小笠原上陸【25】(2008/09/14)
父島散策 - ウェザーステーション:
旭山を過ぎた後は島の北岸の崖っぷちにへばりつくように一気に高度を下げていく。狭い海峡を挟んだ向こう側に横たわっている陸地は兄島だ。こうしてみると渡し舟かなんかで数分で行けそうなほどの近さだが、向こう側に暮らす住人はいない。島は自然保護区域になっているので基本上陸禁止だが、島に渡るツアーを催行している業者がない訳ではないようなので、お金とタイミングの都合が合えば上陸できるかもしれない。
チャンスがあれば行ってみたい島のひとつではあるのだが、島に上陸したところで整備された道がある訳ではないので、あまり老後の楽しみに回してしまうと歩き回る体力が残っていないかもしれない。
下り坂なのでアクセルを回す必要が全くない。ブレーキとエンジンブレーキだけで進んでいける。だが勾配が急すぎるせいかエンジンブレーキがどうにも頼りない。仕方ないのでブレーキを強めに掛けながら下って行ったがペーパーロックしてしまわないか心配だった。
坂道を下りきると奥村地区で再び湾岸通りに合流する。湾岸通りは海岸沿いに進むメインストリートだ。この先は平坦になるので再加速をしようと再びアクセルを回したら何のレスポンスもなかった。
あれ?と思ってメーターを見るといつの間にかエンストしていた。だからエンジンブレーキが利かなかったのか。。。坂道を下るロードノイズにかき消されてエンストしていることに全く気が付かなかった。
再度エンジンに点火して三日月山へ急ぐ。三日月山は湾岸通りを突き当たりまで進み、道なりに右折すると途中にウェザーステーションへ登る道が左に分岐する。
左折した先は再び急勾配となって上り詰めていく。ここまで走ってくる間太陽の位置を気にしながら走行してきたが、この道に入ると太陽が丁度山の裏手になってしまい様子がわからなくなった。まぁ恐らくあと10分前後で沈みきってしまうと思うので、少しでも間に合うようバイクのアクセルを大きく開いた。
そうして進んでいると時折レンタサイクルで登っている人や、徒歩で登っている人たちを見かけた。バイクで登ってギリギリかも、なんて思っているのにチャリや徒歩で間に合うとは到底思えない。でもまぁ、諦めないことが大事である。
そして程なくウェザーステーションの展望台に到着した。バイクを降りて展望台の方に歩いていくと既に自分らと同じ目的でここへ来た人たちで結構な賑わいになっていた。
さて、本日の夕日は!?
・・・ちょっと間に合わなかった。水平線間際に雲が出ているのでどの辺に沈んだのかまでは分からなかったが、その代わりきれいな夕焼けが広がっていた。これが見れただけで満足できた。
10分ほど夕焼けを眺めて宿に戻った。
トラブル発生 その2:
それから宿に戻ったら夕食の時間まであと30分ほどだった。とりあえずいったん自室に入って一息入れた。ついでに今晩のナイトツアーの代金を準備しておくことにした。
ナイトツアー代を取り分けると明日の南島&ドルフィンスイムツアーの代金がどうにも足りない。
カミさんに声をかけてカミさんの財布をチェックして貰ったらカミさんもあまり持ち合わせがなくて2人合わせても少し足りないことが発覚した。まじか。。。
あ、そうか!ははじま丸の往復の船代のことが考慮から漏れていて予定外に現金で支払っていたことを忘れてた。。。
どう計算しても足りないのでお金を下ろしにいかないとだ。島にはコンビニがないので銀行か郵便局のATMがあればと思い宿の女将さんに訪ねてみたら、この島のATMはみんな17時で終了してしまうと言われた。えぇ。。。21時とかまでじゃないんだ。しかも明日も朝9時にならないと開始しないらしい。
明日のツアーの集合時間は8時。。。間に合わないじゃん。やべー。
どうすることもできないのでダメ元でcome・クルーズに電話して明日の集合時間を1時間遅らせることが出来ないか相談してみることにした。電話に出た人から、時間をずらすことはできないけど支払いは戻ってきてからでいいですよと配慮して貰うことができた。
助かった。。。波が強いとか強くないなんていう問題以前にお金がなくてキャンセルするなんて悔やんでも悔やみきれない結末を迎えるところだった。もう、顔から火が出るような思いだった。せめて中央山の山頂あたりで思い出していればATMも間に合ったのにと思うと悔しくてたまらなかった。猛省せよ自分。
という訳でこれが父島でのお騒がせその2である。。。
シーサイドインアクアの夕食その1:
思いがけないトラブルにバタバタしたがとりあえず一段落。丁度そのタイミングで夕食の時間になったので食堂へ出向いた。食堂は母屋にあって小奇麗なカフェのような部屋だった。
ここもご飯の盛り付けはセルフサービスでと言われた。茶碗に食べたい量を盛り付けてテーブルに着席するとほどなく料理が運ばれてきた。
ら、こんなのが出てきた。何このステキなディナー。
前にも述べたとおり今回の宿はナショナルツアーに格安な宿でという条件で探して貰った宿である。だから離れの相部屋を割り当てられたのだろうし食事も大したものが出ないのだろう、と思っていた。
それがどうよ。島寿司は出て来るしデザートのメロンはカットした皮をメロンの下に挟む芸の細かさ。小鉢は料亭の突き出しのような丁寧さだしメインディッシュはどこのフランス料理店か、みたいな盛り付けになっている。しかも見た目だけではない、その味もまた絶品で遠い島にいることを一瞬忘れてしまうほどだった。こんな本格的な料理に舌鼓を打つことができるとは予想もしなかった。
料理に舌鼓を打っていると、女将さんが食事を配膳しながらこの後の予定は?と聞いてきた。
ブルースカイビッグホースのナイトツアーに行く予定ですと答える。ちょうどそのとき女の子2人組のグループが食堂に入って来た。
彼女らの姿を見るなり女将さんが、
「あ、2人も治郎さん(ブルースカイビッグホースの主催者)のナイトツアー行くんだよね?」
と話を振った。そしたら2人の片方の子が我々を見るなり、
「あー!今日、シーカヤックに参加していた人ですよね?」
と目を輝かせながら聞いてきた。いえ、行ってませんが。。。
いや、もしかしたら自分はシーカヤックに参加していたのかもしれない。記憶が飛んだのだろうか。。。ってそんな訳あるかーい!
若干面食らいつつ、いえ、いってないですね。。。と返答するともう片方の子が、ちょっと!誰かと勘違いしてない?とその子を諫めた。
そうしてちょっとバツの悪そうな顔をしながら別のテーブルに着席した。
諫めた子が我々のことを人違いだと断言しなかったところを見ると、ツアーに自分らと雰囲気の似た人が参加していたのかもしれない。
それからちょっとして女将に明日南島に行くという話をした。一昨日うねりが強くて上陸できなかったって聞いてるので心配なんですよ、と話したら、
「今日もやっぱり波が出ちゃって上陸できなかったみたいですよ。明日はどうですかねぇ、行けるといいですけど。」
とのことだった。聞くんじゃなかった。。。もう絶体絶命やん。とはいえ何かできるとしたら祈ることしかないんだけどね。