北海道初上陸【5】(1999/08/31)
網走を目指して:
1999/08/31
民宿のような宿でこれと言った設備はなかったが、寝るだけなのだから何の問題もなかった。2日ぶりに足を伸ばして眠ることができて寝起きもすっきり、7時くらいに起床。
出発の準備を済ませてロビーに降りていったら、女将から「こんな時間まで寝てたら観光できないよ!」 と呆れ顔で言われてしまった。
7時起きって自分にとっては結構頑張った方なのだが。。。
女将がそう言っていた理由は後で痛感することになる。
ぶっきらぼうな口ぶりで呆れられてしまったが、そんな言葉とは裏腹に2人におにぎりを握ってくれて、持って行きなさい、と手渡してくれた。素泊まりなのにありがたい気づかい。2人でお礼を言って宿を発った。
旭川は北海道のほぼ中央部にある。ここから道北へ行くことも道東へ行くことも出来るので、どっちに行こうかと相談した結果、道東を目指すことになった。
道北も道東も同じくらいの距離を走ることになるが、道東の方が見所が多そうだと思ったからである。
道東も色々ある。その中から2人が目指すことにしたのは網走であった。根拠は特にない。しいて言えば知床に近い場所なのでより秘境感が味わえるのではないか、と何となく思ったから、といったところだろうか。
北海道は地図で見るまでもなくとにかく広い。道は都市部を離れれば殆ど混雑しないので、みんな高速道路のようなスピードで快調に飛ばしていくが、それでもそれぞれが大きく離れているのでたどり着くのに時間がかかってしまう。
なので、あちこち点々と見て回ろうとするとそのほとんどが移動時間となってしまう。移動時間を楽しめるかどうかが北海道ドライブを楽しめるカギかもしれない。
旭川から国道39号を1時間ほど進むと上川という町がある。そこにアイスパビリオンという施設があるので、まずそこから行ってみることにした。
日本で一番低い気温はここ旭川で明治35年に記録されたマイナス41℃である。マイナス41℃なんて想像もできない世界だが、この施設ではそれを体験することが出来るのだ。果たしてどんな世界だったか。4年後にカミさんと旅した時に再訪した折の顛末をリンク先の記事に書いたので参照されたし。
数分間の体験だったが、まぁ、しばれた。
白滝駅と丸瀬布の林鉄たち:
上川から網走へ行くルートは国道39号線の石北峠を越えるルートと石北線に沿った国道333号線の2つルートがあるが、自分が選んだのはもちろん国道333号。
道的にはやや遠回りなのだが、沿道に自分的に見に行ってみたい見所がいくつかあってのチョイスである。
その一つ目は、道中で立ち寄った白滝という駅だ。
この駅はかなりの秘境駅として鉄道ファンに知られている。。。ではなかった。
よく知られているのは一つ隣の旧白滝駅だった。
旧白滝駅は1日1本しか列車が止まらない駅なのだ。しかも下り列車のみ。上り列車でその駅にたどり着くことは出来ない。
地元の利用者であればそれでも辛うじて用をなすのかもしれないが、鉄道ファンが鉄道旅行の途中に立ち寄ろうと思うと、列車を降りたら次の日までまる24時間もうどこへも行けない。
ひとつとなりの白滝駅へは6キロ、反対隣の丸瀬布は13キロ離れているので、歩いて移動するのも容易ではないし、駅前には店はおろか民家もほとんどないような場所なので暇つぶしもままならない。という訳で何もない駅で何もせずに1日ぼんやりと出来る人でなければその駅に降り立つ資格がない。全線全駅の制覇を目指す旅人にとってこの駅は非常に攻略の難易度が高い駅なのである。
そもそもなぜそんな不便極まりない駅が存在しているのかというと、この辺りが開拓された当初の市街地が旧白滝地区だったことに由来するそうだ。その後白滝駅の周辺に市街地が移動して、鉄道が開通した頃には既に旧市街地となり下がっていたので、駅名も「旧」白滝駅となっている、ということだ。
・・・という話は、旅行の前に何かの本で読んで知っていたのだが、それが旧白滝駅だということをすっかり失念していた。
それを知らないままここだろうと思って白滝駅に来てしまったわけだが、数本の列車の停車時刻が書かれた駅の時刻表を見て、違うじゃーん!と悪態をついてしまった。
覚えていたらちゃんと旧白滝駅に訪問してただけに、惜しいことをした。
次の目的地は上で名前が出た丸瀬布という町である。旧白滝駅の隣の駅なので車であればあっという間の距離である。
この街に昔の森林鉄道の車両を動態保存している丸瀬布森林公園いこいの森という公園があるので立ち寄ってみた。
この日は運転などが行われる日ではなかったのか園内にひと気がなかった。休園日かと思ったが敷地内への立ち入りを制限するものはなかったので、ちょっとお邪魔してみた。
天気が曇りがちで、閑散とした園内は妙にうら寂しい感じがして、ゆっくりじっくり車両を見て回ろうという気になれなかったが、客車は車内が開放されていたので、中に乗ってみたりして森林鉄道の小さい客車を堪能してきた。
車両の見学を済ませたら後は網走へ向けてひたすら進む。この辺りは自分が想像する北海道像のままの雄大な景色が広がっていた。
そうした景色をKに撮影してもらおうとカメラを渡していたのだが、スケールが大きすぎてフレームに収まらないので何を撮りたいのかよく分からないと愚痴っていた。
仕上がった写真を見た時、彼が言っていた意味が良く分かった。確かにこれでは何の写真か分からない。
まぁ、運転しながらの撮影だからそんなものかもしれないが。。。
もう一つ北海道らしい光景と言えば、どこまでも一直線に続く道路。山の傾斜などを一切無視して真っすぐに数キロ、数十キロと引かれた道を走ってみたいと思っていた。
この辺りは山があるので道はまっすぐ引かれていても、地面の起伏でそう遠くまで見通せる道は少なかったが、それでも本州ではあまりお目にかかれないような道の姿に感動した。
ただ、雄大さを堪能できたのは最初のうちだけで、あとは景色もそこそこに全然関係ない話をしていた。
やがてそんな会話も途切れがちになってくると、だんだん眠くなってくる。。。
お互い口数も減って、いい加減飽きてきたね、という言葉がどちらかからいつ出てもかしくないようなタイミングで網走市内に入った。