三河湾の島&熊野・高野山 - 14(2011/08/15)
— 予想外の本格登山電車 —
翌朝。
早朝起床も3日目ともなるとだいぶ慣れてきます。
当初、車をこの道の駅に置いて、近隣のJR和歌山線の駅(笠田か西笠田)を経由して高野線の出る橋本駅に向かうつもりだったのですが、いざ出発する段になって、ここに車を放置していってよいものか若干不安になったので、結局車で橋本駅まで行って駅近くの駐車場に置いて行くことにしました。
幸い空いている駐車場があり、車を停めると係員のおじさんが寄ってきました。
「高野山行くの?何時ごろ戻る?」
「3時か4時くらいには戻るつもりですが。。。」
「そうやね、今日は花火大会なんで多分4時過ぎるとこの辺の道も混むから早めに戻ったほうがいいよ。」
ここも花火大会があるのか。
確かに新宮の花火大会の渋滞にも結構参るものがあったので、早めに戻るに越したことは無いかもしれません。
「高野山で食事の時にお勧めの店とかありますか?」
カミさんが聞くと、
「特にない。」
と妙につれない返事が帰ってきました。。。
「高野山へは電車で行くんでしょ。なんか新しい特急だかなんだか、って言うのが走っているらしいから、駅で時間を聞いてみたら。」
それは「天空」 のことだな。
確かに乗れたら乗ってみたいな、と思いながら駅に向かうと、残念ながら天空が来る時間はまだ一時間以上後でした。
切符を買おうと券売機の前で運賃を見ていたら、高野山世界遺産切符なる周遊券が売られていました。
これは高野線とその先のケーブルカーの運賃と、高野山内を走るバスのフリー乗車券がセットになったもので、値段は2100円。
窓口で注文して購入すると、チケットの袋にお土産の割引券や、いくつかのお寺の拝観料の割引券と、金剛峯寺でのお茶の割引券が印刷されていました。
ホームに下りると、極楽橋へ向かう電車は15分ほど後になるようです。
それまで、ホームにやってくる列車などを撮影して時間つぶし。
程なくホームに入線してきたのが、2300系と言う電車。
車両の端の2名がけのボックスシートに腰掛けて待っていると、暫くして出発です。
駅を出発して程なく、大きく右にカーブを切りながら吉野川を渡り、更にカーブして180度向きを変えると、山沿いの河岸段丘を横切るように進んでいきます。
暫くは住宅地が点在し、都市近郊のローカル線といった風情ですが、途中の高野下駅からは車窓からみえる景色が一変します。
いきなり深い山の中を走る山岳鉄道の趣となり、列車も右へ左へカーブしながら30キロ位のスピードでレールを軋ませて登っていきます。
高野線も良く登山鉄道のカテゴリとして登場するのですが、数値だけで見ると日本一の急勾配を持つ箱根登山鉄道と比べて勾配はややゆるく、車両も大型の車両が入線するので、ワイルドさはそれほどでもはないのかな、と思っていたのですが、なかなかどうして、思い切り予想を裏切られました。
はるか麓を国道が走り、万が一転落したら無傷では済まされないような崖にへばりつくように登っていくその様は、登山電車の名に恥じないものです。
大体一駅おきに列車の行き違いがあり、5分から8分の停車がありました。
それはそれで退屈なのですが、高野下駅ではホームに古いレールなどが展示され、8分の停車時間の暇つぶしが出来ます。
途中であまりに衝撃的な駅舎を見つけて思わず撮影。
屋根が大きくたわみ、中の駅務室もそれに合わせてゆがんでしまっています。
少し大きめの地震が来たら間違いなく倒壊してしまいそうです。。。
途中には他にもいくつかの駅があるのですが、駅周辺に人家らしきものは無く、ほぼ列車の行き違い用に存在するといっても過言ではない感じです。
どこまで登っていくのだろうというくらい、ひたすらレールを軋ませながら進み続けていくと、ようやく終点の極楽橋に到着します。
極楽橋から高野山まではケーブルカーに乗り換えです。
このケーブルカーがまたなかなかの急勾配を登るもので、Wikipediaによると最大538パーミルの勾配を登るそうです。
以前、どこかの記事に書いた記憶がありますが、パーミルと言う単位は主に鉄道で勾配を表すために使う単位で、1000m進むごとに何m登るか、という風に読みます。
それで行くと、1km先で538m登る勾配と言うことになります。
数字だけだとイメージが湧きづらいと思いますが、写真で見るとこんな感じです。
うーん、写真でもイマイチ勾配のキツさが伝わっていない気が。。。
ちなみに日本で一番急勾配のケーブルカーは東京の高尾山を登るケーブルカーなんだそうです。