名古屋出張と養老ハイキング【2】(2020/01/12)

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養老の滝は養老伝説の舞台になった場所だ。
この伝説は、老いた父親を養いながら暮らす働き者の若者(源丞内:げんじょうない)が、山仕事に向かう途中で山道から滑落。落ちた先で気が付くと、傍らの泉から酒の匂いがする。いやいや、まさかね。と思いつつそれをひと掬い飲んでみたら、本当にうまい酒だった.
そこで、ひょうたんにそれを汲んで持ち帰り、病弱で伏せがちだった父親に飲ませたところ、みるみるうちに回復。

やがてその泉の存在が時の天皇の知るところとなり、天皇自ら赴いて飲んでみたところ、具合の悪いところがたちどころに治ってしまい、これにいたく感激。年号が養老と改められた、という伝説のことである。

上の銅像は駅前にあった源丞内の像ということだ。だけど、源丞内の顔なんて誰も知らないだろう。町長の顔でもモチーフになっているのだろうかw

立石寺の松尾芭蕉の像のように。。。

ひょうたんは養老伝説のシンボルである。源丞内の像もひょうたんを抱えているし、駅のホームにも沢山のひょうたんが吊るされている。

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そんな駅だが駅構内にも駅前にも人の姿はなし。。。寂しい限りだ。
まぁ、ハイキングシーズンでもないし、こんなものなのかもしれない、と思いつつ、養老の滝方向に歩き出す。

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歩き出した方向も当然、こんな感じ。徳永英明のレイニーブルーを思い出した。いや、午前0時じゃないが。。。
この地域には人がいないんじゃないか、という不安な気持ちを掻き立てられる。

この道すがらには前述の養老天命反転地や養老公園、養老ランドといった施設が建ち並んでいる。
それらの施設はちゃんと営業しているらしく、ひと気のない園内に流れるBGMが聞こえてくる。
なんだか明け方に見る変な夢のような感じである。

フェンス越しに遊具が見えるので、チビが俄然興味を示す。が、今日は山登りの日なのでここで長居されたら困る。話しかけたり、追いかけっこをしたりして気をそらしながら通過。
しかし養老ランドって、純然たる遊園地なんだけど、名前の響きから健康ランドを想起してしまうのは自分だけだろうか。。。

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養老ランドを過ぎると道は遊歩道のような道に変わる。駅からここまでずっと緩やかな登り坂で、足への負担は全くない。
チビは今回が登山初挑戦である。1歳の頃には地元で2kmくらいの散歩道をこなしたりしているので、ある程度は行けるだろうと踏んでのチャレンジだが、そうはいっても山登りは未知の領域である。

自分とてこの先の様子は分かっていない。あまり険しいものだったら困るが、かといってこの程度の遊歩道を歩くだけでたどり着くようなら、それはそれで物足りない。

そこそこの達成感が得られるくらいの、程よい加減の山道だとうれしいのだが、そんな山道でもチビが挫けたらそこから先は自分が背負っていかなければならない。そうなったときに体力のない自分がその役目を果たすことが出来るかも未知数であり不安材料だ。

今のところチビは顔色もよく、テンションも高いので、至って順調であるのだが。。。

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川沿いの道の勾配が幾分きつくなり始めたころ、道が通行止めになっていた。なんでもトイレ改修のための通行止めということだ。
養老の滝へ行くためのう回路が看板に記されていた。

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その看板の地図の部分を拡大してみた。今いる場所は図の右端にある妙見橋のたもとであり、地図上に「現在地」と吹き出しが付いているところである。
養老の滝へと登るにはここで橋を渡り対岸の道を進まなければならないようだが、川沿いのゆったりとした遊歩道然とした赤線と比べて、青線は斜面を高巻きするような険しいルートになっている。
自分らからしたらなんということはないが、チビが耐えられるだろうか。。。

どうせ3連休はトイレ工事なんかお休みしているんだから、通れるようにしてくれたらいいのに。

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まぁ、とりあえず行けるところまで行って見ようと言って、妙見橋を渡る。

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渡って少し階段を登ると一段高い所を通る遊歩道に突き当たる。
そこから上方を見上げると、「観光リフト乗り場」という看板を掲げた建物が建っていた。

ほう、リフトとな。
もちろん登りで使うつもりはないが、無事登れたら帰りは楽してもいいかな、とは少し思った。

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が、やっている気配がない。そもそも乗り場への入口に当たる部分がフェンスで塞がれている。
下のバリゲートに貼られた案内には2015年の日付が入っていた。やってないならアテには出来ない。ウチらを楽させる気はないということが良く分かった。。。

それより、リフトへ誘う看板が昭和過ぎて切なくなった。

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だって、奥のイラスト、こんなだよ。
イラストが上手な社員に描かせたのだろうか。はたまた、業者に依頼したのだろうか。

業者に頼んだものだとしたら、仕上がった看板を見て思わずため息をついた社員がいたかもしれないw

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それはさておき。
う回路は暫くは通行止めの遊歩道と並行するような緩やかな上り坂だったが、ほどなく横道への分岐がある。分岐の先には階段が続いている。順路はその階段を指していた。

ということで、いよいよ登山開始である。

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苔むした階段は各段の幅が一定しておらず、手すりも傾いてしまっている。
手すりに触れないよう急ごしらえのロープでガードされているが、明らかに廃道だった道を工事に伴って最低限整備しただけ、という体裁の道である。
ここだけ見ても、先の道のりが容易ではなさそうであることを予感させるのに十分である。

チビはまだまだ元気いっぱいなので、何のためらいもなくその階段を登り始める。そりゃそうだ。まだ先のことを考えてうんざりするとか、そういうことを考える歳ではない。体力があればどんどん進み、体力が尽きたらそこで行動を止める。そういう年頃だ。
だから、親は無事に帰って来れるかをますます心配するのである。

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だが、チビは我々が思う以上に健脚であった。不満を口にすることなく、キャッキャとはしゃぎながら階段をこなしてひたすら登る。

ずっと登り階段だったらうんざりするところだが、斜面をある程度の高さまで登ったら、あとは宿の庭先をかすめるように進む高低差の少ない道になった。

そして、最後は車道に合流し、さらに一頻り進むと今度は滝壺の方へと降りる階段になる。

そして滝に到着。妙見橋からここまで概ね1kmくらいの道のりだった。
ということで、無事登頂完了!4歳児、登り切りましたよ!

大した距離ではないが、初手としては立派なものだろうと思う。

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さて、これが養老の滝である。居酒屋の名前にもなっているので、名前を知っている人も多いと思う(字は少し異なるが)。
高さは10mくらいだろうか。さほどの規模ではないが、一筋に流れ落ちる様は神秘的ではある。
と言っても、滝は養老伝説には登場しない。酒の湧く泉というのだから、少なくとも滝ではない。

なんか、色々ごちゃ混ぜだな、と思ったが、その答えは傍らの看板に記載されていた。

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見づらいと思うので、一部分を抜粋するが、

「名水百選『養老の滝・菊水泉』の『菊水泉』は、滝から約500m下の養老神社境内にあります。今では、滝と泉が上と下に分かれていますが、もともとは滝の瀬として一つの流れでした。」

とのことだ。言い切っているのでたぶんかつての姿はそうだったのだろう。
ということは、源丞内はこの崖上から転落したということなのだろうか。良く死ななかったな。

滝の傍らの広場には、あずまやなどがあってちょっとした休憩場所になっている。登頂成功を祝してそのあずまやでご褒美のおやつタイムを楽しんだ。休憩中に数組の人たちが滝を訪れていた。ここまでほとんど誰ともすれ違わなかったので、寂しい行軍だったが、無人の地じゃなくて良かったw

15分くらい休憩したのち、下山開始。チビのテンションは全然下がらない。このままなら麓まで自力で下山してくれそうだ。リフト乗り場の廃墟の前で帰りに乗れたらいいのに、と思っていたが杞憂だったようである。

途中までは来た道を引き返す形だが、妙見橋は渡らず、そのまままっすぐ進んで戻ることにした。

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途中、養老神社にも立ち寄ってご挨拶。ここに源丞内が見出した泉があったのだが、事前勉強をおろそかにしていたので、ちゃんと見ないまま進んでしまった。。。

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さらに進むと、クラシカルな茶屋を発見。
きっと昭和の中頃、この辺りが観光ブームで沸いていたころに、ひっきりなしに訪れる観光客をもてなすともなく捌いていた時期があったのだろうな、と思いを馳せる。

この店のあたりまで来ると道の勾配もかなり緩やかになって、もはやのどかなお散歩である。

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この辺りで再び橋を渡って行きの時に通ってきた道に戻る。
丁度その路地のところに行きにも見ていたステージがある広場がある。誰もいないのをいいことにチビがステージ上がって、パプリカを熱唱。元気だね。。。

もうひとしきり歩くと、養老ランドのあたりに出てきて一周完了、である。

時間は丁度昼時なので、ここらでお昼にしたいところだが、この辺に食事処が見当たらない。駅まで行けばあるかもしれないが、駅前も寂れていたので微妙である。
多分、養老公園は大きな公園なので、園内に食べ物を買える売店の一つもあるだろう、ということでまずは養老公園に移動。

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養老公園は養老ランドの道向かいにある公園で、高台に位置しているので、養老町方向の平野が一望できる。
まぁ、ごらんの通りの微妙な天気ではあるが。。。

公園の東側にはこの後行こうと思っている養老天命反転地が見えている。

公園内には売店が何軒かまとまった場所にあった。丼物などそれなりに腹を膨らませてくれそうな物を出す店もあったが、基本的に観光地価格で量も少なそうだ。味も恐らく推して知るべし、だろう。。。
だが、背に腹は代えられないので、これらの店で食べ物を調達した。

売店なので、テイクアウトしかできない。この寒空の中、オープンエアの昼食となることを覚悟したが、近くに簡単なテントが建てられていたので覗いてみると、中で食べられるようになっていた。

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中はストーブで暖房されていて、寒さを感じずに食事にありつけたのは助かった。

Posted by gen_charly