岡山出張【16】(2023/09/18)

井笠鉄道ホジ9:


さて、ちょっと寄り道してしまったが、本題の井笠鉄道散策に復帰。井笠鉄道の車両は笠岡市周辺の3カ所で保存展示されているそうだ。そのひとつが笠岡駅からほど近い所にあるようなので行ってみた。

笠岡駅前を通る国道2号は駅の近くで内陸側へと伸びる県道34号と接続しているのだが、分岐した県道は半円を描きながら高度を稼いで国道の上を跨いでいる。その高架下が公園となっており車両が保存されている。

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ここに置かれた車両はホジ9と言うもの。先頭に荷台が設けられた古き良き車両である。
ボディは痛みもなく保存状態としては極めて良好だが、全てのガラスや乗降扉は撤去されている。車両は修繕活動中とのことなので取り外して別の場所で修繕が行われているのかもしれない。

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ドアにチェーンがかけられて車内への立入は出来ないようになっていたが、ガラスがないので窓枠越しに車内の様子を見ることが出来た。
座席の部分が全て板張りである。営業当時は多分この上にクッションが置かれていたのだと思うが、ここまでどんがらだとちょっと寒々しい。

この場所に置かれている車両はこの1両のみとなっているので、続いて市街地の北部にある井笠鉄道記念館へ行ってみることにした。その途中、笠岡駅前を通るので入場券を買いに立ち寄り。

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国道2号の交差点の所にやたらと古めかしい建物が建っていた。信号待ちの時に車の助手席から撮影したものなのでアングルが微妙だが、右書きで「関藤謙治商店」、「石炭セメント煉瓦土管」と掲げられている。右書きは少なくとも終戦直後には廃れているので、この建物はそれ以前からあることになり、そんな昔から存在しているにもかかわらず切り抜きの文字が一文字も脱落していないのが驚異的である。

左側のシャッター以外は恐らく建築当初からの姿を保っていると思われ、まさしく文化財級の建物であるが、どうやら今も現役で使われているようだ。

 

見た目のインパクトが強烈なせいか、この場所で自分と同じ衝撃を受けた人が多いらしく、ネットで軽く調べただけでこの建物の正体が明治29年に創業された関藤謙治商店というセメントや石炭を取り扱う企業の本社であることや、築年が昭和4年であること、関藤謙治氏は創業者で現在は代替わりをして名称も関藤商店に変わっているが引き続き営業中であることなどがあっさりと分かった。

そして驚いたことに関藤謙治氏は井笠鉄道の設立に尽力した人で、会社設立後の代表取締役社長をも務めたお方だそうだ。物珍しさに何気なく撮った写真からそういうことが芋づる式に分かるのが面白い。

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さて、笠岡駅だ。

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切符は滞りなく入手できた。で、笠岡の駅前にも岡山キムラヤを見つけた。まだ昼食を済ませていなかったのでここでパンを買って食べることにした。

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ここで購入したパンのひとつがたくあんサラダロールである。これは奉還町のキムラヤでも売られていたのだが、あまりキワモノばかり買って貴重なランチがみじめなものになったら困るので前回は購入を見送ったものだ。だが、前回購入した福神漬サラダロールが殊の外おいしかったのでチャレンジしてみようという気になった。

しかし、商品名の下に「刻みたくあん漬けをマヨネーズで和えてサンドしています。」と書かれている。どんなアピールポイントだ。たくあんにマヨネーズをかけて食べたことがないし、そもそもパンにたくあんの組み合わせも食べたことがないので味のイメージが全く沸かない。若干恐る恐る食べてみたら、うん、アレだ。ワンプレートにメインのおかずとごはん、マヨネーズがかかった野菜が乗っていて、その脇に付け合わせのたくあん添えられた料理を何でも良いので想像頂いて、それを食べ進めるうちにたくあんにちょっと野菜のマヨネーズがくっついちゃったものを食べているような感じである。想像できましたか。

名前のインパクトからするとそれほど奇っ怪な食べ物ではなかったが、その味をメインに据えるか?と言う味だった。これまた案外美味かったが。

 

井笠鉄道記念館:


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さて、パンをかじりながら車を走らせてやってきたのは井笠鉄道記念館。駐車場が若干停めにくいので車で行く人は要注意。

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ここはかつて井笠鉄道本線の新山駅があった場所だ。この駅の駅長だった人物が車両や施設を保存展示するための場所として、廃線後に駅舎を活用した資料館を開館したのが始まりだそうだ。現在は笠岡市に買い取られ市の施設として運営されている。

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井笠鉄道は笠岡から井原(いばら)間の本線と、途中の北川から矢掛(やかけ)を結ぶ矢掛線、井原から神辺(かんなべ)を結ぶ神辺線の3路線を経営していた。各線は全線ナローゲージで非電化の路線だったが、矢掛線、神辺線は国鉄井原線に路盤を譲る形で1967年(昭和42年)に、残された本線も1971年(昭和46年)に廃止となっている。

ちなみに国鉄井原線は1966年(昭和41年)に着工されたが、1980年(昭和55年)に建設中止となった未成線である。路盤などがほぼ完成した状態にあったため、地元周辺自治体によって井原鉄道が設立され、後に井原線として開業している。

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この記念館には3両の車両が保存展示されている。まず最初は1号蒸気機関車。開業時から昭和30年までの間活躍していたそうだ。昭和30年に現役を退いた機関車にしては部品の保存状態が良いとのことだ。

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そしてホハ1号客車。比率の関係で大きめの車体に見えるが、長さは9mほどしかない。

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ダブルルーフの古き良き客車で、1.5m四方ほどの小さな荷物室が付いていた。

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客車はこんな感じで、背もたれは板張りだったようだ。

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ダブルルーフなので荷棚部分の天井が低い。置けるものを選びそうだ。

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最後がホワフ1号貨車。こちらはさらに短く6mほどしかないがボギー台車になっていた。

 

経ヶ丸グリーンパーク:


と言うことで鉄道記念館の見学も終了。今回の旅もいよいよ佳境である。
最後に向かうのは経ヶ丸グリーンパークという山あいのレクリエーション施設だ。ここにも井笠鉄道の車両が保存展示されているというので行ってみることに。

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向かう途中HAKUJUJIの看板が見えた。白十字という岡山県内に何店舗かある洋菓子店なのだが、カミさんからのお土産リストにここのブッセが記載されていたことを思い出しちょっと立ち寄り。

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こちらがウィッシュリストに入っていた高原ブッセ。1個150円。これでカミさんのお土産リストのうち2つをゲットできた。最後のひとつは藤戸まんじゅうと言うものなのだが、これは岡山駅の新幹線改札内で購入できるということなので帰りがけに購入予定。

 

寄り道も済ませて経ヶ丸グリーンパークへ。国道からグリーンパーク方面への分岐を進むと途中から細い山道になり、延々登り詰めていくとようやく施設が見えてきた。3連休最終日の昼下がりとあって園内は閑散としていた。車両が展示されている場所はパターゴルフ場やオートキャンプ場へ向かう道の途中にある。

てっきり駐車場の片隅のような場所に置かれているのかと思ったのだが、意外にも他の施設とは関係ない小さな空き地の中に置かれていた。

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で、これがホジ101。なぜかこちらもガラスや内装類は全て撤去されていた。塗装自体は割と最近塗り直したらしく綺麗になっているのでこちらも恐らく修復途中と思われる。

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その後ろにはホハ8という客車も展示されている。こちらも窓ガラスの類は全て撤去されていた。前方に停められているホジ101と比べると床面の高さが全然違う。ということはホームに到着するとどちらかは大きな段差が生じたはずである。乗り降りの際に困らなかったのだろうか。

というかよくこんな所まで持ってきたものだ。さっき走ってきた山道はすれ違いもままならないような細いヘアピンカーブがいくつも連続していた。そんなところをこんな長い車体がトレーラーに載せられて引っ張り上げられたというのだから、トレーラー運転手の運転技術に驚くよりほかない。

ここに停められた車両はこの2両のみなのでこれで見学終了。なんだかあっけない。

Posted by gen_charly