富士山リベンジ【2】(2013/08/23)
2013/08/23
当日は4時半に起床。真夏とはいえ夜明けにはまだ少し早く、富士山もシルエットになっている。山頂付近にかかる笠雲が気になるものの、麓の天気は快晴で絶好の登山日和と言ってよさそうだ。
朝食を食べたりしているうちに夜もすっかり明けて、巨大な宝永火口が大きく口を開けている様子もはっきりと見えるようになってきた。
頂上付近は相変わらず笠雲がかかっている。笠雲は天気の悪化を告げる雲らしいので、気がかりである。
我々は6時発の富士宮口五合目行きシャトルバスに乗る予定である。このシャトルバスは登山者が多い場合に続行で運んでくれるので、基本的に乗り切れないことは無いのだが、それでも他の登山者の背中を間近に見ながら登るのはあまり気分がよろしくないので、出来るだけ最初に出発するバスに乗っておきたい。
いつでもバスに乗り込めるよう、時々車内からバス乗り場をチェックする。混み始めそうな気配があったらすぐに移動するつもりだったが、案外バス停に人の気配はない。やっぱり平日ならこんなものか。
ということで20分前に乗り場へ移動。
バスは片道1120円。往復しても1300円なので、帰りはタダみたいなものだが、我々は御殿場口へ下山するので片道で購入。
停まっていたバスはドアがすでに開いていたので、そのまま乗り込む。まだ4割程度しか席が埋まっていない。適当な場所に座って出発を待つ。
待つ間、ぽつぽつと他の乗客も乗り込んできて、出発前までにあらかた席が埋まったが、後続のバスは出なかった。
バスの車窓を見て過ごすつもりでいたのだが、発車して10分もしないうちに寝てしまった。気が付いたら五合目に到着していた。
標高に体を慣らすために、ここで2時間くらい留まってから登山を開始するのが一般的だが、1500m付近にある駐車場で一泊しているので、体はもう十分慣れていると思う。
30分ほど土産物屋を冷やかして、トイレを済ませたら登山開始だ。
富士宮口登山道は自分が小学生の時に父と登ったことがある。
その時は頂上まで登ることが出来ず、九合五勺辺りまでしか行けなかった。そこまで登っておきながら勿体ないハナシだが、先行した同行者が早々に下山してきてしまい、頂上まで行きたい、と言えなかったのだ。
この写真の風景はその時に見た光景と変わっていなかった。
このページで通ったルートのGPSログ
さて、登山開始だ。まずは宝永山方面への分岐がある六合目までこの登山道を登る。今のところ登山者も少なく閑散としていて、登りやすい。
やっぱお盆明けの平日は、こんなものなのかも知れない。
かつて登った時にはこの辺りで影富士を拝むことができた。今回も見れたらいいな、と思っていたのだが、見えそうな気配すらなかった。
登り始めて15分少々で六合目に到着。
六合目には雲海荘という山小屋がある。宿泊できます、の看板が出ているが、あまりここで泊まるメリットはないような気がする。
富士宮口登山道はここで折り返して更に上へと登ってくが、我々の進路であるプリンスルートは山小屋の脇を看板に従ってまっすぐ進んでいく。山小屋の裏に回るという感覚が既に裏道っぽい。
ちなみにこのルートがプリンスルートと呼ばれているのは、2009年に皇太子殿下がこのルートを使って富士登山をしたことにちなむそうだ。
かつて皇族が通られたという由緒正しい道も、余り有名ではないせいか歩いている人は少ない。というか前にも後ろにも自分ら以外の登山者の姿が見当たらない。
ひと気のない富士登山というのは、今まで経験したことがない。少しばかりさびしさを感じなくもないが、それ以上に富士山を独り占めしているような感覚が実に爽快だ。
カミさんも初めて体験するひと気のなさに、富士山にもこういう場所があるのかと、とても感動している。
(三角形 白地図専門店様サイトの素材よりトリミング)
ところで、地図を見ると静岡県側の富士山麓に位置する自治体は、我も我もと言う感じで山頂までその領地を伸ばしたようになっている。磐石に領地を押さえる富士宮市と御殿場市に対して、細く長く、辛うじて山頂までの敷地を確保した富士市、五合目よりも手前で力尽きた裾野市、広めの陣地を確保しているのに、途中から隣の山梨県との県境が未定で予断を許さない小山町(註:2015年に境界画定とのこと)といった具合にそれぞれの自治体の力関係や駆け引きが見え隠れして面白い。
ちなみに、富士宮口登山道はその名の通り、頂上までずっと富士宮市内にあり、御殿場口登山道も同様に全て御殿場市内にある。
で、富士市にはこれといった登山道がないのだが、実はこのプリンスルート、富士宮口六合目から宝永山の火口縁までの間が富士市に属している。即ち、富士市を通るレアな登山道ということが出来る。
だからなんだってハナシだが。。。w
他の主要な登山道と比較すると、やや心細い登山道は、同じ標高をトラバースしながら進んで、宝永山の巨大な火口が見えてくると、火口底へといったん下る。下るといっても、火口縁の一番低い所から火口内に進入するので、わずかに下る程度だ。