石巻・浦戸諸島巡り【10】(2024/03/30)
寒風沢島:
そうしてほんの2分ほどで対岸の寒風沢島に到着。これで「さぶさわじま」と読む。いかにも寒そうな名前の島だが、ここが島旅120番目の島となった。昨年のGWに徳島の島田島で100島目を突破したことを考えると、この1年で20島を巡ったことになる。そう考えるとなかなかの島ラッシュである。
寒風沢島は浦戸諸島最大の島であるが、人口は他の島同様に100人未満となっている。野々島と同様、島の北東側に樹木の枝のように広がる細い半島があるが、利活用はされていないようだ。その半島のひとつを進んでいくと鰐ヶ淵という海峡があり、そこから僅か80mほどを隔てた向こうに宮戸島がある。だが宮戸島は東松島市に属する島であるため、この海峡を渡る渡船はない。あれば島伝いに訪ね歩くことができて便利なのにな、というのは旅人の発想なのだろうが、まぁ色々事情があるのだろう。
ちなみにこの後訪ねる予定の朴島へ向かう渡船も、今しがた乗って来た船によって連絡されているため、散策の後再びここに戻ってくる必要があり、これまでの島のように横断しながら散策することができないので、島の中を適宜ブラついてみることにした。
この島の集落も小さなものなので、散策といっても多分30分程度だ。そうなるとさっきの渡船の船頭を再び呼びつけて朴島に渡してくれ、とお願いすることになる。落ち着く暇もなくまた船を出すことになったら迷惑になるかと思い、予めその旨を船頭に予告しておいた。
港の浮き桟橋から護岸堤防の内側に入ると、集落が広がっている。この辺りも少なからず津波の被害を受けているようで、建物は新しいものが多い。
その一角に2軒の民宿が看板を出していた。もしこの辺りで足止めを食らったら、朴島には宿泊施設はないので、どちらかの民宿に泊めてもらうことになるかもしれない。それはそれで面白そうだなと思いつつ散策スタート。
集落を散歩:
数十メートルほど奥へ進むと古い建物が残る集落の光景となる。失礼な話であることは重々承知のうえで言うが、離島を訪ねるからにはこういう鄙びた風景が見たい。

その道すがら、とある民家の庭先に大量の猫がくつろいでいた。チビがその猫たちに向かって猫の鳴き声をまねた声を出す。子供の声はトーンが高いので、人間様の耳には案外本物っぽく聞こえたが、猫からしたらさすがに自らの仲間の声だとは認識しないだろう。
暫く鳴きまねをさせて、満足したかい?と言って引きはがすつもりだったのだが、そいつら、にゃに?という顔をしてこっちを見ている。チビがさらに何度か鳴き続けたら、何の用ですか?と全員がこちらに向かってノテノテ歩いてきた。ウチの子、猫呼び寄せちゃったよ・・・。意外な特殊能力を見た気がした。
で、せっかく来てくれたのだから撫でてあげたらいいのに、何故かビビるチビ。結局チビの方が後ずさりして離れてしまった。じゃあ呼ばなきゃいいのにw

ネコさんたちは呼ばれたからわざわざ出向いたのに、呼んだ主がいなくなってしまったので、所在無げな顔をして困惑していた。
田代島には渡れなかったけど、まぁ、一応これで猫の島体験できたねとチビに言ったら、満足げな顔で頷いていた。でも田代島の猫はこんなもんじゃないぞ。この程度でうろたえていたら、行っても楽しむどころじゃなかったかもしれない。
この島も他の島と同様、集落を外れると農機具小屋などが点々と並ぶだけの細道になる。
そこを過ぎると道がX字型に交差する路地に出た。左方向へ進む道は尾根伝いに鰐ヶ淵の方へと向かう道である。
一方右に進む道は、谷戸を下って田んぼの中を真っすぐ突っ切っている。地図によれば、ここで塩竃の銘酒である浦霞の酒米を作付けしているそうだ。
どちらの道も入り込んで進んでみたい衝動に駆られるが、ここを先に進んでしまうと30分で戻って来られなくなってしまうので、ここで引き返すことに。
鋭角に折り返す道は切通しで山の中腹へと登っている。

そこを10mばかり登ると再び分岐があり、その路地に六地蔵が祀られていた。ひと気のない道でどこへ続いている道なのか軽く不安になるが、まぁ港の方に戻っていることは間違いないはず。仮に迷ってもたかが知れている。

そうして小高い丘を越えると、再び港近くの集落の背後に戻って来る。

その先に小奇麗な平屋の集合住宅があった。震災の復興住宅のようだが、この建物はURによって建てられたものだそうだ。URというと都市部の団地をつくる団体というイメージがあるが、こういう仕事もしているのだな。
で、そこを過ぎるともう港に戻ってしまった。散策に要した時間は30分未満だった。今になって振り返ると、もう少しあちこち歩いてもよかったかなと思わなくもないが、既に13:20近くで、今から朴島に渡ってそちらも散策したら、14時の船に乗れるか、割とギリギリの時間だったりする。
再び桟橋に出ると、船は一旦野々島に引き返したようで、岸壁に姿がなかった。再びコールするとすぐに電話に出られて、すぐ行きますと返事があった。なんかすごくオンデマンドな感じがするが、無料でこき使っているような気がして少し申し訳ない気持ちになる。
そして5分ほどで再び野々島から迎えに来てくれた。で、今度は朴島に渡してもらう。
これまでの島は海峡を隔てて目と鼻の先に港があったが、朴島だけはやや離れた場所に位置している。とはいっても乗船時間は5分程度だから、いうほど離れているわけでもない。
船の通り道の両側は一面養殖棚に埋め尽くされている。丁度潮が引いているせいか海面上に貝殻が見える。やや遠目ではっきりと分からないが、あの形はホタテだろうか。
その背後に見える島影は例の野々島の細い半島だ。土地は利活用されていないが、こうして養殖棚の風よけとして役に立っている。

そうして朴島に到着。潮が引いているため岸壁に横付けできず、船の舳先から下船することになった。こうして121島目の朴島に上陸完了。