紀伊半島と浜松のドライブ【6】(2023/07/25)
真珠のピアス:
さて次に向かうは賢島である。カミさんが少し前にピアスを紛失してしまい、今度は真珠のピアスが欲しいなと言っていたので、真珠と言えば賢島、というわけである。この辺りは日本の真珠養殖発祥の地なのだ。
移動している間、カミさんとチビはリアシートで食後のシエスタを決め込んでいた。
30分ほどで賢島駅に到着。2人が起きないのでちょっと駅を見学に行ったら、
しまかぜが停まっていたので撮影。そろそろ鉄道の旅もしてみたいところだ。
撮影から戻り、この辺りで真珠販売をしている店をスマホで調べてみたら、駅の反対側にある遊覧船の港の周辺に何軒か建ち並んでいるらしいことが分かった。駅の反対側に移動し駐車場に車を停めたら2人が目を覚ました。
カミさんに店のありかを伝えて自分は昼寝タイム。ここも2015年の旅行の際に訪問している場所なので敢えて散策しなくても良いかなと思ったからだ。車内が暑くなることが懸念だったが、幸いにして窓を開けていると海から心地よい風が吹き込んできて殊の外気持ちよく眠ることが出来た。
その間、カミさんとチビは駅近くの真珠店を散策。普段、買い物に行くとなかなか決断が出来ないカミさんだが、気さくな店員の親切な説明とチビのアシストにより無事に購入することが出来たそうだ。
カミさんのマストタスクも無事コンプリートすることが出来たので再び移動。
明日は浜松まで行って博物館めぐりをしようと思っている。なのでできるだけ今日のうちに浜松の最寄りまで移動しておきたい。
それと連日仮眠状態が続いて寝不足になっているので、極力早い時間にその最寄りまで到達して、ゆっくりと足を延ばして寝ておきたいところだ。
そのために紀伊半島と渥美半島の間に大きく横たわる伊勢湾の湾口を結んでいるフェリーを利用することにした。
そのフェリーは鳥羽から出港する。鳥羽に向けて移動する途中、道の駅伊勢志摩にトイレ休憩で立ち寄り。
前回カミさんはここで海産物を沢山購入していたので、今回もお気に入りの商品があるであろうことを見込んで少し時間を取った。
少しして念のためフェリーの時間を再確認してみたら17:40発の便が最終便となっていた。あれ、たしか18時過ぎくらいまであったような気がしたんだけどな、と思ったら見ていた時刻表が8月の繁忙期の物だった。今はまだ7月なので通常期として上記時刻が最終便となるそうだ。
時計を見ると、、、あと10分で17時!まずい、のんびりしている暇はない。もし最終便に乗り遅れてしまうと延々と伊勢湾岸を迂回しなければらず時間を大きくロスしてしまう。ことと次第によっては本日も仮眠で過ごす羽目になりかねないので、慌ててカミさんに事情を伝えてそそくさと車に戻る。
伊勢湾フェリー:
粛々と移動して鳥羽港のターミナルに着いたのは17:25。何とか間に合った。。。
チケット売り場で乗船券を発行してもらい車列に並んでいると、ほどなくフェリーが到着し無事乗船完了。
道の駅で貰ったパンフレットに20%割引券が付いていたのでもれなく利用。2000円ほど節約できた。
これで伊良湖までは安泰。そこから先浜松までは2時間もあれば着けるだろう。伊良湖まで1時間ほどの船旅である。
船室の中は座席がずらっと並んでいる。リクライニングはしないようだが1時間くらいなら我慢と言ったところか。
窓側は向かい合わせのボックスシートになっている。シート生地の模様をよく見たら漢字が書かれていた。
こういうのを見つけるとついつい解読を始めてしまうのだが、真珠島、鳥羽丸、海女さん、浜撫子、という4つのキーワードが書かれていた。
それからデッキに出たところで丁度出港となった。
最初に答志島と坂手島・菅島に挟まれた海峡を抜けていくのは答志島へのフェリーに乗った時と同じ。両脇に島影を見ながらの航海はなんだかテンションが上がる。坂手島・菅島はまだ未訪問なので機会があれば上陸してみたいところだが。
一足先に船内に戻ったカミさんとチビは船内に置かれていた謎解きのパンフレットを見つけて、2人で一生懸命答えを探していた。ネットなどで調べてそれぞれのキーワードは見つけたようだが、肝心の答えに至らない。後からでも応募できるようだったので、船内でスタンプだけ押して持ち帰り。
答志島を抜け、大築海島、小築海島の無人島を過ぎると今度は左手側に神島が見えてくる。ここまで来るとその向こうにはこのフェリーの終着地である渥美半島の先端も見えるようになってくる。
神島はこじんまりとした島で集落は島の北西側に位置している。そのため以前答志島を訪れた時は島影しか見られなかったのだが、今回は夕日に照らされた集落の姿を見ることが出来た。
この島も離島然とした島なのでいずれ訪問してみたいと思っている島の一つだ。
そして神島の脇を通過するとゴールの伊良湖岬までもう一息。こうしてみると思ったより起伏がある印象だ。地図で見ると細長い半島が伊勢湾の湾口を塞ぐように延びているので、もっと平坦な所なのかと思っていた。
伊良湖クリスタルポルトと想定外のアジ釣り:
程なく下船のアナウンスが流れてきたので、車に戻り着岸を待つ。大きな船なので接岸時に揺れることもなくタラップが降ろされた。
18:35伊良湖港に上陸。
これが伊勢湾フェリーの雄姿だ。乗船時はフェリーターミナルの建物から直接乗船する形になったので、船の姿を写すことが出来なかった。
フェリーターミナルには伊良湖クリスタルポルトという道の駅が併設されている。最終便に乗って上陸しているので窓口や中の店舗などは既に閉館していて見所は殆どなかった。
とりあえず今晩の風呂を決めて、それから道すがらのスーパーで夕食の調達をしようと思い、道の駅の休憩所でスマホで検索。
だが、渥美半島にはこれと言った温泉施設が見つからなかった。あってもホテル併設で高額だったりして汗さえ流せればよい我々にとってはちょっと行ってみようという気になれない場所ばかりである。
温泉でない場所であれば安価に入浴できる公営の施設もあったのだが、なぜか異様に評判が悪かった。吉見温泉的なアレだと非常に困るのでそこもまた行こうという気にならない。他にはないのかと範囲を広げたりして悶々と調べていたら、自分の横で退屈にあえいでいたチビがカミさんを連れて散歩に出かけてしまった。
風呂に入らずに一日を終えるわけにもいかないので、それから更に15分ほどあれこれ調べたのだが、結局その公営の施設くらいしかなさそうだという結論に至り、自分も散歩に出ているカミさんたちを追いかけることにした。
もう少しで西の海の向こうに太陽が沈もうとしている。まぁ、今日はこの後風呂に入って道の駅に行くだけだから、この分ならのんびり夜を過ごすことが出来るだろう。
で、岸壁に沿って歩いていくとカミさんが自分を呼ぶ声が聞こえた。そこにいたのか。
その奥には釣りをしている親子連れがいる。釣果を聞きに行ったのだろうか。カミさんの声にチビも気づいて手招きをする。その声につられて傍らの親子連れのパパもこちらを見たので、軽く会釈してみんなのもとへ移動。
チビが自分のもとへ駆け寄ってきて、今アジ釣りをしているからパパも竿を持ってきてよ!と言われた。どこか釣りができそうな場所とタイミングが有ったら少しやりたいな、と思って車内に釣り道具一式を持参している。だがここから駐車場まで結構離れているうえ、今から仕掛けづくりをしたら遅くなってしまう。それに親子連れの横で鷹揚に釣竿を垂らすのも、何となく張り合っている感じがしてちょっと気が引ける。でもやりたいと言えばやりたい。
それで回答しかねていたら、親子連れのパパが脇から竿ならありますよ、と言って差し出してくれた。うーん、、、凄くやりたい気分にさせられるが、今から始めて15分で終わるなんてことはあり得ない。そうなるとこの後の行動計画にも影響する。どうしたものか。
少し躊躇したがチビがやろうやろう!とせがんでくるので、結局ちょっとだけお付き合いすることにした。
仕掛けやエサは全て親子連れのプレゼンツだ。竿もほぼ仕掛けの準備が終わった状態だったので、思いのほかすぐに準備も終わった。
カゴにエサを投入して一投するとすぐにアタリがあった。マメアジが釣れた。おお、釣れた!!
気が付けば数年ぶりの釣果だ。言ってて恥ずかしいが、久しぶり過ぎる手ごたえにテンションが上がってしまった。
チビもやりたいというので竿を渡してやらせてみたら、こちらもすぐにアタリ。チビも7歳にしてついに釣果を得ることが出来た。
親子連れの方の竿にも立て続けにアタリがあって入れ食い状態。お子さんは4歳の男の子で、釣れたアジを触ってみたり持って来て見せてくれたりと活発である。
チビも魚を釣るなら手で持てないとね、と言うことで、釣りあげたアジをクーラーボックスに運んでと指示したが、やはりまだ生きた魚を掴むのは抵抗があるようだ。まぁこれは練習だね。
その後も続々と釣果を上げ、2馬力+αで40匹ほど捕まえることが出来た。大漁である。もちろん旅がらすの我々は持ち帰ることも調理することも出来ないので、その親子に提供することに。まぁ仕掛けも自前じゃないしね。
雑談する中で我々が千葉から来た旅がらすだという話をしたら大層驚いていた。だが、そのパパも学生時代には大学に通うために茨城に住んでいたことがあったそうで、意外にも土地勘があって会話が弾んだ。
気が付けばすっかり日が暮れて辺りは真っ暗だ。時計を見たらもう20時近い時間を指していた。流石にそろそろ解散しないとお互い不都合だろう。彼らも恐らくこの後帰宅して下ごしらえなんかをやるのだろう。40匹である。結構な手間になるはずだ。すっかり意気投合したチビたちを引き離すのは気が引けるが、それとなく思いを表明して解散の運びとなった。
道の駅めっくんはうす:
さてと。。。思いがけない追加イベントですっかり時間が遅くなってしまった。本当は少し時間があれば蔵王山に行ってみようかなと思っていたのだが、この時間ではそういう訳にもいかなさそうだ。それどころか件の評判の悪い風呂屋ももう間に合わなくなってしまった。
この際温泉が、とか言ってられない。とりあえず遅い時間まで開いている風呂屋を探したが、豊橋の方まで行かないとないらしい。チビをあまり遅い時間まで起こしておくのは気が引けるが、これだけ潮風を浴びまくって風呂に入らずに寝るのは考えられない。となると風呂の前に食事を済ませた方がよさそうだ。
ちなみに蔵王山と言うのは渥美半島中ほどにある250mほどの山である。山頂に展望台があって車で登ることが出来る。かつて2005年の冬に職場の出張で名古屋に行った折、当時この辺に出稼ぎ武者修行に出てきていたI氏と合流して渥美半島一周のドライブをした際に登ったのだ。
山頂からは美しい渥美半島の海岸線を望むことができて、遠く名古屋の辺りもうっすらと見える。なかなかに風光明媚な場所なのだが、その時の蔵王山は寒風が吹き荒れていてゆっくり見学する気にならず、すぐに降りてきてしまったのだ。
そう言う訳で折角近くまで来たのだからもう一度行ってみようと思っていたのだが、流石に今の時間から登るのは遅すぎる。また来ることがあったら登りたいと思う。
それはさておき田原市中心部近まで来たところでヤマナカというスーパーがあったので、そこで食材を仕込む。幸いなことに目と鼻の先に道の駅めっくんはうすがあったので、そこで遅い夕食。
ところで「めっくんはうす」と言う名前に耳馴染がない。何語だ?
調べてみると「花の芽、野菜の芽、村おこしの芽、産業の芽、文化の芽など、いろいろな芽が発展し成長する“いえ”として名付けられました。(上記リンク先参照)」とのことだ。つまり強いて漢字で書けば「芽っ君ハウス」ということになる。なかなか奇抜だ。
食事を済ませたら件の豊橋のスーパー銭湯へ急ぎ向かう。30分ほどで到着。
我々はお風呂屋さんに行く時に財布を持ち歩かないようにしている。脱衣所にカギのかかるロッカーが無かったりしたら盗難の危険があるからだ。入浴に必要な分だけポケットに突っ込んでいくのだが、この時はたまたま小額紙幣を切らしていたので5千円札を握りしめて建物に向かった。
この風呂屋は自販機で入浴券を購入するシステムになっていたのだが、5000円札が使えない機械だった。仕方ないので受付のお姉さんに両替をお願いしたら「基本、両替はお断りしているんですが。。。」と思わせぶりに言われた。そのまま次の言葉を待っていたら再び同じことを言われた。
余韻を残すから、今回は特別に、とかちょっと確認しますね、とか、あるいは、外のお店で崩してからお越しください、でもいい。何か結論を言ってくれるものだとばかり思ったのだが、そういう訳ではないらしい。その位自分で考えろ、ということか。
方法がないなら近所のコンビニ辺りで崩してくるしかない訳だがそれも面倒くさい。そこで館内でお金を使える所がないか聞いてみたら、それには答えずに何故か奥に下がってしまった。ややこしいこと言った?
ちょっとして入れ替わりで男性スタッフが出てきた。自分の前に立って何を言うかと思ったら「基本、両替はお断りしているんです。」だった。特例がないならいちいち枕に基本ってつけるな。ロボットか。
なんか小銭持ってないなら来るな、と言われているような気がしてこのまま入浴するのが癪だったが、そういう訳にもいかないので近所のコンビニで小物を買ってお金を崩して戻って来た。何をやってるのだろうか。このやり取りで15分くらいロスした。不毛すぎる。。。
まぁ、そんなハプニングがありつつとりあえず入浴を済ませた。風呂は可もなく不可もなくだったが、総じてあまり良い印象がなかったので店の名前は伏せておく。
風呂を済ませたらもう日付が変わろうかと言う時間になってしまった。結局ゆっくりと寝ることは叶わなかった。
豊橋から浜松へと向かう途中に道の駅潮見坂というのがあるようなので、そこを目的地に設定。
到着してみたら国道沿いの駅だけにトラックが多数停まっていてエンジンをガラガラと言わせていた。流石にここに静かな環境を期待するのはお門違いか。
まぁ、とりあえず就寝。