青森出張2024【3】(2024/07/15)
恐山:
それから恐山の駐車場へと移動。

駐車場は100mほどしか離れていないので、ここからでもよく見える。

ここの駐車場には、思ったより沢山の車が停まっていた。これまでの道すがらは、車とほとんどすれ違わなかったので、閑散としているのだろうと思ったが、こうしてみるとそんなこともないようだ。

駐車場の奥の一角には地蔵が立ち並んでいる。その名も六地蔵。それぞれにしぐさや表情が異なっている。

そして総門前の受付で拝観料を支払う。料金は700円。単にお寺に参拝するためだけの料金だったらかなり割高だが、恐山には見どころが沢山ある。
恐山は古くからの霊場として知られている。噴気地帯に隣接してお寺の施設が建てられており、その浮世離れした光景から、地獄であるとか、死者と対話ができる場所としても有名だ。何しろ名前からして恐山である。どれほど恐ろしい場所なのか、自分も一度見に行ってみたいと思っていたのだが、とにかく遠くてなかなかその機会に恵まれなかった。
それだけにどんな景色が見られるのか、今から楽しみだ。
恐山 菩提寺:

総門をくぐると、奥の方にある山門へ向けてまっすぐ参道が延びている。が、本殿は左の赤い屋根である。本殿といったら一番奥の正面にどっしりと鎮座しているイメージだったのでちょっと意外。
ちなみに、この本殿の脇にはイタコが詰めている部屋がある。
イタコは世間に広く知られているので、あえて書く必要はないかもしれないが、死者の言葉を伝える役目を持った巫女のことである。それなら父や祖母と会話してみたい気もするが、それは今じゃなくてもいい気もする。まぁ、今回はあまり時間に余裕のある旅ではないので、横目で眺めるのみで通過。
ちなみにこのイタコ達は各々ここに集まっているそうで、寺として管理している人ではないと公式サイトに記載されていた。

その境内には上の写真のような掘っ立て小屋がいくつかある。この建物はなんと風呂である。薬師の湯と名付けられているそうだ。

境内にはそれ以外に4ヶ所お風呂が設けられている。それぞれ拝観者は自由に入浴することができるそうだ。お寺の境内に一般に開放されたお風呂があるというのがなんとも物珍しい。
場所柄、そのお湯はもちろん温泉だ。いかにも硫黄分が濃密そうな乳白色の湯舟があるということなので、一応入浴する準備は整えてきたのだが、建物の前まで来て、今お風呂に入ったらこの後の散策がグダグダになってしまうのではないかと思った。少し思案した末、結局見送り。その場の判断だったが、今思えば1、2分だけでも入っておけばよかったかなという気がしなくもない。

奥の山門をくぐると、その正面に地蔵殿がある。こちらも参拝。

その地蔵殿の横には荒涼とした噴気地帯が広がっているのが見える。散策できる遊歩道が設けられているのでそのまま進んでみた。
地獄めぐり:

恐山ではこの噴気地帯を地獄とみなしているそうだ。その道々には、石が賽の河原の石積みのように積み上げられていて、その上で色とりどりの風車が回っている。山からの風を受けてくるくると寂しげに回る姿を見ていると、なんとも言えないうつろな気分になってくる。
この辺りは火山ガスの噴出が活発で常に硫黄の匂いが鼻を刺激し続けている。そのせいで植物も育ちにくく、緑色が少ない。それがまた地獄を連想させる。

こちらは大師堂。ここにも石積みと風車。

大師説法之地。およそ1200年前に慈覚大師がこの地に霊場を開闢されたのが、恐山の始まりとされているそうだ。

進んでいくうちにいくらか標高を稼ぎ、宇曽利山湖が見下ろせる場所にきた。前述のとおりこの荒涼とした噴気地帯を地獄に見立て、一方で白砂の砂浜が広がり、静かな湖面を湛えた宇曽利山湖を浄土と見立てているということだ。

中央付近へと進むに従い、硫黄の混じった噴気によって黄色く変色した岩が目立ってくる。そうした岩々の上に誰かが賽銭を置いている。

だが、ガスにより変質して既に原形をとどめていない。この辺りは周辺と比べたら比較的硫黄臭は軽微に感じたが、そんな場所でもこうして硬貨を変質させるだけのガスは放出されているということである。

地獄めぐりの一番奥に鎮座しているのが八葉地蔵菩薩。

それからさらに進んでいくと塩屋地獄と呼ばれるエリアとなる。そこいらからシューシューという、何かが噴き出す音が聞こえている。試しに小さな穴の上を靴で塞いでみたら、音が遮られるように小さくなった。こんな足元からも何かが噴き出しているような場所、本当にいて大丈夫なのだろうか。
硫黄ガスは、空気中の濃度がある一定以上に濃くなると、その特徴的な腐った卵のようなにおいが感じられなくなるという性質がある。そのため、濃度の高い場所に立ち入ると、ガスにまかれていることに気づかないまま、中毒症状を起こして倒れてしまうという。速やかに退避できなかったら命を落とすこともある。
このシューシューいっている穴の周辺では、硫黄の匂いがあまりしなかったので、吹き出しているガスは恐らく水蒸気だと思うだのが、もし特濃の硫黄ガスだったらどうしようと不安になる。まぁ特に何事もなく見て回ることができたのだから、問題はないはずだが。

ちなみにそのすぐ近くには、写真のような泥水で満たされた小穴が開いていた。その泥の間からぷくぷくとあぶくが立っている。ここは地下水の水脈の近くでもあるのかもしれない。

更に進んでいくと八角円堂と呼ばれる建物がある。ここだけ濃い緑に囲まれている。
そして浄土へ:

八角円堂から振り返ると宇曽利山湖が目前となった。地獄もようやく終わるのか。

湖畔には東日本大震災供養塔があった。

そして極楽浜。ついに浄土へ辿り着いたようだ。この湖については既に何度もその名称を記載しているが、宇曽利山湖という。恐山の語源になった湖である。国土地理院では宇曽利山湖という名称が採用されているが、近年、宇曽利湖という名称に変更しようという動きがあるそうだ。なので、ものによって宇曽利山湖と宇曽利湖が混在して表記されている。お寺でもらったパンフレットのマップには宇曽利湖と記載されていた。
よくよく考えてみると、湖の湖畔で白砂の砂浜というのは大変珍しい。南の島の白浜は、サンゴが砕かれてできたものだが、この白砂は恐らく流紋岩であろう。ということは周囲の山々は流紋岩を産出する火山なのだろう。
