新木場界隈【1】(2010/02/07)
前回、職場の同僚から借用したニコンD70で近所の鉄道写真を撮影して、やっぱりレンズの大きなカメラは違うな、と衝撃を受け自分も欲しくなってしまった訳だが、一式揃えると容易に10万円を超えてくる。デジカメ業界は日進月歩で性能が向上しているので、それだけの投資をしてどれだけ自分の物として使い続けられるか、と考えるとなかなか購入の決意には至らなかった。
それでも何かきっかけが有れば購入も視野に入れたいと量販店のカメラ売り場は割と頻繁に眺めに行っていた。当初はレンズ交換が可能な一眼レフのカメラばかりに目線が行っていたのだが、ある時売り場の一角に売られているニコンのP90というデジカメに目がいった。
見た目は一眼レフ風だがレンズが本体と一体になっていて交換が出来ない。ただし画素数は1000万画素を超え、更には24倍もの光学ズームを備えている。鉄道写真の撮影においてズーム倍率の高さは躍動感のある写真を撮影する際に威力を発揮するが、自分の場合それだけでなく、撮影したい列車がうっかり目の前を通り過ぎてしまうような場面で追いかけての撮影が可能となるメリットもあった。
コンパクトデジカメと一眼レフの中間のような機種であり、一歩間違えればどちらにも中途半端なカメラとなりかねないリスクはあったが、価格も4万円台なのでもしそうなったとしても諦めがつく。もちろん鉄道写真の撮影のみならず、お出かけの時の風景写真をより美しく撮影するのにも能力を発揮してくれるだろうと考え、このP90を購入することにした。
いざ手元にやってきて早速手近なものを撮影してみたりしたのだが、レンズの大きさをいかんなく発揮してちゃんと明るく映るうえ、ニコンカメラの末裔だけあって色合いが非常に素直だ。もうこの点だけでもこのカメラを買ってよかったと思った。
ただし欠点もある。レンズ一体型となっているが故フォーカスやズームが電動でしかコントロールできない。フォーカスはまぁ大抵AFで撮影してしまうので普段使いでさほどの不便は感じないと思うが、マニュアルで操作したい時にはズームボタンで調整をしなければならずちょっと煩わしい。ズームも同様。24倍の目一杯までズームさせると2秒くらいかかってしまう。手動ならレンズ周りのベゼルで一瞬で合わせられることを考えるとちょっとまだろっこしいが、まぁそういうものだと思うしかない。
おっと、このままではP90のレビュー記事になってしまう。一旦このくらいにして本題に進みたい。
購入してほどなくカミさんが所用で豊洲へ外出する日があった。それならと自分もカメラの性能チェックに出かけることにした。どこへ行こうかなと思案していたら折角だから夕食を一緒に食べよう、と誘われたので行先は湾岸界隈となった。
2010/02/07
最初に行ったのは東西線の西葛西駅。以前東西線の車両を撮影したのはまだ5000系が現役だったころで、5000系かJRの103系・301系くらいしか撮影対象がなかったが、最近では車両の入れ替えも進んで随分とバラエティ豊富になっているらしい。
まずはJR所有のE231系800番台。E231系を名乗っているが、東西線と車両のサイズを合わせるために209系のような寸法になっている。
続いて05N系。この辺の時期の東京メトロは他形式の車両も含め奇抜なデザインを採用しがちだった。まぁ奇抜なのは昔からか。。。それにしてもこの時期の物は特にアバンギャルドで、カッコよいと評して良いのかどうか判断に困る。
それから東葉高速鉄道2000系。見てのとおり05N系の色違いである。設計などは共通。ただしよく見ると前照灯周りの処理がわずかに異なっている。
こちらがオリジナルの05系。この車両の前面デザインはスマートな印象である。前面はスマートだが東西線の常軌を逸する混雑に対応するため、扉がの幅が2mもあるワイドドア車というのも存在する。その分座席が少ないので日中の空いている時間にこれがやってくるとガラガラなのにまぁ座れない。
そして07系。この車両もスマートなデザインになっているが、東京メトロでも一二を争う悲運な車両である。この車両はその形式名が示すとおり、元々有楽町線の7000系を置き換えるためにデビューした車両で、時代の要請でゆとりを持たせた設計になっている。だがそのことが近年のホーム転落事故の多発に伴うホームドア設置の流れの中で足かせとなってしまった。ゆとりの実現のため既存の車両と異なる扉配置になっており有楽町線で使用できなくなってしまったのだ。
捨てる神あればなんとやら、ではないが当時まだホームドア設置が具体化していなかった東西線への転属となってしまい、帯の色を変えて新天地で稼働することになった。
有楽町線は以前は年中利用していた路線だったので、どこかのタイミングで撮影を済ませているものだとばかり思っていたのだが、自分のライブラリをチェックしてみると撮影していないことが発覚した。なので黄色(正確にはゴールド)のラインカラーをまとっていた当時の07系の写真は所持していない。まぁブルーのラインカラーも悪くはないと思うが。
ちなみにその東西線もやがてホームドアを設置することとなる。扉の配置が異なる車両やワイドドア車が混在している路線で、どうやってホームドアを設置するのだろうと思ったらホームドアの幅をどの列車が来ても良いように幅広にしていた。だったら有楽町線でもそうすればよかったのに。。。
そもそも殺人的な混雑に対処するためにワイドドア車を投入するような路線である。07系のもつ性質とはどう考えても相容れない。なんか方針がよく分からない。
それから門前仲町駅で都営大江戸線に乗り換えて月島駅へ。
都営12-000系。ちょっと切り取り方が下手くそな感じがするが。それよりもこれだけ暗い場所での撮影にも関わらずノンフラッシュでここまで明るく写ることに感動した。流石デカいレンズを積んでいるだけはある。
月島駅から有楽町線で新木場駅へ。
東京メトロの10000系。東京メトロの車両は銀座線に1(01系・1000系)、丸ノ内線に2(02系、2000系)、日比谷線に3(3000系、03系、13000系)・・・と路線の開通の順番に合わせた車両形式が振られている。有楽町線は7の付いた形式名となるがこの車両は10000である。これはどういうことかというと、東京メトロで10番目に開業した副都心線に割り当てられた車両であるためだ。つまりこの車両は副都心線用の車両なのだが両線で車両の使い分けは行っていない為、新木場にもやって来る。
しかしなんだ、随分と気合の入ったデザインである。10000系および、05N系、08系辺りはちょっと奇抜な感じがする。この辺を担当したデザイナーがそれまでとは違う人なのかもしれない。
それから西武の6000系。西武もこれまでの黄色一色からブルー系の車両にだいぶ入れ替わって来た。6000系はステンレス車体とアルミ車体の2種類が存在する。こちらはステンレス車体の方である。
有楽町線はそのくらいにして今度はJRのホームへと向かった。
最初にホームにやってきたのは武蔵野線用205系5000番台。特にこれと言ったコメントはなし。
ふとホームの向こう側に視線を向けたら何やら建設途中と思しき構造物があった。最初何を作っているのか全く想像がつかなかったが、後に建設中の東京ゲートブリッジであることが分かった
。若洲と中央防波堤を結ぶ橋で2014年に歩いてみたことがある。
よく見るとその背後には東京湾アクアラインの風の塔が見える。ゲートブリッジのすぐ後ろ辺りにあるように見えるが、実際には風の塔との間の距離は随分と離れている。空気が澄んでいるせいもあるが、ズームによる圧縮効果がよく出た面白い写真になった。
空気が澄んでいるので遠くの景色が良く見える。折角だからちょっとP90のズーム性能を試してみることにした。
まずは千葉方面の風景を撮影。袖ケ浦市の方向を向いて撮影した。クリックして拡大してもらうと分かると思うが、写真中央に佐川急便と書かれた青い看板の建物がある。その背後で特徴的なアーチを描いているのが若洲海浜公園の展望台で、更に背後には煙突が見える。
光学で目いっぱいズーム(24倍)したのこがこちら。一番手前に映り込んでいる青い壁のようなものが佐川急便の看板である。
煙突は袖ケ浦火力発電所の煙突である。距離にして25キロ離れているが、そびえる煙突から湯気が立ち昇る様子までくっきりと見える。
そして、デジタルズームも使って目一杯拡大したのがこちら。40倍のズームとなる。
ここまでズームすると煙突がもう500mくらい先に有るかのように見える。これはかなりの迫力だ。カメラの性能にも驚くが、この時間でこれほどまで空気が澄んでいることは都内では割と珍しい。
ちなみにズームの倍率が20倍を超えてくると三脚なしでの撮影はかなり厳しいものとなる。指先をピクリと動かしただけで被写体はどこかへ行ってしまう。更に手ぶれ防止機能によってモニターに表示される画像がワンテンポ遅れるため、一度見失うと一旦ズームアウトさせてイチから被写体を探し直さなければならなくなってしまう。もちろん手ぶれ防止をオフにしたらブレまくって被写体を探すどころではなくなってしまうし、このようにしっかりとフォーカスを合わせた写真も撮影できない。
鉄道写真を撮影するという点ではそこまでの倍率は必要なさそうだ。どうしてもという時はやはり三脚が必要になるだろう。
という訳でズーム性能に満足したので再び鉄道写真の撮影に復帰。