岡山出張2nd.【7】(2023/11/12)
小長港:
さて、とにもかくにも時間がもうギリギリである。あと15分、間に合うだろうか。御手洗の集落を訪ねる時間はもはや無くなってしまった。。。元々そういう想定での旅ではあるのだが、慌ただしすぎるのも考え物である。御手洗集落について帰宅後に調べてみたらなんかものすごく魅力的な場所だった。トンネルとか見て回ってないで真っすぐこっちへ来ればよかった。
よくよく考えたら逆回りで進むことを検討してなかったな。最初にフェリーに乗れさえすればその後の帰りのルートはどうにでもなるので、案外その方もっと効率よく回れたような気がする。忙しくて十分検討できなかったのが悔しい。
ともかく急いで大崎下島に戻る。下島に上陸したら御手洗方向へ左折して2分ほどで大長(おおちょう)という集落にある小長(おちょう)港にたどり着いた。しかし「おちょう」とは読みづらい。
時間は12:50、とりあえず無事船に間に合ったようだ。
急いで待合所に乗船券を手配しに行く。車両を積載する場合、大抵窓口に行って車検証を見せて乗船券を発券してもらう手続きが必要になる。これが案外時間がかかったりするので出港の10分くらい前には着いていないと何かと不安。
ところが建物内に入ってみたら窓口に人の気配がない。代わりに隣に食券の券売機のような自販機がある。この券売機で車両のサイズごとの乗船券が売られていた。自己申告制なのか、これまた珍しい。
軽自動車の乗船券を購入し車両の待機場に並ぶ。
が、もう5分前なのでぼちぼち乗船が開始されてもおかしくない時間である。船は接岸しているので出港はするものと思うが、他の乗船客の姿がない。おまけに係員の気配もなく誘導して貰えないのでどうしてよいやら途方に暮れた。
1,2分したら船の方から係員が降りてきて自分の車の方を見ている。視線が合った際に頷く姿が見えたので、乗っていいよという合図だと理解したが、車を出そうとしてよく見たら乗船口の桟橋に船から出てくる方向の矢印が引かれている。
あれ、一方通行か?だが他にはルートがなさそうだ。ではどうやって?と思ったが、係員からこれといった合図も出ないので、一旦車を降りてその係員に声をかけた。ここから乗っていいんですよね?と問いかけると頷いたのでどうやらここから乗船していいらしい。なんか紛らわしいな。
船に乗る前にその係員にチケットを渡す。2枚つづりのチケットだったが2枚とも回収されてしまった。1枚残して記念にしようと思っていたのに。。。
別の係員の誘導に従って船の上に車を停めた。甲板に停められた車両は自分の車のみだった。とりあえず間に合ってほっと一息。
この船はここから大崎上島の明石港へ向かう。15分ほどの乗船なので車を降りて船内を散策。
船は弓削島へ渡る時に乗ったフェリーと同じような構造をしていて、甲板の両サイドに簡易的な客室が設けられているタイプだ。なので船の設備にこれといった見所もなくデッキへ移動。すると丁度出港となった。
甲板を見てみるといつの間にかもう1台、車が乗船していた。結局乗客は2台とその運転手である我々2名のみ。なんか閑散としている。これでも日曜日の昼下がりだ。
小長港から南へ数百m行ったところに大長の中心集落がある。そちらの港からも大崎上島へ向かう客船が出ているのだがあちらは車を乗せることが出来ない。なので自分はこちらのフェリーを利用したわけだが、後でネットで調べてみたらこの航路は数年前に廃止の議論が巻き起こった航路であるらしいことが分かった。利用が低迷して航路を維持できないというのが理由だが、無くなっては困るという地元からの要望があったため、一旦廃止を撤回した経緯があるらしい。
だがこのありさまである。日曜日の昼下がりに利用する客が2人しかいないのであれば、流石に経営もままならないだろう。港の受付に人がいないのも最少人数でじり貧のオペレーションになっているせいかもしれない。
さて、出港した船は岡村大橋の下をくぐって大崎上島を目指す。左が中ノ島、右が岡村島。天気がどんよりとしすぎて肌寒いし、船は閑散としている。もう1台の乗客は地元の利用者らしく運転席に座ったままでいる。寒空の中景色を見ているのが自分しかいないのでどうにも寂しい。。。
島のパノラマ写真などを撮影して過ごした。
大崎上島 明石集落:
やがて大崎上島の明石集落が見えてきて、ほどなく明石港に入港。
明石港は大崎上島の南西部にある港である。これで、114島目を達成。いいね、着実に数が稼げている。大崎上島は上大崎群島に属する島で周辺の離島を含め大崎上島町という独立した自治体となっている。かつては大崎、木江、東野という3つの町が存在していたが、平成の大合併で呉市辺りに合併吸収されるのかと思いきや3町での合併となった。
島の周囲は60キロほどありそこそこの大きさを持っている。東隣に大三島が、南側には岡村島や大下島が隣接している。
大崎上島と対をなす大崎下島の方は橋で陸続きになっているが、大崎上島は他の島から少し離れた所にあるのでまだ架橋されておらず、船でしかたどり着くことが出来ない島である。こちらもとびしま海道による架橋構想があるらしいが今のところ具体化はしていないそうだ。
島の規模が大きく、本土と海を挟んで面しているせいか人口は8000人ほどあって、これまで通過してきた他の島とは一線を画している。
このあと島の北東部にある垂水港から14:00に出港する竹原行きの便に乗って本土へ戻る計画で、それまでの時間を島の散策にあてようと思っていたのだが現在13:20である。移動の時間も考えたらあと20分ほどしかない。あれ、おかしいぞ。これまで概ね予定どおりに進んできているのに、なぜ時間が足りないのか。スケジュールを見直してみると、計画を立てた時に小長港から明石港までの移動時間を考慮に入れ忘れていることに気づいた。
これだけ大きな島だと20分の持ち時間では流石にどこへも行けない。垂水港から出る船便は概ね1時間に1本程度の頻度で出港しているので散策の時間を確保するとなると、以降の予定が1時間遅延する。タイムトライアルをしている中で1時間の遅延は看過できない。だが、大崎下島から上島、および上島から竹原のフェリー代を支払ってまで上陸するのに、ほぼ移動で終わるのは勿体ない。
のんびり調べる時間もあまりない中でどうしたらよいかと思いつつスマホでチェックしていたら、2キロほど手前にある白水港からも竹原行きの船便が出ていることに気づいた。こちらも頻度は概ね1時間に1本という感じなのだが、垂水港の方は00分発、白水港は35分発といった具合にお互いを補完するようなダイヤになっている。
だったら白水港を14:35に出る便に乗船すれば、後続の予定への影響も最小限に抑えられて島の散策時間も確保できる。これだ!
ということで白水港に14:20到着を目標にして1時間ばかり島内散策にあてることにした。
この島で見に行ってみたいところは2カ所ある。1つ目は島の北側に位置する旧大崎地区の沖合に浮かぶ長島である。
この島も橋によって結ばれているので、見どころというよりは上陸記録を伸ばすための渡島であるのだが、案外面白い島であるらしい。
まずは長島に向かうため、港から北上する県道を走って大崎地区へと向かう。その道の途中に鐘楼がある家があった。いや、寺ではないようなので半鐘か。でも消防を示す赤ランプもない。あるいは時の鐘みたいなものだろうか。情報がないので詳細は不明だったが、古い屋敷に半ば取り込まれているような鐘楼はなんだか継ぎ接ぎ感があってちょっと和んだ。
必要があって増築しているうちにごちゃごちゃになっちゃいました、みたいなキメラ物件は、地方に行くとよく見かけるが、その中の構造や間取りがどのようになっているのか想像すると楽しい。
山を越えると大崎の町に入る。車だと10分少々の道のり。大きな島といってもそんなもんだ。