四国・山陰初日の出【11】(2009/01/02)

宮島・厳島神社:


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途中、広島電鉄(広電)の線路を踏切で渡る。その奥に宮島口駅のホームがあり列車が停まっていた。
この車両は5100形という。広電は路面電車の博物館の異名を持ち、1両で運行されるものから数両連結されたものまでさまざまな車両が在籍している。この5100形は5両が連結された列車だが、面白いことに中間の2,4号車には台車がない。つまり前後の車両で吊られて宙ぶらりんになっている。

広電は路面電車以外に宮島線という郊外線があるため、通常の1両の車両では乗客が捌き切れず、古くから2両連結や3車体連接の車両を走らせていた。とはいっても路面の区間では道路の交差点に合わせた急カーブなども存在するため、あまり長い車体の車両が入れない。

ということで小さな車両を連結させることで急カーブに対応しつつ、かつ大量輸送を可能にしている。ちなみに1編成の長さは30mにもなるそうだ。

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フェリー乗り場に来てみるとこちらも大層な賑わい。とはいっても宮島行きのフェリーは広島電鉄系の宮島松大汽船とJRがそれぞれ10分おきくらいの頻度で互い違いに出港しているので5分くらい待てば次の船に乗ることができる。人はどんどん流れて行って滞留はあまり発生していなかった。

ちなみに、切符はそれぞれが販売しているので、乗る前にどちらの船で向かうか決めなければならない。今回は次にやって来る便が宮島松大汽船の方だったのでそちらの切符を購入。料金は170円とお手頃。
船賃は安価だし頻繁にやって来るし、乗客も沢山いるのであまり離島へ向かうという風情はない。

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ご覧のとおり結構大きな船だ。普段は車両の航送も行っているので車両甲板がある。が、今回の便は人のみの運送に限定しているようで車両甲板も乗客に開放されていた。

船はわずか10分ほどの乗船なのでほとんどの人は船室に上がらず、乗り降りしやすい車両甲板上に滞留している感じだった。

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自分らもまた車両甲板に陣取った。景色を見たかったので窓が開いているところを選ぶ。
遠くに広島市街が見えている。

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そして5分もしないうちに今度は厳島神社の鳥居が見えてくる。
改めて見るとなかなか険しい島である。宮島自体は結構大きな島だが、山がちなせいか人口はあまり多くない。厳島神社の周辺に見える人家もまばらだ。

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で、10分の船旅はあっと言う間に終わる。下船すると歓迎の文字が書かれた灯篭に出迎えられる。
宮島は自分の島旅人生の中では一番最初に上陸した島だった。中学生の時である。関東地方は手ごろな離島が殆どなく、そのうえ海なし県として名高い埼玉育ちである自分にとって島と言えば漫画に出てくるものくらいの認識しかなかった。小学校中学年の頃に伊豆大島の三原山が噴火した時に伊豆諸島というものがあることを知ったが行きたいと考えたことは全くなかった。

宮島も同様で、中学生の時に列車の撮影で広島を訪れた時に、有名なところだからと何となく行ってみたのだった。何の事前勉強もせずに上陸したので、無謀にもレンタサイクルで島を一周しようとして挫折したりしている。

 

その後1995年に後輩を連れて再訪しているので今回で3度目だ。流石に3度目ともなるとだいぶ見覚えのある風景である。
一方カミさんは初上陸。宮島に来たからには厳島神社と鹿を見てみたいと言っている。ここ数日ずっと車の旅を続けていたせいか、フェリーを使った島旅はいい気分転換になっているらしく上陸してから小躍りしている。

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その鹿さんはこちら。奈良の春日大社と並び鹿で有名な場所なので境内のそこいらじゅうに鹿がたむろしている。
人馴れしているので鹿の脇を大勢の参拝客が行き来しても一切気にしていない。

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なので、こうして体を撫でるくらいなら全く動じない。むしろ撫でられていることに気づいていないまである。

ただし動物はなかなか目を合わせてくれない。動物にとって目を合わせる行為は敵対行為そのものであるからだ。こちらが視線を向けても相手の方が目を逸らす。むしろ目をそらさなかった時は戦闘開始の合図だと思っていた方がいい。

で、動物は目とカメラのレンズの違いを区別できないのでカメラを向けても目をそらしてしまう。なので動物から見つめられているかのような写真というのはなかなか撮りづらい。

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直接関係ない写真で恐縮だが、この写真を撮影した海沿いの参道には正月故か出店が建ち並んでいる。威勢のいい掛け声で客寄せをしているところもあれば、静かに粛々と売っている店もある。

個人的には静かに売っている店の方が落ち着いて購入できるので好きだ。で、折角こういう所に来たんだからさ、という気になるが買わないのは中村の市街で学習済みなのでここは目もくれずに素通りした。

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徐々に本殿が近づいてきた。3度目ともあれば景色もだいぶ見覚えがなんて書いたが、当時写真に撮らなかった場所のディティールはおぼろげになっていて、そうかこんな感じだったかと懐かしいような新鮮なような不思議な気分を味わう。

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そして、この辺りで背後を振り返ると、

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厳島神社を象徴する海上鳥居の姿が。冬場の訪問なので澄み渡る空を背景に撮影出来たらいいなと思っていたがご覧のとおりの天気。

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2つ上の写真に見える海に突き出た桟橋のところまで出て振り返ると、拝殿や五重塔がいい感じに1フレームに収まる撮影スポットとなる。

しかし、こうして海の上に拝殿を建てると湿気や海水の問題に常に対峙しなければならなくなるのに、どうしてわざわざこんな場所に建てることにしたのだろうか。一応湿気や海水を避けるために床板はわずかに隙間を空けて張られており、隙間から水抜きが出来るようにして建物が浮き上がらないよう工夫されているそうだが、2004年に襲来した台風では高潮が発生し床板のほとんどを失う被害に遭っているので万全という訳でもなさそうだ。

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それから順路に沿って進んでいくと、拝殿の建物内の一角で巫女がお神酒を配布していて、早速カミさんが興味を示す。
手前に掲げられた板にお賽銭の協力のお願いが書かれていたので、いくらか小銭を投入してからありがたく頂戴した。

もっとも、その一角はお神酒を貰おうと参拝客が詰めかけて、次々に手に取っていくのでお賽銭をせずともありつけたのかもしれない。まぁ、その辺は信心次第ということで。

 

参拝を終えて戻り道で土産物屋の建ち並ぶ通りを歩いた。参拝が済んだから何か食べて行こうよと話すとカミさんも頷いたので、一頻りうろついて見つけた焼きガキの店で立ち止まった。今焼いている2個で今日はおしまいだと通行人に呼びかけている。それは自分らのための物に違いない、とすぐさま注文した。

焼きたてのカキはアツアツで濃厚な味わいが口の中に広がった。それで胃袋を刺激されハシゴでもう一軒、ということですぐ隣にあった中華まんを売る店が目に留まった。こちらも折角だからと購入して再びハフハフ言いながらほおばった。

 

頬張りながら歩いて行くうち、船着き場に戻ってきたので宮島滞在もこれにて終了。五重塔や弥山は見ずじまいだったが今度ゆっくり来られたら訪ねてみたい。

フェリーは例によって程なくやって来た。流石に暫く歩き回ったので帰りはベンチに陣取ってしばし休憩をしゃれこむことにしたが、船は10分で着いてしまうので大して休憩した気にもならないまま下船。

Posted by gen_charly