小笠原上陸【40】(2008/09/16)

丸丈:


さっと出てくるものと言えば島寿司だろうか。アクアで食べた島寿司が絶品だったのでもう1度ちゃんと食べたいなと思った。大村のメインストリートをウロウロしながらあれこれ店を物色。自分らは優柔不断なのでこういう時の店探しに時間がかかりがちだ。だが今回はそうした迷いが自分らの首を絞めることに直結するので案外早くターゲットを定めた。

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立ち止まったのは丸丈という店の前。とりあえずのれんは出ていたのでそれをくぐってみた。なぜここで決めたのかというと、島寿司を提供しているからというのはもちろんだが、なんとウミガメ料理が食べられるらしいのだ。そのうえ島野菜の天ぷらなんてメニューもある。この店だけであらかたの島グルメが楽しめそうだったからである。

店内は閑散としているが数人の先客がいた。流石に今から出港までの間にメシをかっ込もうと言う人はあまりいないのかもしれない。カウンターにいた大将からお好きな席にどうぞと言われたので座敷に陣取った。

メニューを見ながらまずは島寿司を注文する。それから島野菜の天ぷらを頼んだら今日はやっていないと言われた。一方カミさんはウミガメの雑炊を食べてみたいと言うので、店員に出来上がりの時間を聞いてみたら15分くらいということだった。熱々の雑炊なんか短時間でかっ込めるだろうか。。。でも食べてみたい興味が勝ってそれも注文。

 

席で出来上がりを待つ間テレビを眺めた。番組はアド街ック天国だった。あれ、小笠原ではアド街の放送時間が違うのかなと思いつつ見ているとなんと小笠原特集である。そんなドンピシャのタイミングで放映ってある?どうせなら初日に見たかったなぁ。。。なんて思いつつ、どんなところが紹介されているのだろうと思いながら見ているとCMが妙に古い。あ、ビデオかこれ。

我々と同じ疑問を感じたのだろう、カウンターに腰掛けていた客がこれはいつ頃放送したものですか?と大将に質問した。大将は表情を変えずに10年位前かなと答えた。10年前か。古い訳だ。。。

知らずに来た客が10年前の情報を真に受けたりはしないだろうか。なんて心配になったが、考えてみたら小笠原なら10年くらいではそう大きな変化もないだろうから、これを真に受けて困る場面もない気がした。

まぁでもランキングを見ていると、そこ見てきた!なんて場所もあったりする。自分の見てきた所がランクインしていると妙にうれしくなるのはなぜだろう。自分らも名所と言われているところを見て回ってきたのだからランクインしていて当然なのだが。

 

アド街談義をしているうちに料理が運ばれてきた。

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これが小笠原の島寿司。アクアの食事がおしゃれすぎてすっかり忘れていたが、小笠原に来てから純和風の食事は殆どしていない。ゲタに乗せられて出てきた寿司に感動してしまった。

島寿司サワラなどの魚をしょうゆベースで漬けにしてから握るのが特徴。伊豆諸島や小笠原辺りではこのタイプの寿司が良く食べられているそうだ。島によってその製法は少しずつ異なっており小笠原のものは八丈島のものに製法が近いとのこと。小笠原の島寿司の特徴としてはワサビの代わりにカラシを使う所にあるそうだ。ワサビが育たないので代用品ということだろうか。

ここの寿司もとても美味だった。カラシで食べる寿司はネタと辛みが意外にもよくマッチしてこれはこれでアリだなと思えるうまさだ。

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そしてウミガメの雑炊も運ばれてきた。雑炊は鍋で煮られた状態で出される。それを小皿に掬って食べるのだがその肉はウミガメである。
カメ食は鹿や熊などのジビエと同じくらいには知られているが、下ごしらえを失敗するととんでもなく臭いらしい。料理人が調理するものだからその辺の心配はないと思うが、くさやのように誰が調理したって臭いのがデフォルトという料理もある。もし臭い食べ物だったら旅の締めくくりを大いに残念なものにしかねない。

 

自分らは2006年に石垣島でウミガメを食したことがある。だからまずくないウミガメがあることは知っている。とはいえあの時食べたのは半解凍のウミガメの刺身で、半解凍かつ薬味の強さで肉の味は殆ど分からなかった。それが今回は煮込みである。熱を通すことで得も言われぬ風味にノックダウンされないだろうかと少し身構えながらひと口目を口に運んだ。

なにこの美味い雑炊!恐れていた臭みは全く感じられなかった。下ごしらえがしっかりしているせいもあると思うが、ふんだんに投入された薬味によってその臭みが良く消されているようだ。食感は鳥の手羽先だろうか。牛や豚よりはぷりぷりとした食感の肉である。脂身も同様。
もう途中で振り返ることなく一気に食べきってしまった(時間に追われていたせいもあるが)。

最後の最後で美味い島グルメを食べられて、旅の締めくくりが首尾良く収まった。

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大村の裏通りはこんな感じ。この道は滞在中に何度も往復しているが写真に撮ったのは初めてな気がする。どこか地方の小都市の裏通りのような雰囲気を感じた。多分無茶して飲んで醜態をさらす人なんていないんだろうなという清潔感。非常に好ましい雰囲気だ。

 

ガソリンスタンド:


さて、もう出港時刻まであと40分ほどしかない。取り急ぎ給油してスクーターを返却しなければ。父島のガソリンスタンドは聖ジョージ教会の向かい、というかアクアの斜め向かいにある。

店に入ると真っ黒に日焼けした腕っ節の強そうな中年の店員が出てきた。見た目この人には絶対逆らっちゃダメだと言う感じの人だ。バイクを停めるとややぶっきらぼうな感じで給油を始めた。

給油中にその店員が話しかけてきた。

「色々遊びにいけた?3日間とも遊べてよかったな。今の時期は結構台風が来る事が多くて、こんなにずっと晴れることなんてないんだよ。」

なんて言っていた。確かに出発前の天気予報ではあまり天気が優れない予報が出ていた。なのでそれなり覚悟しての訪島だったのだが、蓋を開けてみたら意外や意外、滞在中終始天気には恵まれた。やっぱり普段の行いがいいのだろうw

 

給油が済んだらお会計。給油量は1.6リットル。単価は。。。

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280円!顎外れるかと思った。本土より100円以上高い。スクーターでほどんど給油量がなかったのでインパクトは少なかったが、車で60リットルとか給油したら目ん玉飛び出そうである。もっとも走行距離は伸びないと思うので給油の頻度は少ないとは思うが。。。それにしても尋常ではない値段だ。

 

給油を済ませたらそのままスクーターを返却しそれから宿に荷物を取りに戻る。ありがたいことに帰りもフェリー乗り場まで送ってくれるそうだ。荷物も既に車に積み込んであってスタンバイ済み。我々の到着を待っていたようだ。

急いで乗り込んでターミナルに向け出発。

Posted by gen_charly