奄美皆既日食観測ツアー【3】(2009/07)

旅の手配(奄美大島編):


結局、最後に残った奄美大島。奄美大島自体は過去にも訪島しており気に入っている島のひとつなのだが、2度同じところへ行くのも芸がないなと思ったことと、少し前のニュースで女優の沢尻氏とその旦那のハイパーメディアクリエイターを肩書きとする高城氏が、日食を奄美大島で見ようと思っていると発言するのを聞いていたのとで、どうにも食指の伸びない島となってしまっていた。

別に沢尻氏が嫌いとかそういうのではないが、そんな風に公共の電波で宣言されたら彼女らを追う(日食観測を目的としない人も含めた)マスコミやファンが殺到して混雑に拍車をかける結果になるのではないかと思ったのだ。結果手配に失敗したら恨んでも恨みきれない。一生嫌いな女優になってしまうかもしれない。それはさておき。

ことここに至ってはそんなことも言ってられない。もはや奄美大島は最後の砦なのだ。とりあえず1つ2つ宿に電話を入れてみる。だが他の島があんな状況だから奄美も大概だった。連絡した宿の主人から、こんな時期に連絡してきたってもうどこも一杯だよと無慈悲な言葉を投げかけられた。じゃあどんな時期に連絡すればいいんだよ。

それならレンタカーはどうか。これは本当に本当の最後の砦である。島にはいくつかレンタカー会社があり片っ端から電話をかけた。が、予約で埋まっているか、2カ月前からなのでその時にかけてくれという耳タコなセリフを再び聞かされる羽目になっただけだった。万事休す、か・・・。


だが、最後にかけたマツダレンタカーで奇跡が起こった。この店は申し込みを受け付けているという回答があった。ん?申し込みとは?
普通なら予約と発言すべき場面で申し込みという言葉が出てきたので、電話口の担当者が発言した言葉の意図がスッと呑み込めなかった。もうあちこちでダメ出しされまくっているので耳が疑り深くなってしまっている。。。w

申し込みというのは予約ではなくて抽選かなんかを行うということですか?と聞くと抽選ではないという。島内にある車では足りないことがはっきりしているので本土からかき集めて輸送してくる計画らしい。で、どのくらいの台数が必要になるか分からないので申し込みという形で一旦台数を確定させるのだそうだ。

いやもう本土の車だろうがインドの車だろうが乗れるならなんでもいいです。予約手配を済ませて電話を置いた後、本当に予約できたのだろうかという不安で暫くの間落ち着けなかった。

ちなみにここのレンタカーは営業所が名瀬の港近くに1軒あるのみなので乗り捨てが出来ない。この営業所は18時で閉まるのでそれまでに返却する必要があるとのことだった。移動手段如何では返却後に少し時間が出来る可能性がある。その時の時間の潰し方がまだ分からないのが不安だが、まぁ、野宿して凍えるような島でもないから多分どうにかなるだろう。

なお、キャンセルは1週間前までOKとのこと。最悪アクセス手段の手配ができず訪島を諦めざるを得なかったとしても、キャンセルの選択肢が残されているというのが心強かった。

車中泊確定だが雨風を凌げれば充分である。あとは移動手段の確保だ。これもまた一波乱ありそうな予感。


まさかの一人旅:


というわけで、あとは島への移動手段が確保できたら日食観測へのチケットが揃う。だが、飛行機にしろ船にしろ予約は1か月前からである。それまではとりあえずこの件も塩漬け。

塩漬けして数か月が過ぎた5月の終わりごろ。そろそろチケット手配の日が近づいてきたのでカミさんに参加の意思を再確認したら、このところ業務が多忙すぎて休みが取れなさそうだと言われた。いつもならそれ聞いて旅行をキャンセルするところなのだが、何せ今回は一生で一度となるであろう大イベントなのでみすみす見逃しは勿体ない。カミさんにその情熱を伝えて1人で行くことを了承してもらった。

1人で行くことになり、奄美でどんな観光をしようかと考えているうち、日食目当ての観光客で大混雑しているであろう島内で観光をするよりは、他の場所を観光して直前に奄美入りした方がいいような気がしてきた。九州あたりは撮影したい鉄道路線がいくつもある。どうせ1人旅なんだからついでにそれらも撮影しておけば、より一層悔いのない旅ができるだろうと思い、方針を変えることにした。


それから更に数日後、日食を撮影するにあたりカメラやらビデオやらを持って行くことを考えたら、1人でそれらを全てコントロールするのは至難の業であることに気づいた。何せぶっつけ本番である、ここで失敗したら悔やんでも悔やみきれない。どうしようか考えてダメもとで知り合い何人かに旅のお誘いメールを送ってみることにした。もう予約開始日が数日後に迫っているので急ぎ返事くれ、と書いて送ったらみんなから断られた。まぁそりゃそうか。とりあえずカメラでの撮影については努力目標とするしかないか。ということで最終的に単身奄美に乗り込むこととなった。

さて、だいぶ長くなってきたが、まだ出発までに色々あった。ここまで読み進めてくれた人はそのすったもんだも知りたい人なのだろうと信じてもう少し書きたい。


旅の手配(行きのフェリーの手配編):


前述のとおり奄美大島上陸は日食の前日とする予定にした。それまでは九州エリアの鉄道写真撮影の旅をするので、奄美へのアクセスは鹿児島からフェリーに乗ることにした。奄美へ向かうフェリーは鹿児島を夕方に出港して奄美に翌朝到着するダイヤになっている。即ち乗船日は7月20日である。この日の便の予約開始日がその1か月前の6月20日。朝8:30から受付開始だそうだ。

6月20日はあいにくの土曜日。ということは皆電話をかける体制が整っているということ。激戦の予感。。。


と、その前に。念のためレンタカーの予約確認を先に済ませておくことにした。あの日の予約手配は未だに夢だったのではないか、とかすかな不安が残っているのだ。電話予約だったので完了メールが届くこともない。なので本当に手配が完了しているという証跡が何もない。本当に夢だったなんてことはないとは思うが、万一何かの手違いで予約できてなかった、なんて話になったら監督としては猛烈に抗議をしなければならない。まぁ抗議はともかくそれで車が確保できないとなったら、島での行動計画の大幅な修正を余儀なくされる。それは避けたい。

ということで前日の6月19日にマツダレンタカーに連絡を入れてみた。電話口に出た担当者に予約している旨と今もちゃんとその予約生きてますよねと問い合わせた。端末をチャカチャカやって、はいちゃんと予約できてます。という回答を期待していたのだが、オンライン上では予約情報が入っていないのかちょっとの間を置いた後、確認のうえ折り返しとなってしまった。

それから1時間あまりに渡って折り返しの電話がかかってこなかった。いつ電話がかかって来るかと電話の前でずっとワクテカしていたのに、一向にかかってこないから不安は最高潮に達していた。

が、ようやく折り返しがかかって来た。ちゃんと予約が入っているので大丈夫です、と担当者から回答があり一安心。


というわけで万全の態勢で土曜日を迎えた。恐らく電話は容易に繋がらないと思うのでカミさんも動員して2馬力でコールすることにしている。物は試し1分前にフライングでコールしてみたら話中だった。流石にそういうズルは見逃さないか。。。

ということで30分になるのをきっかり待ってすぐにコールしたが、今度は自動音声で電話が掛かりにくくなっているというアナウンスが流れた。もう発信規制か。予約窓口が何回線あるのか不明だがこの分だとそれほど回線数は多くなさそうだ。こうなったらあとはひたすらリダイヤルを繰り返して他の人のコールの隙間にねじ込むしかない。だが自分もカミさんも一向に繋がる気配がない。これは想像以上の激戦だ。

一瞬でも自動音声の声が聞こえたら終話してすぐにリダイヤルをする。10回に1回くらいの頻度で自動音声が流れず話中になることがある。じゃあ次こそかかってくれと再びリダイヤルするとまた自動音声に戻る。

電話をかける機械になったような気持ちで何度もリダイヤルを続けた。ずっと続けているといい加減頭がぼんやりしてくる。時々アナウンスの音声を聞く前に電話を切ってしまったり、リダイヤルボタンを押し間違えたりして無駄な時間が勿体ない。


そんな具合で2時間にわたってしつこくコールを続けていたらようやく、マリックスラインですという窓口の声が聞こえた。一瞬間違えてフックを押しそうになったがギリギリ回避。あぶねー。

窓口の担当者に1名手配したい旨を伝えたところ、2等席はもう満席になっていて臨時席なら用意できると回答された。まぁ、受付開始して2時間も経ったら席なんか売り切れちゃうよな。どんだけ運がないんだって話で。。。

ただ、臨時席とはいえまだ席が申し込めたのは意外だった。とりあえず乗船さえできればあとはどうとでもなる。運転室でもリネン室でもどこでもいいよなんて思ったら、通路にマットを敷いた区画らしい。通路か、周りが騒がしくなければいいのだが。まぁそれでも取れただけ御の字。その席を予約した。

で、帰りの便も予約しようと思ったのだが、考えてみたら帰りの便も1か月前にならないと発売を開始しない。奄美を離れるのは23日の予定なので、つまり明後日にならないと予約が出来ない。明後日は平日だ、そんな時間あるだろうか。。。まぁ、それを今言っててもしょうがないので20日分の予約の手配を確認して電話を置いた。


無事往路のチケットが手配できたのでついでに鹿児島までの移動手段も確保しておく。前述のとおり九州エリアを散策するので九州までの移動は新幹線を利用する。博多でレンタカーを借りて散策しつつ鹿児島まで移動して、港に車をデポしてフェリーに乗船。日食観測後は鹿児島に戻ってデポしたレンタカーで博多に戻って帰京、というプランで回ろうと思う。ということで新幹線とレンタカーを手配。こちらは日食の影響を受けるはずもなくあっさり予約完了。

Posted by gen_charly