道南散歩【11】(2013/08/16)
2013/08/16
道南散歩ツアー3日目の朝は函館で迎えた。昨日の疲れもあって、がっつり熟睡できた。
函館の朝市は、前回、函館を訪れたときにも立ち寄っている。ただ、その時はフェリーの到着が昼前だったので、大体の店が店じまいした後。観光客向けの店ばかりで全然面白くなかったので、今回は朝から見て回りたい、というのがカミさんからの指令であった。
なので、昨晩車で仮眠した時、あそこで朝を迎えては困ると、カミさんは必死に眠気を堪えていたのだ。
駐車場は駅と市場のちょうど間にあって、フェンスの向こうが市場という絶好のロケーションだった。
時間は朝6時。市場を散策するにはちょっと遅いかな、と思いつつ、車を降りる。
函館朝市、と言っても、市場だけに取り扱いは多種多様。まず、カミさんに何目当てなのかを聞くと、夕張メロンを食べたいと言う。アタリを付けて青果商のある辺りから散策開始。
とはいえ二人で一玉は流石に食べきれない。どうしようか、と聞くと、カットで売られていないかな?と言う。流石に市場でカット売りなんかしている店はないと思う。あっても観光客向けの店くらいだろう。
市場内をぶらぶらと探し回ってみたが、案の定そんな店はなかった。
というか、やっぱり時間が遅かったか。市場の活気みたいなものが感じられない。お盆中だからというのもあると思うが。
函館には函館市場のほかに5ヶ所市場が存在している。もっと地元向けの市場なら違う光景がみられるかも、ということで、他の市場も見てみることにした。
地図であたりをつけて、まずやってきたのが銀座魚菜市場。が、お休みだった。
次にやってきたのは自由市場。こっちはやっていた。ここはWEBである方がお勧めしていた「『加賀商店の松前漬』を売っているという高川商店」という、ややこしい店があるそうだ。松前漬は好物なので期待してドアを開ける。
が、時間は既に7時を回っている。流石に店じまいを始めている店も散見される感じだ。
じゃあ、せめて美味しい食事くらいは食べて行こう、ということになった。
市場の一画に4軒ほどまとまって店がある。ただ、そのうち1軒は喫茶店っぽい。一応お食事のメニューも出ているが、市場関係者が休憩に来るような店なのだろう。折角来たのだから雰囲気のある店で食べたい。雰囲気のある店で何が食べたいのかというと、カミさんの言葉を借りると、北海道に来たら透明なイカとウニだべさ。
ところが、両方が一遍に食べられるメニューはどの店にもなかった。どうしようかと、期待せずに喫茶店のメニューも見てみると、「自由海鮮丼」なるものに目が停まった。更に「ツボダイの焼き魚定食」もあって、思いがけずツボに入った(ツボダイだけに)。この店にしよう!
店の名前はマルシェという。
とりあえずガラス越しに中を覗くと、客がいない。ミステイクだったかな。。。
気にせず席について注文。
まずは自由海鮮丼がどのくらい自由なのかを聞く。どんな魚でも、何種類でも大丈夫ですよ、とのこと。
一色目はイカですぐ決まった。ウニは有るけど冬が旬だそうだ。
じゃあ今の旬は何ですか?と聞くと、ホッキ貝がお勧めということで二色目が決定。
折角だからもう一色イクラも付けちゃうことに。
自由海鮮丼は時価、と出ていた。あまり欲張って目が飛び出たら困るので、三色で自制した。
一方自分は、迷わずツボダイの焼き魚定食を注文。主人から焼き魚なら銀ムツが旬ですよ、とおすすめされたが、迷いはない。ツボダイが食べたいのだ。理由は後述する。
「うちはね、注文をもらってから市場に買いに行くから、出来上がるまでちょっと待っててくださいね。」
と言い残して、主人は店の外へ買い付けに出て行った。
待っている間、時価の値段を聞いておくべきだったかな、と少し不安になる。
まぁ、自分の食べるものがべらぼうな時価だったらカミさんから文句が出るが、カミさんが自分で食べるものだから何も言わないだろうw
暫くして主人が戻ってきた。買ってきた材料を奥の厨房にいる奥さん?に渡して調理を任せて、主人は再び我々の話し相手となる。いわく、ここ数日の函館の温度はヤバかった、とか、先日GLAYのコンサートがあった時は、この店が満員になった、等々。
そんな雑談をしているうち、料理が出来上がった。
もうね、海鮮の宝石箱や~、という言葉以外では語れないのよ。
渇望していた透明なイカだ。口に運んで、次の瞬間うまい!と悲鳴を上げるカミさん。
程よき所で自分もおすそ分けをいただく。イカは歯ごたえしっかり、コリコリとしていて確かにこれはうまい。イクラも粒がプリプリで、十数年前に札幌のS君の家でいただいたイクラ丼を思い出した。
もちろんホッキ貝も新鮮そのもの。噛み切れないんじゃないかと思うほどの歯ごたえで食べ応え十分。
そして、ツボダイの焼き魚定食も出来上がった。
少し前に上司に北海道の食材を出す飲み屋に連れて行ってもらって、そこでその上司のオススメとしてツボダイを初めて食べた。ホッケをはるがにしのぐ脂の乗りにとても感動したのだが、都内のスーパーなどではツボダイはまず見かけない。一方の銀ムツは都内でも入手可能である。
なのでツボダイにこだわった。せっかくなら地物を食べたいだろ?
白身魚のふっくらとした身が口の中でふんわりと広がって、同時に脂が染み出てくる。ご飯が進みまくる。
二人ともあっという間に平らげて、気になるお会計は、合計3200円。ツボダイが1200円と出ていたので、自由海鮮丼は2000円ということらしい。
北海道の市場で食べる料理と思うとチョイ高い気もするが、ギリギリ目が飛び出さずに済んだ。あのおいしさなら納得である。
ただ、欲張らなくてよかったw
食事を済ませたら、市場の見学を再開・・・と言っても大体の店は店じまいを済ませた後で、来たとき以上に閑散としている。
ブラブラとあてどなく歩き回っているうちに、件の松前漬を発見。が、それは冷凍販売だった。これからまだ二日ほど冷蔵庫が無い旅路を行くので、冷凍ものは流石に買えない。
少し考えあぐねていると、店のおばちゃんが、それなら他の店のものでもいいからいくつか選んで持ってきたら、まとめてクール便で送ってあげるよ、と言ってくれた。
少し考えます、と言ってもう一度市場内をうろついたが、やっぱりこれといったものが見つからなかったので、結局松前漬も諦めである。
これが満腹マジックである。じゃあ、市場なんか来ない方がいいんじゃないか、という気もするが。。。
それから朝のお通じでトイレへ行くと、個室の壁に告知が。
ここの市場は、以前火災で全焼したことがあるようだ。
市場を見終わって車に戻ったら8時半前だった。列車の時間までまだもう少し時間があるので、もう一箇所立ち寄り。
函館空港のすぐ近くにある、函館酪農公社のあいす118という店である。
カミさんが牧場のアイスを食べたいと言っていたことを心の片隅に置きつつ、函館の鉄道ネタを調べていたら、偶然函館市電の保存電車がここにあることを知り、行くならここかな、と思っていた店である。時間があったので、という書き方をしたが、行けなかったらカミさんから何を言われるか分からない。マストで来なければならない場所だったわけだがw
市場から30分ほどで到着。移動中に懸念していた雨がとうとう降り出してしまった。
遠くで雷も鳴っているようで、時折空がパッと光る。
駐車場に車を停めて小走りで建物に入る。
早速ソフトクリームを注文。カミさんはバニラ、自分はモカ。
ソフトクリームを受け取ってなめ始めたときに、雨がとうとう本降りになり、時折大きな雷鳴が轟いて焦る。その割に気温が高くて、ソフトクリームが驚異的な速度で溶けていく。半ば押し込むように食べたので、味を楽しむ余裕がなかった。涼しい部屋を用意してくれたら、折角の味をもっと楽しめると思うのだが。。。
すぐ隣が牛乳の工場で見学自由となっていたので、ソフトクリームを食べ終えてから見に行ってみると、ガラスの向こうで機械がものすごい勢いで牛乳をパック詰めにしていた。
ラインを流れる牛乳パックを見て既視感が。とほぼ同時に、
「あ、これ地元のスーパーで売っているやつじゃん!」
とカミさんが傍らに置かれたショーケースを指さす。
あ、ほんとだ。地元でいつも飲んでいるものを作っている工場だったことを知り、驚きもひとしお。
ここで作っていたんだね。いつもありがとうございます。
工場から出ると雨の勢いが弱まったので、今度は保存されている路面電車を見に行くことに。
この路面電車は函館市電1000形としてこの地を走っていた。函館に来る前は東京都電だったものである。
その後ろの牧草地にタイミングよく子牛が何頭か放される。各々草を食んで、時折こちらに気づいて近寄ってきたりして和む。
子牛のしぐさにほほを緩めている時にふと、帰りがけに訪ねる予定の岩手の親戚に持っていくお土産をまだ買ってないことに気づいた。この後あまり時間がないのでどうしようかと困惑していたら、カミさんが、
「空港とかにないかな?」
おお、それだ!
ということで、急遽目の前にある函館空港へ移動。空港の売店でお土産を無事ゲット。
北海道の玄関口の空港だけに、売店と言うよりは名店街という感じの規模があり、北海道のお土産なら、ここであらかた揃いそうである。
カミさん、GJ!