瀬戸内周遊初日の出【23】(2014/01/03)

20140103_091944

「へぇ、そうなんですかぁ!」

女将の発言をからかうようにわざとらしい口調でそう言いながら、おじさんが店に入ってきた。
その声のする方を向くと、次の瞬間おじさんは我々の方を向いて、

「あなたたちはどこから?」


と唐突に質問を投げられる。ちょっと面食らいつつ「と、東京からです」と答えると、

「そうですか。私も町田に居たことがあるので東京は知ってますよ。ところで、AKBの岩佐何とかって知っている?」


話飛ぶなぁ。。。w

「え、AKBですか?、あんまり詳しくは。。。」


タジタジっとしながらそう返すと、今度は女将が横から入ってきて、

「そうそう、彼女、この辺りの出身なんだけど、今度鞆の浦のことを歌った曲を出すらしいのよ。」


「そう!だから発売されたら聞いてあげてね。新聞にも出てるんだから!」


女将の言葉に呼応しておじさんも相槌をうつ。手に持っている地元紙っぽい新聞を広げて、記事を指さしながら彼女のことについて熱く語る。

その記事は結構な紙幅を割いて彼女のことを特集していたが、その横にベタで出ていた呉市で起きた殺人事件のほうに目が行ってしまったのは内緒だw
ぶっちゃけ、AKBには興味がなかったのだが、無碍にするのも悪いと思い、本当ですね!と相槌は打っておいた。

20140127_225531

そんなお話もほどほどに、カミさんが保命酒を家用とお土産用として2本購入。お礼を言って店を出ようとしたら、さっきのおじさんが、軒先で写真を撮ってくれた。

そのおじさんにもお礼を伝えると、「まだ時間ありますか?有るならその辺を案内しますよ。」という。
それは渡りに船、ありがたくガイドをお願いした。

20140103_092708

おじさんの後についていくと、常夜燈の前まで来て、

20140103_093454

「この辺りは映画の撮影でよく使われています。が、鞆の浦としてじゃなくて岡山など他県という事で出ることが多いわけです。というのは、これだけの古い町並みが残っている場所が他にないからなんですね。それから、正面に延びる半島、あそこの上は寺があるんだけど、鞆鉄の社長さんの敷地なので、一般人は入れないんだけど、宮崎駿監督が敷地内の別荘に滞在してあの辺をいつも散歩して、ポニョの構想を練っていたそうです。それから、反対側を見てもらうと山の中腹に寺がありますね。その寺へ行く途中の道が、ちょっと前に長澤さんと岡田くんが出てる映画(注:「潔く柔く」)の撮影で使われたんですよ。向こうの海岸の辺りではハリウッド映画のウルヴァリンの撮影もありました。。。」


とまぁ、次々に情報が出てくる。

20140103_093517

最初のうちはうんうん、なるほど、と相槌を打ちながら聞いていたのだが、尾道を散策した節にも書いた通り、映画には疎いので、見たことがない映画の話とかが出るともうちんぷんかんぷん。。。

上に書いたこと以外にも色々教えてくれたのだが、今となっては思い出すことができない。録音しておけばよかった。

そこまで話すと、港沿いのカフェに居た別のおじさんから声がかかって、

「じゃ、この辺で。」


と言いのこし、呆気にとられる我々にはめもくれず去ってしまった。

しかし、マイペースなおじさんだ。。。
おじさんの話はそれなりに勉強になったような、なってないような。。。まぁ、良い経験だったw

ちなみに帰ってから少し調べてみたのだが、上に登場した映画やアニメのほかにも昔やっていた大河ドラマの龍馬伝や、金田一耕助シリーズのロケ地になったほか、色々な映画、ドラマのロケに使われているそうだ。

20140103_093712

という事で、おじさんがいなくなってしまったので、再び2人のあてどない散策の再開。
カミさんがさっき聞いた潔く柔くのロケ地にという場所に行ってみたいという。さっきおじさんが指さした中腹の寺への道順を確認し、ブラブラと進む。

20140103_095034

道はやがて斜面になり、急な坂を上り詰めると医王寺という寺に到着。
この寺とその周辺が映画のロケで使われた場所ということだ。

20140103_095402

カミさんは後で映画を見た時に分かるよう景色を目に焼き付けるぞ、と張り切っている。

ま、まぁ頑張って。。。

20140103_100011

高台に位置する境内からの眺めは素晴らしく、鞆の町並みだけでなく、その背後の弁天島、仙酔島、更には南方に走島まで一望することができた。

20140103_095720

先に寺にいた地元の子供が、寺の鐘を撞いているのを見て、カミさんも撞いてみたいと言いだした。まぁ、子供たちが自由に撞いているので怒られることはなさそうだ。

鞆の町に時ならぬ鐘の音を響かせる。

それから再び街に戻り、今度は駐車場の近くの風情ありそうな路地に迷い込んでみた。

20140103_101654

そこには江戸時代があった。実際、鞆の町は江戸時代の町割りが今でもほぼそのままになっているらしい。
こうした町割りが今も残っているのは、非常に珍しく貴重なものだそうだ。
上の写真も坂の下から着物を着たきれいな女性がしずしず歩いてきそうな予感がする。

まぁ、故に道は細く、車社会となった現代において、慢性的な渋滞に悩まされる元凶となってしまっている訳だが。。。

20140103_101915

歩いていくうちに、鞆の浦の名所の一つである対潮楼が見えてきた。
朝鮮通信使がここを訪れた折に、窓から見える景色の素晴らしさを絶賛したという。

境内までは誰でも入れるが、建物内の見学には入館料が必要。それならもっとじっくり見れるときに来ようと思う。

ぼちぼち時間が押し始めている。そろそろ次の目的地へ移動する時間だ。
仙酔島に行けていないが、今から行ってもあまり散策する時間が取れなさそうだったので、後ろ髪引かれる思いを振り切って、機会を改めることに。

Posted by gen_charly