道南散歩【5】(2013/08/15)
このページで通ったルートのGPSログ
ということで、さくら橋を渡って西山川の対岸へ。川という名前はついているが、流路工として掘られたものなので、普段は水が流れていない。
川に沿うように上流方向に遊歩道が続いている。遊歩道は徐々に西山川から離れるように高度を稼ぎ、上流側にある導流堤を超える。
導流堤は厚みもあり、決壊の心配はあまりなさそうだが、堤の上流側は既にこれだけ埋まっている。こんな状態ではいざという時に容易に越流してしまうのではないかと心配になる。
もちろんたまに浚渫しているのだろうと思うが、それでこの状態ということなら、未だにそれだけの土砂が山から供給され続けている、ということになる。
道はその先で土手を下って、再度対岸に渡るルートを描く。こちらには橋などはかかっておらず、砂利だらけの河道を横切る。
対岸の斜面を登りきると、舗装された道に出た。
この道は国道230号の旧道で、噴火前まで洞爺湖方面へ向かうためのメインルートだった道である。
さっき登場した木の実橋は、今しがた河道を渡ったあたりにかかっていた。
舗装されているだけに歩きやすい道だが、50mばかり歩くと標識が出ていて、左手側の斜面を登る登山道へと誘導される。
登山道に入り、国道旧道の左手側に見えた斜面を登る。歩いている途中、プロペラが回っているようなブーンという音が頭の周囲で鳴っているような感じがした。最初は遠くにヘリでも飛んでいるのかと思ったのだが、遠ざからず近づかずずっと一定の音量で聞こえている。アブかなんかの虫がたかっているのかと周りを見回すも虫らしいものも見当たらない。
その音は圧迫感を感じるほどの音圧で聞こえ続け、気になってしょうがない。カミさんにそのことを伝えるが、カミさんには聞こえないという。。。
本当、あれはなんだったんだろうか。
それはさておき、斜面を登り始めて5分ほどで、進行方向右手側に2000年の噴火でできた火口の一つ「珠(たま)ちゃん火口」が見えてくる。と言っても、周囲は草だらけなので底のほうまで見通すことはできない、50mくらいの大きさの火口のようだ。
火口の縁から数m下に火口の縁と並行するように横一線に草が生えているのが見える。この草のラインが元々地面だったところで、その上が噴火によって積もった火山灰だそうだ。
噴火前に地表に落ちた植物の種が発芽してこのような生え方をしているらしい。火口の真横で種は燃えなかったのだろうか。。。
先ほどのアパートからこの火口まで、直線距離でわずか500mほどしか離れていない。自宅から500m離れたところで火山が噴火したら冷静ではいられない気がする。しかもアパートの直下や集落の真ん中で噴火しなかったのは単なる偶然でしかない。そんな風に考えるとぞっとする。。。
珠ちゃん火口を横目に少し進むと、今度は道が二手に分かる。片方の踏み跡は細く斜面の上へと伸びていた。
ならば登ってみようと、やや急で足場のよくない道をてっぺんまで登ると、眼前に大きな火口と火口湖が飛び込んでくる。
こちらも2000年噴火の際にできた火口の一つで「有(ゆう)ちゃん火口」と名付けられている。
こちらの方が規模が大きく、火口の縁に立つことができるので、火口湖の水を湛えている姿まで良く見えた。
蛇足だが、二つの火口の名前を合わせると「有珠」になる。
そこに住まう人たちを生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込む自然の猛威に対して、有ちゃん珠ちゃん呼ばわりをしてしまうセンスはどうかという気もしなくもないか。。。
火口を堪能した後は再び元の道へと戻り、さらに登る。登りきると砂利道の林道に出た。
順路はここを右だそうだ。
ほどなく煙突のようなものが見えてくる。それを目印に林道を進んでいくと、煙突のたもとにあったのは崩れたごみ焼却施設の建物だった。
土地が不均等に隆起しているせいで、どこを水平とみればよいか分からないレベルで建物がひしゃげている。火山弾の直撃で屋根には穴が開き、火山灰の重みや火山ガスによる腐食で全壊してしまっている。
しかし、お盆休みだというのに、前後に歩いている人もなくひと気を感じられない。こうした大自然の息吹を体験するアクティビティは人気がないのだろうか。。。
誰もいない道を歩いていると熊かなんかが出てきそうで不安になる。。。いきおい会話の声も自然と大きめになる。不安な気持ちをあおる道は、もう一頻り歩いたところで麓に人家が見え始めてきて、ようやくひと心地着く。早くあそこに降りたいのに、なかなかたどり着かないもどかしさよ。
今度は道沿いに放棄された工場の建物の廃墟があった。これはフットパス関連の施設ではないようで、特に案内板などもないが、雑草が盛大に生えまくっている敷地の片隅に鉄道車両のようなものが二つ置かれているのを発見。
敷地は入口にトラロープが張られていて立ち入りできなかったので、敷地外から観察。片方はロープウェーのゴンドラのようだ。
有珠山ロープウェーの昔のゴンドラだろうか。
その奥にも、もう1両車両のようなものが置かれていたが、これはなんだかわからなかった。
車体はステンレスのような素材で窓も大きく、全体的なシルエットは比較的最近の設計によるものに見える。
が、鉄道車両としたら貫通扉がないのが不自然だし、バスにしては横の窓が大きすぎる気がする、あるとしたら新交通システムの車両がそれっぽいが、こんなデザインの車両で、しかも廃車体になるような出物に心当たりがない。近くまで見に行ければなぁ。。。
立入禁止とかそれ以前に草むらをかき分けて入る気にはなれなかったので、結局正体は分からず。。。
この建物からもう一頻り進むと、ようやく舗装された道に出た。民家なども見えてきて、ここで金比羅山コースが終点となる。
金毘羅山コースはここで終点だが、そこからまた別のルートに進むことが出来る。
そのコースこそ、2000年の噴火遺構の中でもハイライトとなる場所を散策するコースだ。