完了。
ということで4日前だというのに、拍子抜けするほどあっさりすべての予約が完了してしまった。
それでいいのか?伊豆大島!?
でも、そのおかげで迷いは吹っ切れた。こうなったら伊豆諸島初上陸、全力で楽しんで来ようじゃないか。伊豆大島ならアクセスも豊富だし、万が一大荒れの天気になったとしてもどうにか戻ってくることはできるだろう。
ということで、それから慌てて旅行の準備をしながら、同時に行きたい場所のチェック。自分は島を全体的に回りながら、伊豆大島ならではの地球の息吹を感じられる雄大な景色を堪能したい。それから島の周辺は好漁場という話も聞くので時間が有れば釣りもしてみたいところだ。
一方、カミさんは椿まつりと三原山登山、大島牛乳の牧場などに興味があるそうだ。
特に買い足すものも無く準備は淡々と終わり、慌ただしく出港の日を迎えた。