奥秩父名所めぐり - 4(2012/03/17)
— 色々とご面倒を。。。 —
ということで、疲れもだいぶ取れたので、いよいよ本日のお宿に向かいます。
今回の宿は「山あいの宿 やしき」 という宿です。
小鹿野の集落からは少し外れた山あいにある、築100年を超える古民家をリフォームした宿だそうです。
宿を探す時に、折角山奥へ行くのだから風情のある古民家とか鄙びた民宿みたいな所がいいなぁ、と思いながら探していて見つけたのですが、古民家を改築したという素朴さを売りにしながら、WEBサイトが割としっかりとした作りでネット予約もOKいう便利さを兼ね備えた珍しい宿です。
ちなみに宿泊プランも素泊まりから二食付きまで多種用意されていて選択肢が広いのも高ポイントです。
原付たちは晩御飯に小鹿野名物のわらじかつ丼を食べる事にしていたので、夕食なし、朝食のみのプランにしました。
玄関をくぐり、広い土間から声を掛けると、女将さんが出てきました。
人の良さそうな気さくな感じの女将さんで、挨拶を済ませた後、一人キャンセルになった件を伝えたところ、
「あら、そうだったんですか。。。お客様も事情があってのことだと思うので、本当はキャンセル料をなしにしたいのですが、ネットの予約システムは運営会社に委託しているので、うちで勝手にキャンセル料をなしにすることが出来ないんですよ。。。なので、申し訳有りませんがキャンセル料はいただく事になってしまうんですがよろしいですか?」
もちろん当日になってこちらの勝手な都合で決まったことなので、キャンセル料がかかってしまうのは当然だし、それは全く問題ないのですが、明日の朝食の材料とかを準備されているのであれば、それを無駄にするのももったいないと思ったので、
「もし出来るなら、もう一人も泊まったことにして貰って、食事とかもそのまま出して貰ってみんなで食べようと思うのですが、 そういう扱いできますか?」
と提案すると、女将さんは、ちょっとお待ちください、と一旦裏に下がってしまいまいました。
あれ、話をややこしくしたかな、と少し申し訳ない気持ちになったのですが、暫くして、
「朝食は結構量もあって、多分お腹一杯になると思いますから、やはり今回はキャンセルという事にさせてもらって、キャンセル料は半額だけいただくと言う形でもよいですか。」
当日キャンセルは全額かかって当たり前のつもりでいたので、まさかサービスして貰えるとは思わずとても恐縮しましたが、ありがたい取り計らいによってひとまず厄介な問題はクリアになりました。
それから女将さんの後に付いて、部屋へと案内されました。
廊下や階段は真新しくピカピカで、外観から想像していた古民家のそれとは違いました。
「8畳一間のお部屋でお申し込みでしたが、4名様だと少し狭いと思ったんで、丁度二間続きのお部屋がご用意できましたので、 そちらに変えさせて頂きましたが、よろしいですか?」
原付たちも予約の段階で、その二間続きの部屋が良かったのですが、WEBの予約システムではなぜか空き無しと出て予約できなかったものです。
そんな気遣いまでして貰ってますます恐縮。。。
もちろん二つ返事で了承して、その部屋の前に到着。
女将さんが部屋の引き戸を開けると、まずは部屋の真ん中にコタツが置かれた8畳の和室がありました。
ふすまが開かれた隣の部屋は8畳間の寝室スペースで、全体的にとても広々とした感じです。
ただし、北側の斜面に面しているので、窓から見えるのは斜面ばかり。
もっとも、ところどころ花が植えてあったり、置物が置かれたりして少しでも目を楽しませようという心遣いが感じられました。
こんなに部屋が広い宿に泊まるのは久しぶりです。
3人で泊まるのがもったいないくらいです。
上を見上げると、歴史を感じる真っ黒な梁が効果的に通されて、懐かしい雰囲気が感じられます。
コタツは昔おばあちゃんの家にあったような、あんか部分がかなり出っ張っているタイプのもので、結構骨董品クラスのものかもしれません。
荷物を置いて休憩もそこそこに晩御飯を食べに街へ繰り出すことにしました。
というのも、晩御飯にしようと思っているわらじかつ丼の「安田屋」が、18時半までの営業になっているからです。
— 元祖わらじかつ丼 —
時計を見るとぼちぼち18時を回ろうかという時間。
車に乗り込んで街のあるほうへ向かい、ナビの案内に従って一本裏道に入ると、ナビが目的地周辺です、と案内したものの、裏路地で道は細く、看板も見当たらず店がどこに有るのか分かりません。
タイミング良く買い物客用の無料駐車場があったので、そこに車を置いて歩いて探すことに。。。
・・・するつもりだったのですが、店は路地を越えた先のすぐの場所に見つかりました。
ご覧のとおり、看板も無く、お店らしくない風情ですが、よく見ると電柱に取り付けられた電光看板に「安田屋」 の記述がありました。
引き戸を開けて中に入ったところ、客が誰もいなかったので、一瞬違う店に来たのかと不安になりましたが、壁のメニューにわらじかつ丼の文字が書かれていたので、間違いないようです。
写真の通り、メニューは「かつ丼」か「子供用(かつ丼)」二つのみのシンプルなもの。
店員に子供用との違いを聞いてみると乗せるカツの枚数の違いだそうで、子供用は1枚、かつ丼は2枚とのこと。
原付とYちゃんがかつ丼をカミさんが子供用を注文しました。
ちなみに下に書かれている「味カツ」と言うのはカツのみだそうで、後から来店した地元の主婦が持ち帰りで注文していました。
わらじかつ丼は小鹿野の名物メニューとして知られていて、町内には他にも何軒かわらじかつ丼を出している店がありますが、その中でも安田屋は老舗として有名とのこと。
暫くして蓋が閉じられたどんぶりが運ばれてきました。
ご覧のとおり、どんぶりからはみ出たカツが期待を高めます。
蓋を開けるとまさしくわらじサイズのカツ丼が姿を現しました。
とはいっても20cm前後くらいの大きさなので子供用わらじ、と言ったところでしょうか。
卵で綴じるでもなく、キャベツが乗るでもなく、実にシンプルです。
付け合せもお新香のみとこれまたシンプル。
特大カツはソースにくぐらせてあり、それだけでしっかりとおかずになるようになっています。
味はどことなく懐かしさの漂う素朴な味ですが、飽きることなく食べられます。
一枚をカツ丼のおかずとして、もう一枚をお酒のつまみとして食べるのが通だそうですが、持ち帰りも出来るそうです。
最初のうちは、今日一日食べてばかりなので流石に食べきれないだろうと思っていたので、残りを持ち帰って宿飲みの時のつまみにするつもりでいたのですが、結局すんなりと完食してしまいました。
数時間前に味噌おでんで腹いっぱいになって、暫く食い物は要らないや、とまで思っていたのに胃袋の何処にそんな余裕が有ったのか自分でも驚きでした。
しいて言えば味噌汁がついているとうれしいですが、まぁお値段お手ごろなのでこんなものかもしれません。
帰りがけ、スーパーに立ち寄ってカミさんが飲みたいといっていた秩父ワインとつまみ(まだ食べるんかいw)を調達して宿に戻ってきました。
— あれ? 温、、、泉!? —
宿に戻って夜のトークタイムを始める前に折角なので、お風呂に入ることになりました。
お風呂は離れに有って、湯船が小さいことから家族風呂のように貸切で使うシステムになっていると女将さんに説明されました。
事前に予約などをするのかと思っていたのですが、風呂場に向かう裏口の軒先に客のスリッパが置かれていれば使用中と判断するというシンプルな仕組みでした。
丁度スリッパはなかったので、まず女性陣が入ってそれから原付の順番で入浴することに。
お風呂は確かに二人か三人入ればいっぱいになるようなこぢんまりとした湯船で、宿のWEBページの何処にも温泉の表記が無かったので、水道水だと思っていたのですが、浴室のお湯の栓に、
「ぬるい時は赤い栓をひねれば温泉が出ます。」
との張り紙が。
考えてみれば、数軒隣にも赤谷温泉を引く小鹿荘という温泉宿もあるので、もしかしたらここも非公式ながら温泉を引いているのかもしれません。
お湯は特にアルカリ泉特有のヌルヌル感が感じられなかったので、何ともいえませんが、ゆっくり浸かっていると体の心からぽかぽかしてきて、結構満足できました。
ちなみにカミさんたちはヌルヌルも感じたそうです。
風呂から上がって部屋に戻ると、ワインを囲っての二次会がスタート。
買ってきたワインは、地元秩父で作られている「源作印」というブランドの赤ワイン。
街中を走っているときに出ていた看板を見て気になっていたそうです。
もっとも原付は、元からアルコールが苦手なので、コーラでご相伴。
うっかり写真に撮るのを忘れてしまったのですが、二人いわくさっぱりして軽い口当たりで、とても飲みやすいとのこと。
それから二時間ほど他愛のない話で盛り上がって10時過ぎに就寝。