気球に乗ってきた話【1】(2023/05/20)
千葉県の北西の端に野田という町がある。千葉県民は自分の住んでいる場所をチーバくんの体の位置で例えることよくあるのだが、それでいうと丁度鼻の部分である。そこで野田スカイスポーツ振興会という団体が年数回、無料で熱気球に体験搭乗出来るイベントを開催している。
かねてから気球に乗ってみたいと思っていて、何度か申し込みを行っていたのだが、このイベントは人気が高いらしく毎度抽選になってしまって、一度も当選することがなかった。
ある日、自分の携帯に見知らぬ番号から着信があった。このところ迷惑系の勧誘電話が良くかかってくるので、知らない番号は基本出ないようにしているのだが、自分が知らなくても出た方が良い番号である可能性もあるので、そういう番号から着信があった場合にはネットで検索をかけている。
今回もその番号を検索したら上記団体の事務局からだった。わざわざ事務局からかかって来るなんて何だろうと思いながら折り返したところ、今度の熱気球体験搭乗(以下、体験搭乗)の申し込みが少なかったらしく、今なら枠が開いてますがいかがですか、とのことだった。
いつも抽選になるようなイベントなのに珍しい。毎度毎度抽選に外れてしまうので今回は気分が萎えて申し込んでいなかったのだが、ウチらが都度都度抽選に外れていることを事務局で把握していたのだろうか。わざわざ電話がかけてくれるなんて親切な団体だ。なんでもやっておくものだな。
その体験搭乗の日付は5月20日。もう数日後だ。だが幸いなことに丁度その日は予定がなかった。カミさんたちの予定は確認できていないが多分大丈夫だろう、ということで二つ返事で申し込みした(その日の晩に当日フリーであることが確認できた)。
体験搭乗は午前6時からと7時からの枠があって両方とも空きがあるという。6時の回は気球を立ち上げるところも見学できてオススメということなので6時からの回で申し込んだ。
気球立ち上げ:
2023/05/20
現地に6時に着くためには自宅を5時前には出ないとならない。ということで4時半起床。まだ暗い。窓の外を見ると小雨がぱらついている。
主催者から何の連絡もないが、雨の日って気球は飛ばせるのだろうか。ちょっと判断に迷ったが、連絡がないということは多分決行するのだろうと考え、とりあえず自宅を出発。
チビは流石にこの時間はまだ寝ている。起こしてもダラダラするので眠ったまま乗せる。するとそのうち起きてくる。
会場までの道は意外に混雑していて到着時点で6時を少し回ってしまった。時間で閉め切られたりするのではないかと不安だったが、受付は無事済ませることが出来た。
会場には既に沢山の親子連れが集合していた。完全に出遅れている。。。
みんなが集まっている場所まで行くと、気球を膨らませるためのガスバーナーの点火体験が行われていた。ガスバーナーを開くとゴーっという大きな音が鳴る。チビにも体験させようとその列に並ぼうとしたら、突然トイレに行きたいと言い出した。
なんでこんな時に。。。仕方なくトイレに連れ行ったらその間に点火体験は終わってしまった。
そう言えばチビは大きな音を嫌う傾向がある。音を聞いて怖じ気づいたのかもしれない。
ガスバーナーの点火体験をしている横で、もう1機の気球のセッティングが始まったので今度はそちらへ行ってみる。
気球の袋は小さく畳まれた状態(と言っても布団セット2つ分くらいの大きさ)でゴンドラの脇に置かれていた。それを引っ張り出して真っすぐに伸ばしていく。
スタッフから気球を広げるのを手伝ってほしいと言われ、みんなで気球の両脇に一列に並ぶ。なるべく腰をかがめた状態で低く持って、そのまま後ずさりしながら広げるのがコツだそうだ。
さっきは目と鼻の先に居た対岸の人がいつの間にかあんなに遠くに行ってしまった。
一頻り広げ終わったら今度はそこにブロワーで風を送り始めた。
気球の立ち上げ方はちょっと気になっていた。横向きに広げられた気球の袋をどうやって立ち上げるのだろう。横向きにバーナーであぶる訳には行かないので、まず先に気球の袋を膨らまさなくてはならない。それをどうやってやるのだろうか、と思っていたのだ。
ふたを開ければ答えは簡単だった。ブロワーで膨らませばいいのか。ブロワーというのはデカい扇風機みたいなものだ。強力に風を送るので想像以上に勢いよく膨らんでいった。
気球はみる間にどんどん膨らんでいき、あっという間に人の背丈を越え、何なら敷地の周りに生えてる木の高さも越えて膨らんでいく。
ある程度膨らんでくると開口部も大きく広がってくる。そこまで膨らませたらいよいよバーナーを斜めにして熱風を送り込む。ブロアーで風を送るだけだと外気と同じ温度なのでいつまで経っても膨らむばかりで上昇しない。熱風を送り込むことで初めて上昇するのだ。
気球内部の空気が温まって比重が軽くなり、むくむくと起立をし始めた。
しっかり立ち上がったら、まず最初にスタッフが乗り込んで問題なく浮くかどうか動作チェックを行う。
気球は思っていたよりも随分勢いよく上昇していった。もっとふんわりとゆっくり上昇するものだと思っていた。
気球は何のコントロールもしなければまさに風任せでどこかへ行ってしまう。なので通常は進みたい方向に風を受けられるようにクルーがコントロールするのだが、今回は単なる体験なので上昇と下降が出来ればよい。
だが、同じ場所で垂直に上昇下降するのはそれはそれで難しいらしい。今回はゴンドラの四隅から降ろされたロープを地上のスタッフが保持しながらコントロールする方法が取られるようだ。これだと必要以上に上昇することを防ぐこともできる。
体験搭乗スタート:
そしていよいよ体験搭乗の開始となった。参加者は受付順に列を作って並ぶ。出遅れた自分らが最後だと思っていたが、振り返ると後ろにも結構並んでいる人がいる。自分らよりも遅れてきた人もいたらしい。
並んでいるうちにもう1基の気球も立ち上がって準備完了。前の方に並んでいる人たちが搭乗する様子を観察してみた。
ゴンドラに乗り込むと、ゴンドラ上のスタッフがバーナーを開栓して気球に熱風を送り込む。地上側のスタッフが手にしているロープを徐々に緩めると、それに合わせて気球がスルスルと上昇し始める。地上スタッフはそのゴンドラがおかしな方向に向かないよう常にコントロールを続けて姿勢を安定させていた。
そしてある程度の高さまで浮かび上がって2分くらいその高さをキープ。その後下降を開始し着陸したら体験終了である。上昇から着陸まで概ね5分程度だった。沢山の人が並んでいるので1回当たりの時間はこのくらいが限度なのだろうが、もう少しゆっくり体験出来たらいいのにな、と思いながらその様子を見ていた。