鳥取ドライブ【16】(2022/08/16)
一通り見て回って、今度はコウノトリの飼育エリアの散策。
コウノトリは山に囲まれた水田など、いわゆる谷戸と呼ばれる場所で暮らす習性があるらしく、ここの飼育施設も、そうした尾根と尾根の間の谷戸を利用して作られている。
先ほどのコウノトリ文化館の前の飼育エリアが一つ目の谷戸に位置し、隣の谷戸に別の飼育エリアがある。隣の谷戸へは川に沿った土手を5分ほど歩くと行ける。ただし、そちらの方も谷戸への立ち入りは出来ないらしい。
これらの施設を周遊する散策路もあるようなのだが、歩くと1時間くらいかかるそうなので、今回はパスした。
遠くから眺めるだけでも、と思って傍らのあずまやで小休止。
おやつをかじりながら、谷戸に広がる飼育施設を眺める。施設といっても大きな建物はあまりなく、ぱっと見は休耕地のような感じだ。
その様子はまさに田舎の夏休み。ノスタルジックな妄想を掻き立てる風景にカミさんと2人でうっとり見入ってしまった。その間、チビはひたすらスナックをほおばる。
一方、谷戸とは反対側になる川向こうに広がる水田には、すでに放鳥された半野生のコウノトリがいる。ここに来る前に見かけた鳥も放鳥されたものなのだろう。目を凝らすとこちらの水田にも数羽のコウノトリの姿が見つけられた。
さて、あまりのんびりしていると、今日の予定が消化できなくなる。ぼちぼち進まなければ。
戻り際、さっきの飼育施設にいたコウノトリが、こちら側まで来ていて、割と近くで見ることができた。
仕方ないとはいえ、フェンスが邪魔だなぁ。。。
ちなみにここにいる鳥たちは羽の先を切っていて、飛ぶことができないようにしている。羽はやがて生えてくるので心配はないらしい。
駐車場を挟んで反対がわに土産物屋がある。
2人はそれを見に行きたいという。時間が押しているからほどほどにね、と言っていったん2人と別れた。が、なかなか戻ってこない。結局30分ほどたってようやく戻ってきた。2人が席に着いたら速やかに発車。
豊岡には玄武洞というものがある。これまた山陰観光として有名な観光スポットなのだが、ここに来るまでその存在をすっかり忘れていた。
コウノトリの郷に置かれたパンフレットで最寄りであることに気づいた。折角来たのだから、玄武洞も見学しておきたい。見学にそれほど時間はかからないと思うので、30分ばかり寄り道の時間をもらうことにした。
玄武洞はコウノトリの郷から車で15分ほど北上した場所にある。
円山川という川が豊岡の盆地を北上する際、両側に山が迫り川幅が狭まるところがある。丁度その谷間への入口の部分に玄武洞がある。
車を停めて入口の方へ進むとゲートがある。見学には入場料が必要になるようだ。
大人500円、学生が300円。学生と言っても中学生以上だそうで、チビは無料だそうだ。
チケットを買う段になって、入口まで一緒に来たカミさんが、あまり面白くなさそうだから自分はいかない、と言い出した。
じゃあ、2人で見てくると言って、チビの手を引いてゲートを通過する。
まぁ、玄武洞の大体のディティールはゲートをくぐる前から見えている。ゲートの先へ行ってももう少し近くに見えるだけで、洞窟の中に入れたりするわけではないので、興味が薄ければここから眺めるだけでも充分かもしれない。
柱状節理と呼ばれる柱のような形をした岩石が、洞窟の周囲をうねるように様々な方向へ規則的に並んでいる。まさしく柱状節理の柱状節理たる姿ではあるのだが、硬いはずの石が、生き物のような曲線を描いたり、誰かが設計ものなのではないかと思うような規則的な整列を見せたり、と何度見ても不思議な感じがする。
この玄武洞は名前に洞と付いているが、古い石切り場の跡地で、自然にできた洞窟ではない。柱状節理のおかげで割りやすくて切り出しが簡単ということで、江戸時代には盛んに切り出しを行っていたそうだ。
もっとも、あまり産業として確立されていたわけではないらしい。もっぱら下流の城崎地区の川の護岸や、周辺の民家の漬物石として利用されていたという。
玄武と言う名前はその名の通り、中国の四神の名前からとっている。のたうつような模様を描く岩にその姿を重ねたものであるそうだ。
更に、火山地帯に多く見られる有名な玄武岩の名称も、この玄武洞が由来となっている。
玄武岩は一般に固い鉱物であり、川の浸食を受けにくい。故にこの辺りだけ山が迫って川幅が狭くなっている。そんな話を随分前にブラタモリで見た記憶がある。ただ、川幅が狭くなっているせいでどのようなことが起こったのか、については忘れてしまった。。。
自分は割と感動しながら見学していたが、流石にチビにはピンと来ないようだ。簡単に洞窟のすごい所を説明したら、ふーん、と言っていた。わっかるかなぁ、わっかんねぇだろうなぁ。。。
自分が子供の頃を振り返ると、親に連れられてこういう観光地へ来ても、親が感心した表情で見るのと同じ気分で見ることはできなかったことを思い出す。まぁ、興味が無ければそんなものだろう。
一体は他にも同じように石切り場として利用していたところがあり、それらを繋ぐ遊歩道があるので、順番に見てみよう。
四神で玄武ときたら、残るは青龍、白虎、朱雀である。
玄武洞の次にあるのが白虎洞。左側の切り跡が城の石垣のようだ。
そして柔らかい印象をまとう洞穴のような場所は南朱雀洞である。
更にその奥に北朱雀洞もある。
同じような風景が二つ三つ続いたので、後半はチビとの撮影会バトルになっていた。サイトには掲載しないがw
ここから折り返すように入口へと戻る順路になっている。あれ、青龍は?と思ったら、青龍洞は玄武洞を反対方向へ進んだ所にあるらしい。
ぼちぼち駐車場近くのミュージアムでカミさんが待ちくたびれている頃だし、先のことも考えないとならないので、青龍洞は見逃し。
入口へと戻る順路の途中、木々の途切れたところに見晴らしの良い場所があった。
川の対岸には山陰本線の線路があり、丁度列車が走り去っていくのが見えた。次に向かうのはこの山陰本線だ。
ミュージアムでカミさんと合流した。チビに感想を聞いたら、楽しかったー、と小学一年生的模範解答を述べていた。
あまり実感がこもった感じでもなかったのは、対象がちょっとシブ過ぎたせいか。。。
さて出発。時間は13時を回ったところ。ここからもう少し下ると有名な温泉地である城崎があるのだが、流石に見て回る時間がなさそうなので、今回はパス。
次の見どころは余部鉄橋という鉄橋のあった場所だ。豊岡から鳥取へ向かう経路の途中にある。
有名な所なので、知っている人にとっては歯に物が挟まったような言い回しに感じるかもしれない。その理由は現地に着いたら説明する。
またしても昼食を食べる時間がない。。。と言うことで、豊岡市内のスーパーで調達。毎度毎度スーパーの弁当と言うのもちょっと味気ない。
それはともかく、スーパーで買ったおにぎりをパクつきながら西を目指す。
この辺りは高速道路の整備が遅れていて、基本的に一般道を進むが、途切れ途切れに山陰近畿自動車道と言う高速道路(というか自動車専用道路)に繋がっている。緑の看板を掲げているが、全て無料区間だ。
僅かだが、時短に貢献できるのは有難い。ただ、景色は味気ない。。。
たっぷり時間をかけて、従来の国道や、海岸沿いの細道などを通って、小さな集落を一つ一つ眺めながら進んでみたい。一昔前の悪路のような道を通って、やがて目的地に達したい。長時間ドライブの程よい疲労感を感じながら遠くまで来たな、という思いを味わいたい。
もちろん、今回のような弾丸ツアーではそのような余裕はないし、家族は飽きるだろう。なので、そこは割り切らざるを得ない。
割り切ってしまえば、高速で直線的に通過できるこういう道路の存在はありがたい。
と言うことで、余部まで1時間ほどで移動することが出来た。