沖縄社員旅行2006【3】(2006/07/16)

辺戸岬:


やんばるの南東を通る県道は北西の国道と比べると道が悪く、曲くねった道でスピードも乗らない上に距離も長いので、想像以上に時間がかかった。
辺戸岬に着いた時には既に15時を回っていた。

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辺戸岬は沖縄本島の最北端に位置する岬であるが、単なるランドマークにとどまらず、歴史的なシンボルとしての存在でもある。

終戦後暫くの間、沖縄および奄美で構成される西南諸島は米軍の占領下に置かれていた。その後数年で鹿児島県に属する奄美諸島は日本へと復帰を果たしたが、沖縄諸島は朝鮮戦争における防衛線として最重要な位置づけとなり返還がなされなかった。
米軍は沖縄県下で多数の基地建設を行うために農地の強制収用を行なうなどしたため、次第に住民感情が悪化し、本土復帰を求める声が高まっていった。

本土復帰を求める島民により、この国境の地である辺戸岬は本土復帰への闘争の場として位置づけられたのだった。

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先端部には「祖国復帰闘争碑」が立っている。

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辺戸岬から北の方を眺めると二十数キロ先に鹿児島県の与論島が見える。農地を没収されたり、いわれのない暴行を受けたりした島民たちには、向こう側の日本本土が羨ましく思えたことだろう。

手の届きそうで届かない祖国への望郷の念を抱いて、双方の島からのろしを上げて本土復帰を願ったということだ。

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辺戸岬から視線を少し左に向けると、伊是名(いぜな)島や、伊平屋(いへや)島も望むことが出来る。ここもまた気軽に訪ね辛い離島である。いずれ訪問の機会があればと思うが。。。

ということで沖縄本島の最北端は無事訪問達成。今回はここを訪れることをマストのタスクとしていたので、この後の予定は考えていない。夕方か夜の適当な時間にホテルに戻ればOK。途中に興味を惹かれる場所があったら立ち寄りつつ戻ろうと思う。


巨大ヤンバルクイナ:


で、その興味を惹かれる場所が辺戸岬の目と鼻の先にあった。岬から背後を振り向くと遠くの山林の中に巨大なヤンバルクイナが立っているのが見える。あれはなんだ?

ちょっと見に行ってみることにした。
辺戸岬からそのヤンバルクイナまで車で10分ほど、どうやら展望台があるらしい。

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駐車場の先の小高い丘の上にやつはいる。この階段を登ればよいのだが、その前に車止めの柱に殊更に「オートバイ止」と書かれているのが目についた。なんかそこはかとない違和感。言われなくても分かるよ、的な。あるいは車や自転車は止めないのかよ、的な。。。
なんだろう、このこそばゆい感じ、、、そう言えば沖縄は石敢當に「石敢當」と明記していることが多い。そう言う文化なのだろうか。


それはさておき、階段を登っていくとそのヤンバルクイナの姿が徐々に明らかになっていく。

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いや、ちょっとまって、でけぇ!w
脇に木の幹を模した階段室があるが、その上の段からカミさんが顔を出しているのが見えるだろうか。
カミさんの大きさからこのヤンバルクイナの巨大さを想像してみていただきたい。

やんばるの森と言えばヤンバルクイナ。飛べない鳥であるせいか、かつて沖縄に持ち込まれたマングースなどに襲われてその数を減らし、今では天然記念物になっている。

マングースはその後害獣として駆除されるようになり、ヤンバルクイナの生息数も徐々に復活傾向にあるという。

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ヤンバルクイナの胸の辺りにある展望台から、果てしなく広がる大海原や鬱蒼としたやんばるの森を一望できる。
写真に写っている半島の先端にあるのがさっき訪問してきた辺戸岬である。半島の先端近くに小高く盛り上がった所があるが、そこに祖国復帰闘争碑が立っている。



侘助のピエロ:


巨大ヤンバルクイナの正体も分かったので、ぼちぼち帰路に就くことにした。
ここから宿泊先の残波岬近辺までおよそ90キロある。沖縄本島は島にしてはかなり大きな部類に入るが、本土の各島の大きさから比べたら微々たる大きさでしかない。だが、90キロという数字を聞くとやっぱり大きな島なんだな、と再認識させられる。

90キロの道のりは順調に行って2.5時間程度かかる。多分今からだと途中で腹が減ると思うので、帰りがけに何か食べ行こうということになった。

カミさんは沖縄そば以外の沖縄のローカルフードを食べたいと言っている。だが、手元のガイドブックを見ても興味を惹かれる店がなかった。
とりあえず名護まで出てから考えることに。

途中どこか忘れたが立ち寄った店で無料で配布されているタウン誌を貰ってチェックしていたら、今帰仁村(なきじんそん)にある侘助(わびすけ)という店が掲載されていた。佗助は本業は喫茶店だが、今帰仁のブランド豚である今帰仁アグーの料理を出す店として知る人ぞ知る店とのことだ。

アグーはウチナー口で豚の意だが、沖縄でも貴重な純粋な島豚であるらしい。ずっと沖縄そばが続いていたので、趣向を変えてそこに行ってみることにした。


今帰仁村は名護から1時間あまり。到着するころには夕方になっていた。夕食時だから丁度いいか。
店に入ると先客は居なかったが、女将(喫茶店だからマスターか)が席に案内してくれた。店内には様々な雑貨や小物が置かれて家庭的な雰囲気だ。

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メニューをしばし眺めて、自分はお勧めメニューのひとつ、アグー冷しゃぶサラダを注文。
アグーの冷しゃぶは脂が甘くて絶品だった。余分な脂は茹でこぼされているのでさっぱりしている。

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カミさんはこれまたお勧めメニューのひとつである佗助膳を注文。こちらは地物野菜のメニューで肉が無い。今帰仁アグーを食べに来たはずなのだが。。。
カミさんは軽く済ませたいから、と言っているが、どうせ自分の奴をつまみ食いするつもりだろう。

赤飯のようなご飯は古代米である。白米と比べたらやや粘り気が少ないものの、健康に良さそうなものを食べている感じがする。


料理が出てくる少し前に店に数人がぞろぞろと入店してきた。見るとはなしにその方向へ視線を向けたらピエロが3人。え!?
なんでピエロが入って来るんだ?来店のお客様に向けたフラッシュモブ?

混乱しながら彼らの姿を目で追っていたら、あー、疲れた~!と言いながら奥の座敷へと入って行った。
そんな自分らの困惑に気が付いたのか、マスターが今日地元でお祭りがあったことを教えてくれた。なるほど、そう言うことでしたか。じゃあ、彼らは息子さん?


その困惑の中で料理が出されてきたので、なんか料理に集中できなかったw出てきた料理は浮ついた気分で食べても美味しかったが。
それを味わっていたら一旦奥の座敷に下がったピエロの1人が衣装を脱いで顔だけピエロ状態で再び出てきた。

手には風船で作った犬を持っている。そのまま我々のテーブルに近づいてきて、カミさんによかったらどうぞ、と言ってその風船を手渡してくれた。

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彼らは特にサプライズを意識した訳ではないようだが、我々にとっては思いがけないサプライズだった。

意外な展開が旅の醍醐味。やや遠回りな場所の店だったが立ち寄ってよかった。
食事を済ませたら後は宿に戻るだけ。いつもの2人のお出かけだとあちこち立ち寄って夜遅くまでほっつき歩きがちだが、今回は早々にホテルに戻れるので、夜もゆっくり休めそうだ。


帰りがけに、沖縄ローカルの雑貨などがないか、国道沿いにあったディスカウントショップに立ち寄ってみた。1時間ばかり店内を冷やかしたが、これと言ったものは入手できなかった。

ホテルに帰着したらシャワーで汗を流して、あとは寝る時間までまったり過ごした。これまた非常に珍しいことだ。

Posted by gen_charly