大阪出張2023【2】(2023/07/30)
信貴山電鉄:
高安山の辺りは標高400mほどだそうだ。標高は100m上がると1度下がるらしいので4度ほど下がっている筈。確かに麓と比べたら幾分の涼しい気がするが、麓が35度とかそういう気温なのでここでも31度。焼け石に水だ。。。
駅舎はこんな感じ。特に特徴的な部分はない。
さて、今回なぜここへ来ようと思ったのかと言うと、大阪近郊のローカル線に乗ってみることを思いついて道明寺線や信貴線を調べていた時に、西信貴ケーブルを見つけたのがきっかけだったが、乗車するなら登った先で何が出来るのだろうとついでに調べると、高安山からの眺望が素晴らしく大阪平野が一望出来ると書かれていた。それを見てみようと思ったのもあるが、もうひとつ、この高安山駅からかつて信貴山電鉄の山上鉄道線と言う私鉄が信貴山門までの間を結んでいたらしく、その遺構が残されていると書かれていたからである。
その山上鉄道線の遺構だが、高安山の駅舎に隣接したところにかつてのホームの一部が残っている。
こちらがそのホーム跡。残念ながら駅であった雰囲気を残す物は殆どない。このホームも白線でも引かれていればそれっぽい気がするが、単なる埋め込み式の防火水槽の蓋の上のようにも見える。
一角にかつての駅名標を模したものと、信貴山電鉄を紹介する看板が掲示されていてようやくそうだと分かる感じである。
元々、先ほど乗ってきた西信貴ケーブルと山上鉄道線の両方が信貴山電鉄の路線であった。ケーブルカーが1.3キロ、山上鉄道線が2.1キロの計3.4キロのミニ私鉄である。麓の信貴山口から高安山までの区間は傾斜が急なのでケーブルカー方式で建設されたが、ここから信貴山門駅までの区間は比較的に平坦なので鉄道路線となったそうだ。
山の上に始発駅がある鉄道線と言うのは日本でも他に例がなく、そう言った意味でも貴重な鉄道路線のひとつだったが、戦時中の不要不急路線に指定されて休止されたのち、鉄道線の方は復活することなく廃線となった。
そもそもここはケーブルカーが必要になるような急勾配の先にある場所である。どうやって電車を持ち込んだのか、考えたら夜も眠れないという名調子が浮かんでくるが、その答えは上の看板の写真に書かれている。
むちゃくちゃやってる。。。記念写真を撮ってる場合か。
ケーブルカーの線路を先に建設して、麓からその線路を使って車両を引き上げたそうだ。あの急勾配を持ち上げたのか。
開業時に揃えられた車両は3両である。営業距離を考えたらかなり過剰だが、他の路線とは線路が一切繋がっていない独立した路線でであるうえ、その立地故いざ修繕となっても容易に麓に下ろすことが出来ないので、バッファを大きく見積もったためとのことである。
ただ、この路線の運転手の運転が手荒だったのか、はたまた保安的に脆弱だったのか、そのうちの2両は休止前される前に事故を起こしており、うち1両は廃車されている。最初に3両を用意したのは慧眼だったのかもしれない。
もし戦争による休止がなかったとしても、車両を出し入れする手段が限られるため、老朽化にあらがえずに廃止となっていたような気もする。
高安山からの眺望:
さて、ここへの訪問の目的のうちのもうひとつ、大阪平野の展望であるが、これは傍らにある小山の上に展望台がある。
階段を登っていくと頂上にあずまやがあってそこからの展望がこれである。
大阪平野を一望の売り文句はダテじゃなかった。背後の六甲山地や淡路島まで見晴らせる絶景スポットだった。夏の昼間だけにもやってしまっているのは致し方なし。
しかしこうしてみると日本第二の都市だけあって、関東平野のそれにも引けを取らないレベルで建物が密集している。ここに夥しい人たちが、それぞれにそれぞれの生き方で暮らしているのだな、と思うと思考が追い付かなくなるような気分になる。
ちなみにそこにあった東屋の写真は撮影しなかった。丁度カップルが先客としてここにいてランチをしていたからだ。映り込みを避けたと言うこともあるが、どうした訳か彼の方が語り掛けても彼女の方は覇気がなく表情が硬い。どういう間柄なのか詮索する気はさらさらないが、ちょっとアンタッチャブルな雰囲気があったので近寄らなかったからでもある。
暑いことには変わりはないが、風が良く抜けるので麓にいるよりかは幾分心地よい。もう暫くここで景色を眺めながら時間を潰せたらよいのだが、この先のことを考えるとあまりのんびりとはしていられない。
次に山を下る15:05発の便で下山することにしている。滞在時間は30分強でケーブルカーの運賃を考えたらかなり割高な絶景だったが、まぁ致し方なし。
ちなみにこの駅前にはかつての山上鉄道線の線路を活用して作られた信貴山門行きのバスに乗り継ぐことが出来る。
というか、信貴山門へと続く道路は自動車専用道路になっていて徒歩での進入が禁止されている。
駅前広場を一周しながら駅に戻り、停まっていた車両に乗車。帰りの便もまた誰も乗っていなかったので再び先頭、つまり今度は麓側の席を陣取る。そして程なく発車。
車窓から見える景色の方がより直下の麓の街並みが見えるせいか、解像度が上がったようなくっきりした風景だった。
車両の下り側半分の天井はガラス張りになっていた。そのおかげで陽射しがさんさんと降り注いで暑い。。。
再び7分の乗車で信貴山口駅に降りてきた。最近こうして冗長な散策をすることが増えた気がする。これまでは1人で遠征しに来ると未だ見たことの無い列車を撮るためだけの訪問となってしまい、あちこち急ぎ足で回るのが殆どだったのでこうした余裕のある散策と言う物はほとんどしていなかった。
こういうのが醍醐味だと思えるようになったあたり、年取ったなと思う。。。
八尾のアリオと街中散策:
さて、ここから河内山本駅まで戻って1駅、八尾で下車。もちろん件のチーズケーキを買うためである。
ここから店があるアリオまでは2,3分。涼しい店内で癒される。
りくろーおじさんの店は1階にあるそうだ。トコトコ歩いていくとその店はすぐに見つかった。チーズケーキ以外にも様々な商品を販売しているようで、売り場には沢山の買い物客がいたがチーズケーキ売り場はそことは別の所にあった。なぜかそちらの方はひと気がなく、並ぶこともなく一瞬で入手が完了してしまった。
大人気のチーズケーキと聞いて覚悟していただけに拍子抜けである。万一店を見つけるのに苦労したり、購入するのに並ばされたりすることも考慮してアリオの滞在時間は50分確保してあったがまだ5分も経っていない。
余り早く新大阪に着いても時間を持て余してしまうので、店内を散策しようかとも考えたのだがそういうのはどうにも性に合わない。何か買いたいものが見つかっても持ち帰りも面倒だ。
そこで、ここから2キロほど離れたところにあるJR線の八尾まで歩いてみることにした。
と、その前にヨーカ堂で夕食を買い込む。新大阪で買ったら割高だし、今日は日曜なので混雑でレジを通すのに時間がかかる気がしたからだ。
食料入手も無事に済んだので散策を開始。気が付けばアリオの写真もチーズケーキの写真も撮っていない。こういう所に興味のなさがよく表れていると思う。。。
さて、近鉄八尾からJR八尾までの道のりは基本的に住宅地だ。炎天下過ぎて車通りのある広い道よりも日陰の多そうな裏道を選んで歩いたからでもある。
途中で八尾市役所の脇を通過。
更に住宅街を進む。やっぱり暑い。熱中症にならないように飲み物を頻繁にチビチビやりながら歩く。
住宅街の散策は自分的にマッタリとした気分に浸れるまたとないひと時だったが、記事にしても面白くないと思うので途中割愛して、
ブラブラと歩いて30分ほどでJR八尾駅に到着。
ここから天王寺まで乗ってそこから御堂筋線に乗り換え。途中淀屋橋のホテルに寄って預けてあったスーツケースを回収。
再び淀屋橋に戻り御堂筋線に乗った後、新大阪のひとつ手前の西中島南方で途中下車。また新幹線の時間まで30分くらいあったので、御堂筋線の車両を撮影しようと思ったのだ。
この駅は淀川を渡った先にあり、地上区間となっているので車両が撮影しやすい。
ということで22形と
30000形
こうして暇つぶしの大阪散策は終了した。新大阪から新幹線に乗り込んであとは帰宅するだけだ。
途中、京都を過ぎたあたりで、車窓から見える山の上に虹がかかっていた。
(おわり)