岡山出張2nd.【9】(2023/11/12)
白水港:
10分ほどのドライブで白水港に到着。こちらのフェリー乗り場は多くの車が乗船待ちの列に並んでいた。ここがこの調子だから垂水港も同じような感じなのだろう。それぞれが30分間隔くらいで船を出しているのにこれだけ乗船待ちがいるということは、やはり本土との往来はそれなりに需要があるのだな。
こちらの船は窓口で切符を購入する一般的な形式だった。車検証を見せて切符を購入。
そして乗船するフェリーがこちら。。。と思ったらこれは停泊しているだけで乗船する船は別の船だった。そちらはタイミングの都合で撮影できなかったのだがこれと同じ形状の船である。
乗船開始まで10分ほど車の中で小休止した。やがてフェリーが接岸し、乗船してきた乗客が吐き出されると今度はこちらが乗船する番。だが結構な台数(20台ほど)が待機の列に並んでいる。全部載るのだろうか。もし乗りあぶれたら更に30分のロスになるので、この便にはぜひ乗っておきたいところだが。
だがその心配は杞憂だった。係員の適切な誘導によって全ての車両が乗船できた。それから程なく出港となった。
大崎上島は1時間ばかりの滞在だったがなかなか楽しめた。
乗船すると船内アナウンスで車の乗客も客席に移動するよう何度も繰り返しアナウンスしていた。だが30分ほどの航海であるせいかほとんどの人は車に乗車したままだった。
そのせいで客室は閑散としていた。もちろん自分はしまなみの景色をしっかり堪能したいのでデッキに移動した。
船が出港するころになると、さっきまで空を低く覆っていた雲がだいぶ切れてきて晴れ間も出てきた。だが、今度は風が出てきた。そういえば山口県あたりでは強風波浪注意報が出ていたっけ。
吹き抜ける風がなかなかに凍えるが、色々見たいものがあるのでデッキを陣取り続けた。
船は生野島を左に見ながら進む。生野島は数十名ほどの定住者が入るそうだ。
船の後方に見える鍋島と船島。
アホみたいに高い鉄塔が立っているが、その足元に大久野島がある。
そして今回このフェリーに乗船してぜひとも見てみたいと思っていた島が写真の契島(ちぎりじま)である。契島は島全体が東邦契島精錬株式会社(旧:東邦亜鉛株式会社)の所有地となっていて亜鉛の精錬所がある。四阪島と並ぶ全島精錬所の島として知られている。故に一般人は基本的に立入が出来ない。
その割に定期船が頻繁に就航している。行ったところで港の桟橋以外の場所にはどこへも行けないのにとも思うが、通勤客などを乗せるためなのだろう。ただ上陸は出来てしまうので無許可で敷地内に進入する人が結構いるらしい。
写真で見ても分かるとおりそのシルエットはまさしく軍艦島だ。長崎にある世界的にも知られている軍艦島を彷彿とさせる工場風景だ。もし長崎の方が現在も稼働を続けていたら今頃このような姿になっていたのかもしれない。
そして15時過ぎに竹原港に入港。なんか久しぶりに本土に帰ってきたような気分になった。まだ日が暮れるまでに時間があるので、もう1つ2つ記録を伸ばしておきたい。とりあえず予定どおり田島と横島へ上陸しに行ってみることにした。
横島:
竹原から田島・横島へ渡る橋のかかる沼隈までは高速で1時間半ほど。特にこれといったイベントはなかったので省略。沼隈は福山市の一地域で尾道市と隣接している。田島・横島は内海地区の沖合にあり周辺の島々を総称して備後群島と呼ばれている。
島は内海大橋という橋によって結ばれているのだが、なんか不思議な形状をしている。橋へのアプローチ道路を上り詰めるとアーチ橋を渡るのだが、その向こうに90度右を向いたもうひとつのアーチ橋がかかっている。
なぜ橋の途中でカーブさせるような線形になっているのか不思議だったが、これも帰宅後に調べたら橋の両側に造船所がありそれらの船舶が陸寄りを通過することから、橋脚を陸の近くに設置できなかったことと、丁度カーブの頂点付近直下の海中に浅瀬があって、その岩盤が強固だったので橋脚の足場として使えたことの2つの理由でこうした形状になったのだそうだ。
そうして上陸したのが田島。116番目の島となった。田島は周囲15キロほどの小さな島で現在は福山市に属しているが、以前は内海町という独立した自治体であった。島の人口は1200人ほどと小さな島の割には多くの人が住んでいる。それでも架橋によって人口流出に歯止めがかからないらしい。やっぱりストロー効果だ。
人口減少を食い止めようと様々な定住促進策を行っているそうだ。出発前に地図を眺めていた時にコテージのようなものが建ち並んでいるのを見つけた。それにしては何の表記もないのでなぜだろうと思ってストリートビューで調べてみたら、どうもエルパラルネッサンスという分譲地であるらしく、洒落た南欧風の一戸建てが並んでいた。定住促進策に乗ってこんな所に住めたら快適な毎日を過ごすことが出来そうだ。もっとも市街地まではだいぶ遠いので、そうした都市部へ通勤する人には向かなさそうだが。
田島の南西に連なるように浮かぶのが横島。こちらも橋で結ばれているので車で渡ることができる。太陽がだいぶ傾いてきたので日が暮れる前にざっと見学してしまおうと田島は素通りして横島へ向かった。
田島から横島へ通じる道は島の西側を通っていて、真正面に見える太陽が間もなく向かいの島の後ろに沈もうとしていた。真正面なのでまぶしいったらありゃしない。。。
道すがら右手方向に見える島影は百島という。こちらは架橋されていない。されてたらついでに行ってみたい所だが。
ずっと進んでいくと、ちょっとした橋をまたいだ。その先はもう横島だった。両方の島の集落は間に横たわる海峡に向き合うように広がっているのでずっと集落の中を走っていたらいつの間にか隣の島だった。
横島は周囲10キロ足らず、人口は1000人余りと田島と規模感の似た島である。この島が島旅117番目。田島と横島の間の海峡は狭く、元々はひと繋がりの島だったものを船を通すために切り拓いたという伝説が残っているそうだ。
この島の南端部に戦時中に構築された岩国陸軍燃料廠横島出張所という石油貯蔵施設の跡地がありその構造物が一部残存しているらしい。それを見に行ってみようと思ってどんどん進んでいく。
が、途中から道が細くなってきた。島の急斜面にへばりつくように1車線の道が続いている。あちこちブラインドカーブだらけで見通しが悪いのでそろそろと慎重に進む。