奄美皆既日食観測ツアー【16】(2009/07/21~07/22)
古仁屋へのドライブ:
さて、ロケハンを終えて観測場所の候補は概ね定まった。まだ午後イチなのであと半日ほど時間がある。せっかくレンタカーを借りたのだからもっと運転したいし、車でないと行けないようなところへも行っておきたい。とはいえ島の南半分は2007年に訪れた時に見て回っているし、北半分はついさっき見てきたので、これといって行ってみたいと思う場所がなかった。
どうしたものかとしばし悩んだが、さりとてネカフェに引きこもっててもしょうがない。とりあえずあてどなく南へと向かった。前回は島の西側の県道を南下したのだが、今回はメインストリートである国道58号を使った。道は県道と比べたら圧倒的によく整備されていて至って走りやすい。
途中、道の駅奄美住用で休憩を挟みつつ、2時間ほどで奄美大島の南端部にある古仁屋の町に入った。
着いたのは良いのだが目的があって来たわけではないので、このあとどこへ行こうか考えてしまった。結局、前回加計呂麻島へ渡る際に立ち寄ったせとうち海の駅に行ってみた。
この道の駅ではソテツの実で作った味噌であるなりみそが売られている。前回も購入したのだが今回も購入してみた。店員は炒め物や酒のつまみに添えて使うと言っていたが、我が家ではもっぱら味噌汁にして飲んでいる。前回、そんな使い方は勿体なくて出来ないと店員が言っていたが、勿体ないと言うだけあってとてもまろやかで美味い味噌汁が出来るのだ。確かに500g入りで1000円もするシロモノなので普段使いするにはかなり高級である。
他に何か名物がないか見て回っていたら加計呂麻島で作られたというガンダタなるものが売られていた。羅生門?
語源がさっぱり分からない商品だが、黒糖を練り込んだ水あめである。パンに塗って食べたら美味しいかなと思って購入したのだが、残念ながらあまり合わなかった。コーヒーの砂糖代わりに使ってみたら水あめだけあって簡単に溶けてくれない。思いのほか使い勝手が悪くて消費に長いこと時間がかかってしまった。カミさんからこれはもう買って来ないでくれと言われてしまった。
地元の人はこれをどのように使っているのか聞いておけばよかった。スプーンですくって舐めるとめっちゃ美味いんだけどな。。。
さて、そんなわけで奄美の土産物を物色し終わったらもうやることがない。味気ないドライブだったが、時間ももう夕方に差し掛かっているのでぼちぼち戻りのコースに入ることにした。帰りは島の西側の県道を通ってあわよくば日没を眺めたい。
こちら側の県道は交通量は少ないものの道幅は狭いうえにカーブが多く、アップダウンを繰り返すような道なので人を乗せて走るのはちょっとおススメ出来ないが、1人でハンドルを握っていると実に楽しいドライブが堪能できる。そんな道だが前回と比べて道の幅員が拡張されている箇所が増えていたり、新たにトンネルが開通していたりと、わずか2年で結構あちこちが新しくなっていた。
その道の途中に徳浜の断崖と呼ばれる大きな崖がある。もちろん前回も通りかかっているのだが、前回はその圧倒的な断崖の様子をちゃんとお伝え出来なかったので車を降りてちょっとアングルを工夫して再撮影してみた。
路駐している白の車が今回借りているレンタカーである。車の大きさと比べて圧倒的な高さで迫り来るようにそそり立っている様子が分かるだろうか。ぶっちゃけ恐ろしい絶壁である。
車を停めてある辺りは路肩まで海が迫っている。
天気は穏やかだが、海は思いのほか荒れている。砕けた波が防波堤にぶつかって盛大なしぶきをあげている。
明日の天気にそこはかとない不安を感じた。。。
ちなみにそうして波に洗われまくっている岸壁はコンクリートで固められているのだが、ここには前回訪問時は鉄製の桟橋があった。その側面の柵はサビてボロボロで、空いた穴から向こうの海が見えるような危険な状態だったのだが、流石にこの2年の間に作り替えられたようだ。
さて、時間は18:40になろうとしている。そろそろ日が暮れるだろうと思っていたのだが太陽はまだ高い位置に居残っている。時間的に丁度良ければこの辺で日没を眺めようと思っていたのだが、この分だとまだ暫く待つことになりそうなのでもう少し先に進むことに。
時折太陽の位置をチェックしながら運転していたのだが、上の写真にも写っている水平線近くに浮かぶ雲に阻まれて、太陽が隠れてしまったので結局水平線に沈みゆく日没を拝むことはできなかった。
らんど★まぁ~くの夜:
そんなわけでやや時間を浪費してしまった感の強いドライブを終えてベースキャンプに戻って来た。
入口階段の踊り場にてるてる坊主が吊るされていた。明日の天気はあまり良くない予報が出ている。お天道様には是非ともこうした素朴な願掛けに免じて頑張って頂きたい所だが。
この店は24時間営業となっているのだが、これまで見てきた範囲では店員が2名しかいないようだ。初老の男女である。根拠はないが何となく夫婦であるような気がする。女性の方が日中帯、男性の方は夜間というフォーメーションで交代しているようだが、2名では流石に回していけない気がする。他にもスタッフはいるのかもしれないが、この世代の男性が徹夜で店番するのはちょっと大変そうだなと思った。
とりあえず自室に戻って一息入れた後、夕食を取ることにした。といっても今日のロケハンや無為なドライブで少々疲れたこともあって、再び外に出る気になれず、店内でオーダーできる軽食で済ませることにした。
たこ焼きと冷たい皿うどん。小麦粉ばっかりやな。味はまぁご想像にお任せしまーす、といったレベルだが、どちらも400円以下で食べられて意外にリーズナブル。そして飲み物は一般的なネカフェに準じてドリンクバーが飲み放題になっている。飲み物を買わなくても好きな時に好きなだけ飲めるのがこの上なくありがたい。
料理をパクつきながらPCでネットをチェックする。天気は相変わらず良くない予報のままだ。。。と、視界がぐらりと揺れた。陸酔いだ。やっぱり疲れてくると陸酔いが酷くなるな。。。その気持ちの悪さを我慢しながら調べものを続けていたのだが、食事を済ませた時点でなんか胃がむかつき始めてきたのでとりあえず横になっておくことに。
明日、というか数時間後となる午前2時頃にはここを出て場所取りをしに行こうと思っている。流石にちょっと早すぎる気もするが、万一それで場所取りに失敗したら悔やんでも悔やみきれないので、自分を納得させるために早めに出ることにした次第。とりあえず1時くらいまで仮眠して、それから車で観測ポイントまで移動し、そこで朝まで仮眠を取ればそれなりに眠れるだろう。
畳が敷かれているおかげで横になって足も伸ばせるので寝心地は悪くないのだが、他の客が立てる物音でちょいちょい目が覚める。そこは我慢するしかない。
23時少し前にメールの着信があった。知り合いからで内容は転職に関する情報提供だった。ここ数年自社の業績はピークを過ぎて下降の一途を辿っていて、早々に見切りをつけて退職したやつが何人かいた。彼らを見て自分はこの会社に留まるべきなのか、他の仕事を探した方が良いのか少し悩んでいた。そうした話を何人か知り合いに話していたのだが、今回のメールはその1人からの物だったので放置するわけにもいかず起きて返信を済ませる。
返信していたら目が覚めてしまい、なんか寝付けなくなってしまったので、もういいやとそのまま起きていることに。出発までの時間は今回の旅行のメモをまとめる時間にした。
移動開始:
2009/07/22
それから暫くして出発予定時刻の午前2時を迎えた。再び眠くなり始めていたが今更眠るわけにもいかないのでそのまま出発。流石にこんな時間だけに道は空いていたが、想像していたよりは交通量があった。島で夜中にやることなどそんなにないだろうから、恐らくここを走っている人たちはほぼ自分と同じ目的だろう。
午前中にロケハンをしに行った時点では、崎原海岸、奄美パーク付近の旧道、前肥田漁港の順に訪問してよさげな場所を確保することにしていたわけだが、ちょっと心変わりした。奄美パーク付近の旧道は日食観測のためのポイントとしてはベストに近い場所だが、混雑を懸念している。だが道の空き具合やこれまでの街中の日食観測シフトの状況を見ている限り、大勢がこぞってこんな時間から場所取りをすることはない気がした。ということで順番を変えて最初に旧道へ行ってみて駄目なら崎原海岸という順番に変更した。
奄美市街から1時間ほどでその旧道に到着。思ったとおり停まっている車は2台しかなく、外で場所取りをしている人もいない。車を停める所の目の前は海岸でそこにも誰もいない。ということは車から時々チェックして誰かが場所取りをし始めた時点で自分も行動に移せばよい。いざというときの避難所(レンタカー)が目の前にあるのはなにげにありがたい。ということで今回の観測スポットはここに決定した。
ほどほどに眠いので到着してすぐ車のシートを倒して寝床を作って転がった。この車はその小ささの割にフラットに近いところまでシートをリクライニング出来るのでことのほか快適だった。シートに寝っ転がりながら窓越しに空を眺めた。薄雲はかかっているようだが星の姿も見えている。どうにかこの状態をあと7時間ほどキープして欲しい。そこまで持ってくれたら後は大荒れでも何でもいい。