瀬戸内・四国ドライブ【6】(2023/05/04)
弓削島:
それから因島大橋を渡って因島に上陸。因島も今回はほぼ素通り。弓削島へと渡るフェリーが発着する港は家老渡港という。読み方は「かろうとこう」。珍しい地名だがどんな由来なのだろうか。カロートといえばお墓のお骨を収める場所のことだが、関連があったら面白いが、多分何の関係もないはず。
家老渡港の近くまで来た時、港へ続く1.5車線の道路に車が列を作っているのが見えた。道にあふれるほど車で渡る人が多いのかと一瞬焦ったが、その車列に並んだあと車を降りてみたら、並んでいるのは4台だけだった。
そのまま乗船手続きをしようと港まで歩いて行ったら、港は小ぢんまりとしていて、港内に車が待機するスペースがない。だから、道路に並んでいるのか。まぁ、全部で5台なら我々も次の便に乗れるだろう。
こんな小さな港でも船は20分~30分おきに出港していて、かなり頻繁に運行されている。これだけ頻繁に来るなら向こうの島との行き来は気軽なものだろう。なぜもっと早くその可能性に気づかなかったのだろうか。
それはそうと港のどこにも事務所らしきものがなく人の気配もない。なので乗船手続きができない。みんなどうしているのだろう。
とりあえず船が来たら聞くか。
向かいに見える弓削島の風景を眺めながら待っていたら、やがて対岸から青と白に塗り分けられたフェリーがこちらに向かってくるのが見えた。
車に戻って待機しているとほどなく船が接岸するのが見え、弓削島から運ばれてきた車が下船していった。それと同時にこちらの車列が進み始めて、船上の係員の誘導で停車。
それから係員がそれぞれの車のところまを回ってきて料金の徴収を始めた。なるほど、船上で手続きするのか。
軽自動車なので料金は840円。なぜか後ろの席にいる2名分の運賃を取られなかった気がする。
船は対岸の弓削島まで5分程で結んでいる。そのせいかほとんどの車の乗客は車から降りることなく車内で待機していた。
我々はもちろん車を降りて船内を散策。といっても船に設備と言えるほどの設備はない。客室というよりは待合室と言った方がしっくりくる、数人入れば満員になるサイズの小部屋があるだけで、あくまで渡船としての用途のみに割り切っている。
なので、船内の散策もほどなく終わってしまった。あとは海に浮かぶクラゲを見たり、対岸の景色を見て時間を潰しているうちにあっという間に弓削島の上弓削港に入港した。
車に戻って下船する車列に続いて下船。島旅96島目は弓削島であった。
弓削島は因島の南東に位置する島で、愛媛県上島町に属している。つまりこの短い船旅の間に県境を越えたわけだ。
他県の島だから、ということではないと思うが、目と鼻の先にある島なのに架橋されていない。
なのでこうしてフェリーが就航している訳だが、こんなに気軽に利用できるものだとは思わなかった。というのも自分は普段フェリーとは縁のない暮らしをしているせいか、離島を結ぶフェリーといえばせいぜい1日5便くらいの頻度で往復する交通機関、という先入観があったからだ。
島に渡って散策しようと思ったらそれだけで1日を潰す覚悟がないとフェリーで渡る島へは行けないものと思っていた。
かつて2000年の一人旅でしまなみ海道を訪れた時、この弓削島のさらに南に浮かぶ豊島(弓削豊島)に上陸しようと目論んだことがある。
豊島はコミュニティセンターで宿泊が出来るので、そこで1泊するつもりだったのだが、センター職員?からのつれない回答によって宿泊手配に失敗し、渡島を断念したのだった。
当時は2名の定住者がいるということだったが、この二十数年の間に島を離れて現在は無人島となってしまった。ただし島に美術館があるので1日2便の船便が維持されている。
そんなわけで、引き続き機会があれば訪ねてみたい島であることには違いないが、今回は流石に訪問の時間はなさそうだ。ここまで近くに来たのに、という思いもなくはないが、まぁしょうがない。せめて豊島の姿くらいは拝んでみたいので、昼食が済んだら島影が見えそうなところへ行ってみようと思う。