小笠原上陸【39】(2008/09/16)

小笠原村役場:


20080916_101308

郵便局のすぐ近くにあるのが小笠原村役場。村域が2000キロ近くにも及ぶ日本一大きい村の中心である。と言っても建物は2階建てで小ぢんまりとしたものである。殆どの島は無人島なので行政的な部分での仕事はそれほど多くないのかもしれない。

20080916_101318

役場の庭先には有名なこの看板がある。自分はこれが見たくてここに来た。村役場からそれぞれの島までの距離と方角が書かれている。
南硫黄島330kmとか、書かれていることのスケールが違う。

ちなみに東京まで1007km。4桁の数字を見ると今いかに遠い場所にいるのかという思いを強くする。本土で東京から1000km離れた場所と言えば下関の辺りになる。新幹線なら4時間で移動できる距離だ。それはそれで凄い話だが片や父島は船で25時間半である。単純に6倍。どんだけ遠いんだって話で。

こうした島で暮らすことの不便さたるや想像を絶するものがある。用事があってもそう簡単に本土に行くことはできない。運悪く出港日の直後だったら次に島を出られるのは6日後である。
もちろん急患ともなれば、場合によっては輸送機などで運んで貰える可能性がないわけではないようだが、それとてどんなに急いでも数時間はかかるのだから助かる命が助からない可能性だってある。逆に運んで貰えると知っていてもそれにかかるコストのことを考えたら、119番をダイヤルすることの重みが本土とは違いすぎて呼ぶことを躊躇ってしまいそうな気すらする。そうしたことを受け入れて初めて暮らせる島なのである。

単純に島への憧れから移住してみたいという思いは自分にもあるが、それだけの覚悟が出来ているかというと自信がない。仮に島に移住するとして、まずは賃貸暮らしから始めることになると思うが、意外にも島の賃貸住宅の家賃は高めである。建設コストが本土より高額になるからというのもあるが、需要に対して供給が圧倒的に少ないので高止まりしてしまうのだろう。

その家賃を払うためには何らかの稼ぎが必要だ。島の産業はほぼ観光業などのサービス業となる。自分が治郎さんや照一さんのように多くの来訪者を相手にした仕事が出来るとはとても思えない。何せヤクザなITエンジニアである。未だデジタルデバイドが解消しきれない島でITスキルしか武器を持っていない自分が何で生計を立てればよいというのか。。。

考えると気分が沈むので、この辺にしておこう。

 

農協&パパの店:


次に向かったのは農協。昨日水を買う時にちょっと立ち寄っているが、ちゃんと店内を見学できなかったのでもう一度立ち寄り。農協だけあって店内には島の農産物が並べられている。島でも栽培しているのかと驚く農産物もあれば、これはなんだという見たこともないような作物も並べられている。見ていていちいち感心する。

20080916_101745

入口の近くにトウモロコシが売られていた、、、と思ったがよく見るとなんか違う。モンステラと書かれている。なにそれ聞いたこともない。

店員に聞いてみるとこれは果物らしい。ざっくり切って、ぽろぽろと手で剥きながら食べるのだそうだ。どんな味がするのだろうか、大変興味を惹かれたが1本1050円というプライスタグを前にあえなく撃沈。東京に戻るまで日持ちするか分からないし、食べてみたらまずかったなんて話になったら目も当てられない。

ちなみにネットで調べてみたらどこでもよく見かける観葉植物だった。あれにこんな実がなるのか。逆に言えばオフィスの観葉植物を念入りにチェックしていればそのうち実を付けるものが現れるかもしれない。それを待ってみるのもまた一興かw

20080918_084611

それとはちみつを買った。瀬堀養蜂園と言う所で製造された物だが、その辺で売られているはちみつとは違いメープルシロップのような色合いをしている。蜂蜜はミツバチが吸いに行く花によって色が変わるらしい。味もまた色味に負けないだけの風味があって大変美味しかった。

ちなみに瀬堀さんと言う名字は恐らく欧米系のセーボレーさんがルーツである。帰化の際に漢字を当て字にしている人もいるのだそうだ。

その他いくつか購入したものがあるが、それはエントリの最後に改めてご紹介したい。

 

それから農協の隣にあるパパの店にも入ってみた。ここは観光客向けの洋品店であるらしい。ロウケツ染めと呼ばれる染物を多く取り扱っている。ウミガメの模様が描かれているパレオを見て珍しくカミさんが気に入ったというので快く1枚購入した。

ただこれは旅マジックだったようで、残念ながら帰宅後一度も身に着けている所を見たことがない。物は未だに引き出しにしまわれており、気に入っているけど日常において着用できる場面がないらしい。

 

乗船券を受け取りに行く:


ここで時計を見ると12時少し前だった。ぼちぼち乗船券が配られる時間なので今度はフェリー窓口へ向かった。乗船受付はタイミングによっては結構並ぶらしい。それに最後の方になると残念な席しか残っていないかもしれないので早めに手配しておこうと思った次第。

が、窓口に来てみると受付開始5分前であるにもかかわらず既に20人くらいの行列。上には上がいた。。。まずは列に並んでほどなくカミさんに任せて自分は列を離脱した。折角なのでこの待ち時間の間に父島に停泊中のおがさわら丸の雄姿を撮影しておこうと思ったのだ。

20080916_110510

竹芝で撮影した時は遠くまで行く船にしては思ったより小さいなと思ったものだが、父島で見ると周りに大きな建物がないせいか凄く立派に見えた。

そう言えば竹芝で写した写真にはトンボが映り込んでいた。それを見てまだ暑いけど徐々に秋の訪れが、的なことを書いたが父島に秋の気配は全くなかった。まぁ年中こんな感じなのだろうが。

10分ほどでチケットを受け取ったカミさんと合流。出港まで残り1時間ちょっと。最後に島グルメを食べて旅を締めくくりたい。だが出港まであと1時間な訳で、バイクの返却やアクアへの立ち寄りの時間も考慮すると実質3、40分しかない。なので調理に時間がかかるような店には行けない。

Posted by gen_charly