ほぼ日本一周ツアー【7】(2000/09/20)

生口島:


そうして橋を渡り切り生口島に上陸。島旅8番目の島となった。
当時のしまなみ海道は生口島内の道路の整備が完了しておらず自動車は一旦一般道に降りる必要があった。もちろん自転車用の通路も橋を渡った先で自動的にアプローチ道路へ誘導されグネグネとした道を下っていく。下り坂なのでブレーキの操作だけで降りて行ける。この瞬間のために坂道を登るんだよなぁ、と爽快感を味わっていたがあっという間に降り切ってしまった。

トータルの標高差はほぼ0mの筈だが、収支が合っていないような気がするのはなぜだろうw

 

生口島は島のほとんどが瀬戸田町という町に属しているが南東の一部のみ因島市となっている。
この辺りの自治体が平成の大合併で尾道市に編入された時に、それぞれの字は先頭に旧自治体の名称を付けるように改変された。尾道市因島xxとか、尾道市瀬戸田町〇〇といった具合である。それ自体はよくある手法なので物珍しさはないが、生口島にある因島市のエリアは生口島なのに住所に因島が付く。地元に住んでいる人からすれば昔からの呼び方で呼ぶだけの話なのでなんのややこしさもないのかもしれないが、部外者からするともの凄い違和感を感じる。

 

島の主な産業は造船とレモン栽培で瀬戸田レモンは一大ブランドである。
世界的な画家である平山郁夫氏の生誕の地としても知られているが、自分的には職場の後輩であるM君の出身地の島である。

この島に降り立った当時はまだ彼との面識はなかったが、まさか後に同じ釜の飯を食う仲間としての縁が生まれるとは。世の中何があるか分からない。彼にかつて島を自転車で走ったことが有るという話をしたら大層驚いていた。まぁ驚くよな。

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島内の道路は島を海岸沿いに一周していて、東西に長い島の北回りでも南回りでも進むことが出来る。少なくとも山道を登るのはダルいので海岸沿いの道だけを通りたい。地図を見ると南回りの方が距離は短そうだったが、あまり発展していなさそうだったのであえて北回りの道を選んでみることにした。

 

はじめは見える景色が因島と比べて幾分のどかな感じになったことにテンションを上げたが、それもそれほど長い時間続かなかった。
行けども行けども鄙びた離島を感じさせる光景は一向に現れない。いや、そう言う道を選んだわけだけれども。ずっと右手に海、左手に街並みが延々と続くのみで道路もよく整備された2車線道路、走行する車もその辺の幹線道路を走る車と何ら違いがない。

だんだん何してるんだっけ、という気になって来る。

 

そう言えばまだ昼食を食べていなかった。ここまで飲み物だけで粘ってきたが流石にぼちぼち何か食べたい。ということで途中で見つけたショッピングセンターで軽食を入手。駐車場でパクついた。

そして食べ終えたらさらに走る。上の写真は瀬戸田市民会館の庭に置かれていたサックスのオブジェ。これの話をM君にしてみたが記憶にないようだった。

 

さて、ここまで来ると全行程の半分くらいである。しかし肩にかけたスポーツバッグが食い込んでもはや自分の肩が悲鳴を上げている。足腰は自信があるが肩が弱いことを忘れていた。やはりカゴ付きのママチャリの方が良かったのかな。。。
最初は片方の肩にかけて斜めがけにしていたのだが、バランスが悪いので途中で取っ手の部分に腕を通してリュックのように背負うスタイルに切り替えた。安定感はマシになったが、そういう設計がされている訳じゃないので紐が細く重たいバッグが容赦なく食い込んでくるのだ。

なんでスポーツバックがそんなに重たいのか。原因は時刻表だ。時刻表は駅のみどりの窓口とかに置いてあるような電話帳のようなサイズのものと、その3分の1くらいのサイズのポケット版、という2種類が売られている。

今回持参しているのは電話帳の方である。JR線だけを乗り継いでいくだけならポケット版でも用をなすのだが、今回のように私鉄に乗ったりバスに乗ったり、宿の手配をしたり、といった用途まで考えるとポケット版ではちょっと心もとない。なので今回は頑張って電話帳の方を持ってきたのだがこれが完全に裏目に出ている。

 

しかも札幌に滞在していた時の服とか完全に余計なものまである。だからと言って捨てられるものもなく、どんどん先に進むからどこかにデポしておくわけにもいかない。このくらいなら気合で乗り切れるだろうと思っていたが甘かったようだ。景色に飽きてくると重さが余計に堪える。。。

 

今いるこの辺りが瀬戸田町の中心地区になり、平山郁夫氏の美術館や島きっての珍スポットとも言われている耕三寺など見所が点在しているのだが、そうしたところにちょっと立ち寄ってみようと考えるような心の余裕も失ってしまった。

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ひたすら黙々とペダルをこぎ続ける。
写真は瀬戸田の集落と向かい合う位置にある高根(こうね)島と、そこへ渡る高根大橋である。島と島の間の狭い海峡をまたぐかわいらしい色の橋は離島を訪ねている感じをこの区間で唯一感じられるものだった。

Posted by gen_charly