奄美皆既日食観測ツアー【2】(2009/07)

旅の手配(トカラ列島編):


悪石島をターゲットとした手配に着手したのは、まだ日食まで9か月を残していた2008年の10月であった。流石にこれだけ前なら余裕で手配できるだろうと考えてそうしたのだが、手配に着手するにはまだちょっと早すぎだった。前述のとおりトカラ列島は日本における秘境中の秘境だ。その島々は太平洋上に点々と連なっており、それぞれの島に100人前後の島民しかいない。民宿だって片手で数えられる程度しかないので、いくら世紀の大イベントといえど押しかける観光客を野放図に受け入れたら島のインフラが即座にパンクする。島民が自主的に受け入れ態勢を作ることも不可能に近い。そのため行政による交通整理が要請されたのだが、行政側もどの程度までアシストすればよいのか対応を決めかねているようだった。税金の使い道にも関わる問題でもあるためかまだ周りの自治体の対応を探っているらしく、特段のアナウンスはなされていなかった。

そうなると現時点では自力手配を行うしかないのだが、仮に宿泊策は首尾よく確保できたとしても移動手段が手配できなければ島に上陸することが出来ない。その移動手段であるフェリーは出港日の1カ月前にならないと予約が出来ない。その状態で宿泊先だけ先行手配するのはリスクが高い気がしたので一旦悪石島案は保留にせざるを得なかった。


年が明けて2009年、その後の状況を確認してみたら役場のホームページが更新されていた。受け入れ態勢については近畿日本ツーリストに一任する方針だそうだ。で、近ツリのサイトをチェックしてみると確かにツアー募集が開始されていた。

だがそのお値段は30万円オーバーだった。とてもじゃないが高くて手が出ない。お前ら人の足元を見た商売はやめろ、と思わず毒づきたくなったが、近ツリには近ツリの事情があってのプライス設定だった。上述のとおり村の行政は受け入れ事業を近ツリに一任している。即ち、島での宿泊や治安維持、急患対応などすべて丸投げという訳である。

近ツリ側はそれを自前で用意して臨まなければならなくなったため、このような価格設定になってしまったのだそうだ。そのうえツアー申込客以外の入島は不可となったため、自主手配でトカラ列島へ渡ることもできなくなってしまった。


旅の手配(種子島・屋久島・口永良部島・喜界島編):


まぁトカラ列島への訪島が容易ではないことは手配前から予想出来ていたことだったので割とあっさり諦めて転進。他の島で手配にチャレンジしてみることにした。

第2候補となる島は奄美大島喜界島屋久島種子島といった辺りの島である。いずれも日食の時間は3分前後ありトカラ列島ほどではないがそれでも十分長い時間観測が出来る。

まずは屋久島、種子島から。といってもネットのサイトによると屋久島の宿がもうすでに満室になっているらしいので先に種子島から問い合わせてみることにした。

2月に入って種子島の観光協会のサイトをチェックしてみたら、こちらも受け入れ方針についての情報がリリースされていた。それによると行政としては宿の手配と宿から観測ポイントまでの間のバス輸送をメインに支援する計画だそうだ。今のところ行政側が主催となるツアーの受付は行っていないようだが、自主手配を行う人向けに島内の宿泊施設情報の一覧が掲載されていた。

じゃあ、それらのうちどこかを手配してみようといくつかの宿に電話をかけてみたのだが、既に満室であるとか行政に任せているので役場で手配してくれといった回答ばかりで全く割り込む余地がなかった。お前らそこまでして日食を見たいのか(自分を棚に上げて)。。。

それなら、もういっそレンタカーで車中泊してしまおうとレンタカー会社にも連絡してみたが、こっちもこっちで取りつく島もない状態。何かいい方法がないか役場の窓口へも連絡してみた。役場によると上記の行政主催ツアーの手配の受付は3月から開始する予定とのこと。ただし予約時点で島までの移動手段が確保されている必要がありますとのことだった。あれ、飛行機とか船は2カ月前くらいにならないと予約手配が出来ないと思うのだが。。。まさか、チャーター船で来れる人だけのプランというわけじゃないよな。


種子島が全滅となると屋久島か。とはいっても上述のとおり既に全ての宿が満室状態である。でもダメもとで何軒かの宿に電話してみたのだが、やっぱり回答は変わらずだった。役場に至っては電話すら通じない有様。まだ日食の半年前だというのにこの騒動はどうしたことか。職員は日食の日まで電話対応に忙殺されるのだろうか。そう考えると職員が不憫でならない。

屋久島から船で1時間ばかり行ったところに口永良部(くちのえらぶ)島という小離島がある。日食の公式サイトに掲載されている皆既帯をチェックすると、この島もギリギリ皆既帯にかかっているようである。それなら案外穴場なのではないかと思って島内の民宿に電話をかけてみたが、まだ予約受付をしていないので2カ月前になったらお電話くださいとのことだった。2カ月前では万一この島の宿を取りそびれたら完全に詰みである。そのリスクを負う前にもうひとあがきしたいと思い、とりあえず検討しますと回答して電話を置いた。


これで、皆既日食帯北側に位置する島々はほぼ全滅となった。反対の南側の島としては奄美大島と喜界島がある。これまでの玉砕状況からあまり期待できる状況にはないが、念のため喜界島のいくつかの宿に電話してみた。案の定玉砕だった。

Posted by gen_charly