岩手の地震の爪跡を訪ねて - 16(2011/05/05)

— 興味本位で —

5月5日。

お礼を言っておばさんの家を出発。
ガソリンスタンドで給油を済ませて一関インターから東北道に入りました。

時間は既に0時を回り、車も少なく至って順調です。

すぐに宮城県に入り、そのまま暫く進んでいくと、仙台北部道路の案内看板が見えました。
地震での速度規制は出ていましたが、通行は出来るようです。
仙台北部道路は仙台東部道路、仙台南部道路と繋がっていて、再び東北道に合流します。

このうち、仙台東部道路は沿岸部を通っていて、高速上からでも何か発見があるかもしれません。
まぁ、夜中なので景色は何も見えないと思いますが。。。

予定では当然、東北道をそのまま進むことになるのですが、まだ明日一日休みもあり、遅くとも夕方までに自宅に着けばよいので、 興味本位で寄り道してみることにしました。

流石に1時を回っているので通行する車は殆どなく、少し不気味なくらいです。
利府ジャンクションから仙台東部道路に入り込んでからも一向に車と遭遇しません。

道を走っていると、助手席側は殆ど明かりもなく真っ暗なのに対して、 運転席側は工場の明かりや民家などの明かりが点々と灯っているのが見えました。

仙台沿岸を襲った津波が、この仙台東部道路に堰き止められて、この道路よりも内陸側の被害が少なかったという話もあり、 それがこのコントラストの違いになっているのかもしれません。

割とすぐに仙台若林ジャンクションまで来ました。
ここを仙台南部道路方面に進むと再び東北道に戻るのですが、 もう少し直進して先のほうの様子を見てみたいと思いそのまま直進することにしました。

仙台東部道路は亘理町まで繋がっていて、そこからそのまま常磐道に変わり一区間、山元まで繋がっています。

相変わらず通行する車両が殆どなく、非現実的な光景は自分が今どこにいるのか一瞬良く分からなくなってしまいそうです。

山元インターまでやってきて高速を降りました。
インターを降りると、夜中なこともあり人気は殆どないのですが、コンビニはけなげに営業していて、 明かりも人気も無い街で高速とコンビニだけが煌々と辺りを照らしていました。

なんだか明け方に見る変な夢のようです。

車を停めてナビを見てみると、付近の道路は通行止めになっている所が多く、国道6号を通って一旦亘理町まで戻ることにしました。

亘理インターの付近まで来て、一度興味本位で沿岸方面に曲がってみたのですが、 街灯すら点灯していない道はヘッドライトで照らされている場所以外は全て真っ暗闇。

20110505_023341

興味本位で被災地を走っている罪悪感と、自分ひとりだけがここにいるのではないかと思うような孤独感と、 危険を承知で冒険しているかのような高揚感と、現実なのか夢なのか分からなくなってしまうような浮遊感とがないまぜになって、 脳が言葉では説明しづらい変な興奮状態になっているのが分かりました。

20110505_023230

時折歩道に打ち捨てられた車の残骸が見えたりすると少しドキッとさせられます。

変に興奮しているとはいえ、冷静さを失った訳ではなく、暫く進んだところで流石にこれ以上進むのは危険な感じがしたので、一旦戻ることに。

近場のコンビニが営業していたので、車を停めて時計を見ると、時間はすでに3時を回っていました。

それなら、後1時間ちょっとで夜も明けて来るし、明けてから動いたほうが安全なので、ここで仮眠をして時間を潰すことにしました。

Posted by gen_charly