小笠原上陸【32】(2008/09/15)

ドルフィンスイム - 準備運動:


南島を出港したあと一旦二見港の方へと戻るように進んで、南島と父島の間の岩礁が沢山あるエリアにやって来た。

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その途中でカミさんが、あの岩カエル岩っていうんだよ。と指さして教えてくれた。あ、そうなの?と思いながらその岩を見ると確かにカエルっぽいと言えばカエルっぽい。だがカエル岩なんてガイドに出てたっけか。そんな情報どこで仕入れたのだろうか、なんて思っていたら次の瞬間、今思い付きで言っただけとほざいた。

・・・いいよ。あれは今日からカエル岩だ。

 

そこから少し進んだ所で照一さんがボートを停めた。ここでちょっと海に慣れておこうといっている。そうですか。では皆さん行ってらっしゃい。

カミさんはようやく海に入れるということで大変ワクワクしている模様。足にフィンを装着して海に入って行った。

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海に入ったカミさんに向けて照一さんが、浮き輪使う?といって投げた。
カミさんはそれを掴んで泳ぎ始めたがその直後それを手放した。うっかり手から離れたのかな?と思いながら見ていたら、そのままどんどん進んでいってしまう。だんだん流されて離れて行く浮き輪。

「浮き輪全然使ってないじゃんw」

そういって始めは笑っていたが全然拾いに行く気配がないので、使ってないなら持ってきて!と呼びかけた。それを聞いて慌てて浮き輪を取りに行くカミさん。

10分くらい好き好きに遊泳して水に慣れたであろう頃合いを見て集合命令がかかった。船に戻ってきたカミさんになんで浮き輪手放したの?と聞いたら、最初はいるかなと思ったんだけどなくても大丈夫だったからと答えた。流されることを想像しなかったのだろうかw

 

ドルフィンスイム - 父島南岸を進む:


ボートは再び南島の方へ戻るように進み、今度は父島の南岸に沿って東進した。

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多分天の浦あたり。

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こちらは天ノ鼻(てんのはな)と呼ばれる辺り。多分。

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南東端の巽崎を少し回りこんだ辺り。これも多分。

父島の南岸はほぼ全域に渡って絶壁がそそり立っている。足がかりすらなさそうな清々しいまでの絶壁である。こういうのを取り付く島もないというのだろう。

・・・すまん、「多分」だらけなのは南島で興奮して疲れたのと、いよいよ酔い止めがしっかり効いてきたのとで船が進み始めて程なくウトウトしてしまったせいだ。

とはいえ景色は見逃したくなかったから必死に起きる努力はした。だが船の揺れと頬を撫でる風の気持ちよさに抗えなかった。気がつくとウトウトしてしまい、はっと目が覚める。目が覚めるともう違う景色になっている。慌ててカメラで撮影するのだが撮影したらすぐにウトウト。。。という訳で視覚的な記憶が繋がっていない。

撮影したはいいが帰宅してここはどこなんだ?となる。天下のストリートビューも海上まではフォローしていない。道じゃないしね。だから場所の特定が出来ない。写真上で特徴的な部分を航空写真や地形図と比較して推定せざるをえず、なので「多分」である。

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巽島。流石にこの島は特徴的なので特定できた。左側の海蝕洞が立派である。人が住める余地が全くなさそうな島だ。もし遭難してこの島にたどり着いても、助かったと安堵するどころか絶望に支配されてしまうのではないかと思うような島である。

 

ドルフィンスイム - 初寝浦:


巽島を過ぎると父島の東側の海域に出る。イルカはこの東側の海域によく出没するらしい。
ここまでずっと全力で進んできたが、この辺りから照一さんのボートさばきが何かを探っているかのように、加速したり速度を落としたりを繰り返しながら進むように変化した。

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そうこうするうちに東側中央付近にある初寝浦の辺りまで進んできた。
小笠原の島々の地図を見ていると時々この初寝浦という地名を目にする。初めて上陸した人がそこで天幕を張ったりしたのだろうか。西側の方が全然上陸しやすい場所があるのにわざわざこんな険しい所に上陸しなくても、とも思うが何か事情があったのだろうか。

ここまでイルカの姿はなし。どうも今日はあまりイルカさんは遊んでいないようだ。

「居ない時は、本当に居ないんだよねー」

キャプテンもややバツが悪そうな表情でそうこぼしていた。

 

その時ボートの無線から誰かが話しかける声がした。近隣で同様にイルカを探している同業者らしい。無線から聞こえる声は、巽島で2島見かけました。初寝の方に向かっているようですと言っていた。

「あちゃー巽島かー。も少しゆっくり来たら見れたのにねー。。。」

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そう言って少ししてからボートを再び発進させると、少し進んで今度は北初寝と呼ばれる浜の沖合で投錨した。それからクーラーボックスの蓋を開けて中のタッパーをみんなに手渡しながら、

「イルカがこっちに向かってるみたいだから、今のうちにお昼ごはんにしちゃおう。」

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ということで昼食タイムとなった。なんかデカいタッパーだなと思いつつフタを外す。ドカ盛り弁当だ。

Come・クルーズのツアーを申し込んだのは昼食付きだったからというのが理由の1つである。というのも他のツアーは軒並み昼食は各自持参となっていて、もし昼食を手配しそびれたらお昼抜きになってしまう可能性があったからだ。なにしろ島の事情が全く分からない中での訪問なので万が一ということもあるかもしれない。その分他社よりツアー代金が少し高かったのだがリスクを考えたら昼食付きというのは安心材料になる。

もっとも島に着いたら、何の困難もなく食材が手配できることが分かったのでそういう意味では持参でもよかったのかもしれないが。

「自分さん、大丈夫?食べれる?」

照一さんから心配されてしまった。さっきウトウトしていたからか既に船酔いでグロッキーになっていると思っているらしい。自分の場合、一旦酔ったら倒れてそれっきりもう何も出来なくなる。よって気分が悪いんだけど会話くらいはどうにか、なんて中途半端な状態になることはない。

だから今回のツアーを楽しい思い出にするためには船酔いしないことが絶対条件となる。船酔いをしないために船酔いしそうな行動は一切慎まなければならない。だから海に入らないという選択をしているだけなのだ。

酔っていないからお腹もしっかり空いている。むしろ待ってました状態。全然大丈夫ですと応答して弁当をありがたくパクついた。彼は無理してるんじゃないかとまだ心配していた。というか酔ってないなら海入れよって思っているのかもしれない。

ドカ盛り弁当は自分の胃袋には丁度良い量でぺろりと平らげた。だが他の3人には流石に多かったようで皆多少残していた。勿体ないなと思ったがその残飯は後でちょっとしたイベントの際に有効活用された。

 

食事後は少し昼休憩となった。昼休憩と言っても自由時間なので女性陣たちはまたすぐに海に飛び込んでいった。お腹痛くならないのかね?w

で、自分はそれを見送ってボートの上でぼんやりと過ごした。

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この辺りも海の色が綺麗なアクアブルーだった。浅瀬になっているらしくサンゴが発達しているのが船の上からでもよく見える。写真だと波の揺らぎのせいで分かりづらいと思うが海の底までくっきり見通せる透明度だ。これでも水深は7mほどあるらしい。それでこの透明度、本当に水が綺麗な場所なんだな。

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陸の方を眺めたらヤギがいた。海岸はすぐ後ろで切り立った崖になってそそり立っている。容易にはたどり着けなさそうな場所だが、ヤギにとってこのくらいの崖は進路の障害にはならないらしい。

さっきウトウトしたばかりだが食後ということもあり再び眠気が襲ってくる。みんながいないのをいいことに今度はがっつり居眠りを決め込むことにした。ベンチに腰掛けて目を閉じるとすぐに意識が遠のいてくる、、、が太ももが熱い。船の位置の都合でボートの庇の影が足元まで届いていなかった。このままではやけどしてしまいそうなので足の向きを変えて庇の影の下になるようにする。。。が、次の瞬間庇の影に隠れていた筈の場所が日向になる。

あ、そうか。ボートは1本の錨が降ろされているだけなので、そこを中心にしてクルクル向きを変えているのか。ウトウトしてもすぐに足が熱くなって目が覚めるのでその都度足を右に向けたり左に向けたり。結局大して眠れなかった。

やがてみんながボートに戻って来た。サンゴを見たり魚を見たり、めいめい楽しめたらしい。

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再びボートは出発し、東島の方向へ向かった。

Posted by gen_charly