奄美皆既日食観測ツアー【24】(2009/07/23)

那覇新港:


日が傾いてきたせいで肌のひりつきも幾分和らいできた。酔い止めもぼちぼち効果が切れつつあるのか、頭のぼんやり感もすっきりし始めている。まぁ後は飛行機に乗るだけなので頭を使う場面もないのだが。

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遠くの方からプロペラ機のエンジン音が聞こえてきたので音のする方向へ目を向けると、船の真上をゆっくりとした速さで通過していった。那覇から飛び立った飛行機だろうか。

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金曜ロードショーのような夕日が海面をギラギラと照らしている。その光の中に前島のシルエットが見えた。前島は現在は無人島になっているが、キャンプ場などもあり船で訪れることが可能であるそうだ。

というか、夕日で有名なロードショーって水曜だっけ、金曜だっけ?と分からなくなり、画像検索したら自分みたいにそこいらで撮影した夕日を「金曜ロードショーみたいな」という形容詞で語っているサイトが沢山あった。なんか悔しいw

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沖縄本島側はだいぶ都会的な風景になって来た。宜野湾の辺りだろうか。

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港に近づくにつれ、那覇空港を飛び立つ飛行機がひっきりなしに船の上を通過するようになった。高度を下げているのでこんなに間近に見える。

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ここまで来ると那覇新港はもうすぐ。いつの間に港内エリアに進入し、ゆっくりとした速度で進むようになる。

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と同時に船内に到着を予告するアナウンスが流れたので荷物を回収しに船室に戻る。荷物は整理できてるので持って外へ出るだけなのだが、通路には早くも下船待ちの行列ができ始めていたので暫く自席で待機。

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そして那覇新港に到着。並んでいる人たちがあらかたハケてからおもむろに下船を開始。

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半日ばかり、お世話になりました。


那覇空港:


時刻は18:45。15分ほどの遅延だった。旅行前に調べていた時に海況により1時間程度はすぐに遅延するので余裕をもって行動した方が良いという情報を得ていたので、乗り継ぎの飛行機も出来るだけ遅い便で確保していたのだが、意外にほぼ定刻での到着となったので飛行機の時間まで時間が余ってしまった。余ったといっても観光に繰り出すほどの余裕はなく、さりとて今から空港に行ったら待ち時間でだいぶ退屈になりそうなくらいの微妙な時間である。

どうしようか少し悩んだが結局空港に行ってしまうことにした。空港内で夕食を取っていれば時間もつぶれるだろう。

港の最寄り駅はゆいレールの旭橋駅。最寄りといっても歩くと10分くらいかかる。那覇の街はムシムシとしてうだるような陽気だ。間もなく19時になろうかという時間であるにも関わらずまだすぐに日が暮れそうな感じでもない。

噴き出す汗をぬぐいながら旭橋駅まで歩く。

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那覇新港を降り立った乗客たちのうちどのくらいの人が那覇空港へ移動して飛行機に乗るのか、何とも予想がつかなかったが、2両編成のゆいレールでは捌き切れないのではないかと危惧した。が、自分と同じように旭橋駅を目指す人は殆どいなかった。皆バスやタクシーで直行したのだろうか。いつもどおりっぽい雰囲気で走るモノレールに乗って那覇空港まで乗車。


那覇空港に降り立つと、ターミナルビルはものすごく閑散としていた。あれ、フェリーの乗客でここから飛行機に乗る人は殆どいなかったのか。閑散とした空港でチェックインを済ませ、まだあと1時間ちょっと時間があったので夕食も済ませることに。

そう言えば空港で夕食なんて気軽に決めていたが、空港内のレストランって高いんじゃないか?と到着してから思い至った。もうあと家に帰るだけなのに何千円もするディナーを食べる気にはならない。と思ったらA&Wがあった。よかった。

A&Wといったら湿布味の炭酸飲料を出す店として自分的には有名な店なのだが、ハンバーガーは普通に美味しい。飲み物はもちろんコーラにしておいた。

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店内には親子連れが1組いるのみ。窓際のテーブルに腰掛けて飛行機を見ながらハンバーガーを貪る。なんか恐ろしく閑散としていて飛行機の時間を間違えているのではないかと不安になった。

那覇新港に到着した折にようやく圏外を脱した携帯がけたたましく振動していた。溜まっていたメールを一気に受信したせいだ。目を通す余裕もなかったのでここまで未読スルーにしていたが、まだちょっと時間があったのでチェックを済ませることに。

ほどなく搭乗開始時刻に近くなったので搭乗口へ移動。搭乗口周辺のベンチにのみ乗客の姿があった。


搭乗開始となったので機内に乗り込み着席。今回の座席は通路側となってしまったので景色が見られない。まぁ夜中だから大した景色は見られないのだが。本を読むほどの気力もなかったので、目をつぶって離陸を待っていたら次の瞬間羽田に着陸していた。飛行機の座席でこれほどまでに爆睡したことはなかったので一瞬何が起こったのか分からなかった。あまり自覚はなかったが、体は疲れに悲鳴を上げていたのかもしれない。

で、もう23時を過ぎている。終電が迫っているので急ぎ足で電車に乗る。そして日付をまたいで少しした頃にようやく自宅に到着して、このなんだかよく分からない旅が終わった。


あとがき:


ということで国内で47年ぶりとなる皆既日食を見るための強行軍ツアーはどうにか無事に完了した。薄曇りだったことが返す返すも心残りだが、それでも貴重な瞬間に立ち会えたことは自分にとっての何よりの財産となった。

さて、今回の旅は移動手段や現地滞在手段などの手配に相当な苦労をした末に実現した旅行だった。ところが行く先々はなぜか思ったほど混雑していなかった。あれだけ手配に苦労したのだから、現地はそれこそ数年前に騒ぎになった富士スピードウェイで開催されたF1のような阿鼻叫喚の地獄絵図となることを覚悟をして臨んだのだが、蓋を開けてみたら、あれ、こんなものか?という拍子抜けの連続である。一体どうなっているんだ。


後になって思えば色々心当たりはある。大混乱が予想されるとメディアは盛んに煽っていたのでそもそも島へ渡ることを諦めた人が大勢いたのかもしれない。それでも島へ渡る望みを捨てなかった人も空路やフェリーのチケットが取れないと分かった時点で多くが挫折したのだろう。もちろん転売ヤーの存在も忘れてはならない。チケットをゴリっと押さえて後にキャンセルした不届きな輩がいたのかもしれない。

そもそも島へ渡る手段は上述のとおりフェリーか飛行機しかない。そこに満載の乗客を乗せて到着したところでそれぞれに乗れる人数のキャパシティなんてタカが知れている。奄美大島ほど大きな島ならそれだけの人数が流入しても大きなインパクトにはならなかったのだろう。

平たく言えば自分も騒動に踊らされた1人にすぎなかったという訳だ。まぁ、旅行そのものは面白かったからそれはそれでいいんだけど。

日食を見に行った話を書くエントリなのに、そのほとんどが日食観測とあまり関係のない内容になってしまったが、まぁそういう旅行をしてきたんですってことで。期待外れだったら申し訳ない。


そうそう。世間を騒がせている沢尻夫妻は当日ちゃんと奄美大島にいたらしい。島のメディアは一切騒いでいなかったので訪問を見合わせたのかと思っていたが、東京のメディアではしっかり報道されていた。なんであんな塩対応しているんだろうね。ただそんな夫妻の訪問が霞むほど、もう1人の芸能人が引き起こした事件が大騒ぎになっている。のりPである。彼女も奄美大島に滞在しその滞在中に薬物使用に手を染めていたようだ。

自分がらんど★まぁ~くの固い畳の上で悶々としていた頃か、はたまた奄美パークの近くで日食観測の準備をしていた頃か、同じ島のどこかで薬物をキメていたのかと思うと、何ともいえない趣深さを感じる。

(おわり)

Posted by gen_charly