福島出張【4】(2024/02/20)

国道399号線(東北自動車道ー伊達橋):


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2キロあまり進んだところで東北自動車道をくぐる。ひとつ目のマイルストーンである。

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そこから1キロほど進むと福島市を抜け伊達市に入る。伊達市に入ってすぐに東北本線東北新幹線を越える。東北本線は高架でまたぎ、東北新幹線は高架下を通り抜ける。これがふたつ目のマイルストーン。

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東北線を越えると暫くの間、工場地帯の中を通過するが、ほどなくして抜ける。このタイミングで時計をチェックすると既に12時半を回っている。少し時間が押し始めているな・・・。

昼時ではあるが、飲食店に入って食べたら時間が足りなくなりそうだったので、途中のセブンイレブンで軽食を買って済ませる。

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飯坂を出発して4.5キロほどで国道4号を渡る。これがみっつ目のマイルストーン。これで東北縦貫の動脈はすべて越えた。だが、全行程の半分も進んでいない。やっぱり無謀な計画だったか・・・。

 

国道399号線(伊達橋歩道橋):


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国道を渡ると程なく阿武隈川を渡る橋に差し掛かる。が、歩道が見えない。またか。

いくら歩行者はほぼいないような道とはいえ、省略するのは違うんじゃないの?なんて思っていたら、伊達橋歩道橋と書かれた看板が出ているのが見えた。その辺りまで来ると右手側に並走している小さな橋のようなものが見えた。なるほど、歩行者用の橋は別にあるのか。

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案内に従って進んでいくと、随分と華奢な橋が現れた。いかにも歩道用という感じのサイズ感だが、作りの古さからして現役当時は車もこの橋を交互通行かなんかで走っていたのだろう・・・と思ったらこの橋、ただものではなかった。

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橋の袂に看板が出ていたので何気なく目を向けると、この橋(旧伊達橋)にはかつて福島交通軌道線が通っていたということが書かれていた。しかも写真に橋を渡る人が写っているとおり人道橋も併用している。まぁ、軌道線というのは即ち路面電車なので、人や車が渡っていても変でも何でもないのだが。

かつては全国各地にこうした併用橋が存在していたが、自動車交通が発展すると鉄道は邪魔者扱いされて、廃止となったり別の橋に切り替えられたりしてその数を減らした。

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橋の幅はこの程度。この幅で路面電車と歩行者が行き交っていたのだというのだから、相当小さな電車だったのだろう。

ここまで自分の心をかなり折りにかかってくる道だったので、そろそろタクシーを捕まえて終点まで行ってしまおうかと思っていたところだったのだが、おもいがけず面白いものが見られたので、折れかかった心も復活した。

 

国道399号線(伊達橋歩道橋ー保原市民センター):


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6.5キロ地点で東北中央自動車道の下をくぐる。あともう一息。頑張れ俺。

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少し進んでいくとこんな看板があった。南東北木材株式会社とある。南なのか東なのか北なのか。麻雀で真っ先に切ってしまう牌っぽい。ナントンペー。

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そしてようやく保原の市街地に入った。人家の建ち並ぶ景色にホッとする。

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市民センター近くに来ると、道が整然と整えられた歩きやすい道になった。足はもう痛くて仕方ない。この後に温泉に入りたかったなぁ。

ここまで来たらゴールは目と鼻の先である。

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そしてゴール。2時間10分ほどかかった。

 

福島交通軌道線の保存車両:


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そしてこちらがお目当ての福島交通軌道線の車両。上の旧伊達橋の案内板に掲載されていたものと同じ車両である。車号は1116となっているが形式名は不明。

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少し正面寄りに撮影してみた。車体の幅が狭い。元々この路線はレール幅が762mm軽便鉄道として開業したのだが、後に改軌された後もさして広くない、整備されていない道路の片隅を通行しなければならなかった関係で、車体幅を広くできなかったのだそうだ。

件の伊達橋に掲載されていた写真を思い返しても、あの狭さの橋の上で人がすれ違える程度の余裕があったことが、この車体幅を見て納得である。

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扉にカギがかかっていて車内の見学はできなかったので、窓越しに撮影してみた。座席は一面に配置すると立ち客が立てなくなるせいか、千鳥状に配置されている。これだと着席できる人は10人程度しかいなかったようだ。

室内の化粧板は、古い家屋の内壁のような風合いの物が使われている。当初からこういう風合いだったかは不明。

撮影対象が1両しかないので撮影もあっという間だ。5分ほどの滞在のために2時間以上歩いたと思うとなんともバカバカしいが、まぁ何もなければ自分の一生の中で歩くこともないであろう場所を歩けたのでちょっと満足。

 

阿武隈急行 保原駅:


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撮影を終え一息入れた後、今回の散策の終点、保原駅へと向かう。保原駅は阿武隈急行線の駅である。阿武隈急行は旧国鉄の丸森線を引き継いだ第三セクター鉄道で、丸森線建設当初は東北本線の需要ひっ迫に伴うバイパス線としての役割を期待されたが、東北本線側の改良によりひっ迫が解消され、バイパス線としての役目がなくなってしまった。そのためローカル線として細々と営業していたのだが、赤字83線のひとつに認定されてしまう。

このままでは路線廃止となってしまうので、地元自治体などにより丸森線を引き継ぐ第三セクターとして設立されたのがこの阿武隈急行となる。元々東北本線のバイパス線として計画されていただけあり、高規格な設計となっている。保原駅も築堤の上に設けられており、周囲に踏切などがない。

にもかかわらず、やってくる列車は2両編成のミニ列車。もっとも今となっては東北本線も同じだが・・・。

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ホーム上から保原の街並みが一望できた。

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暫くしてやってきた福島行きの列車に乗る。車内は昔の快速列車のような扉間にボックスシートが並ぶもので、車両デザインはそれほどの古さを感じないものの、車内はなんか懐かしい感じがした。

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そして福島駅に到着。車両は8100系という。前面に「夢」と書かれたヘッドマークが掲げられている。よく見ると「ありがとう」の5文字で構成されている。

ちなみに福島駅は福島交通飯坂線と同一のホームを利用している。双方隔てられていないのでそのまま乗り継ぐことが可能。

 

こうして半日ばかりの散策が終わった。ホテルに預けた荷物を回収し、駅のコンコースで家族への土産物を買ったら丁度新幹線の時間になった。

(おわり)

Posted by gen_charly