大山に登ろう - 3(2012/09/16)
— ハナシガチガウヨ —
大山寺の敷地を出るとすぐに「無明(むみょう)橋」という橋を渡るのですが、 これも七不思議のひとつなんだそうで。
説明板には「話をしながら通ると、橋から下に落ちたり、忘れ物や落し物をしたり、悪いことがおきたりするという。」 と書かれています。
最初は具体的なのに、最後が乱暴にまとめた感じが何とも言えずじわじわと来ます。。。w
ベラベラと話しながら通過してしまったのですが、幸い転落することも物を落とすことも無く通過。
というか、渡った先に解説版を設けるのも試されているような気がしてどうかと思うのですが。。。
その先は再び階段や急坂が連続し、すぐにへばり始めます。。。
暫くすると、登山道脇の岩の上で休憩している人がいました。
原付達がその人のもとにたどり着く直前にその人が立ち上がったのですが、背中には背負子に大きな箱が二つ。
強力(ごうりき)さんです。
普通に登ってもへばるって言うのに、大したものですね。。。
っていうか、なんか妙に重心が高い積み方をしているような気がしますが、バランス悪くないのかな??
強力さんはあっという間に視界から見えなくなり、原付たちは普段の運動不足を恨みながら一歩ずつその階段を攻略していきます。
その先で二つほど七不思議の場所を通り過ぎると、ようやく男坂と合流します。
丁度男坂を登ってきた人と合流したのですが、そちらの二人は鬼のような形相で息を切らしていて、相当堪えていた様子です。
緩いといわれた女坂ですらこれだけしんどかったのだから、男坂の大変さは推して知るべし。
合流してからさらに上っていくと阿夫利神社の下社に到着。
ここで道が本坂と呼ばれる頂上まで一気に上る登山道と、見晴台を経由して頂上を目指す登山道とに分かれるのですが、 カミさんが以前登った時に途中に滝がある道から登ったと言うので、軽くへばっていたのもあって、 ラクに登れそうな見晴台経由の登山道で登ることにしました。
先に頂上を目指すことにして、阿夫利神社は帰りがけに立ち寄ることに。
これまでは石段が続く膝泣かせの登山道でしたが、ここから暫く勾配の殆ど無い山道に変わります。
確かにこれだけなだらかな道ならケーブルカーに乗って来た人はラフな格好でも登れるなぁ、などと思う一方、 思いがけず早い段階でメインディッシュが終わってしまったような喪失感も感じました。
それと同時にここまで経過した時間を考えると、登って降りてくるのに3時間もかからなさそうなので、案外自分らもまだまだ健脚なんだなぁ、 と妙にニンマリしてしまったのですが、これは後に大いなる勘違いだと思い知らされることになります。。。
所々斜面が崩落している場所があって、そこは高巻くように仮設のキャットウォークが設置されていて足場はいたって安全。
少し進んでいくと、コンクリートの橋が架かった沢の先に小さなお社が見えてきました。
橋から沢の奥のほうにか細い一筋の滝が見えたので、ここが「二重の滝」と分かりました。
お社の見学を兼ねてここで小休止することに。
お社は「二重社」といい、この滝を祀るもののようです。
いわゆる狛犬がいる所には、水の使いである龍が祀られていて、ちゃんと阿吽の型をしているのが愛嬌があります。
まぁ、これと言って特徴の無いお社だったのですが、解説板に書かれている内容が穏やかではありません。。。
なんでも、滝の脇に生えていた樹齢千年とも言われる杉がかつては呪いの木として使われていたそうで、 当時は藁人形を手にした人がその木に怨念をぶつけていたようなのです。
数多(あまた)の怨念に負けてしまったのか、その木も今では倒れてしまったそうです。
それだけを聞くと良くある物悲しい言い伝えの一つなのかなぁ、と思ってしまう所ですが、ここが一味違うのは、 その木が未だに沢に倒れたままになっているということです。
写真の真ん中辺りに横たわる倒木がそれです。
しかし、これだけ有名な山なのにも関わらず、下社からここまで殆ど人と会わず、妙に閑散としています。
早朝でケーブルカーがまだ運行を開始していないとかで、一般の参拝客はまだ登ってきていないのかな、とも思ったのですが、 それにしても何だか寂しげです。
カミさんが頂上へ向かう最中に滝が有る、と言っていたので、多分この滝がそうなんだろうと思い、この先はあとどのくらいかと聞いてみたら。。。
「それが、全くこの景色に見覚えが無いんだよねぇ。なんか、その時見た滝はもっと立派なものだったんだよなぁ。。。」
は?
「でもカミさんがこっちのコースから登ったって言ったんだよ。」
と返すと、
「え?こっちのコースから登ったなんて言ってないよ。」
「いやでも、滝があるコースから登ったって言ったじゃん?」
「だからその滝がこれじゃないのよ。。。」
ま、まさかの道迷い・・・!?
持参した地図(と言ってもエルブレスで貰った例のガイドですが。。。)を見ると、確かに滝もお社も載っていて、 多分道は合っているようなのですが、じゃあ、カミさんの見た景色はどこの景色なんだろ?
そんな曖昧みーまいな展開になるとは予想だにせず、ここへ来て捉えどころのない不安を感じずにはいられなかったのですが、 まだ登山道としての踏み跡もしっかりしているし、GPSでロギングもしているので、 そのまま登っていけばいずれ頂上にたどり着けるだろうとタカをくくって、余り深く考えないようにしました。
そんな訳で、精神的に若干のカウンターパンチを浴びせられたような格好ですが、ひとまず歩みを進めることにしました。
二重社を過ぎてから暫くは相変わらず勾配の無い山道が続いていましたが、やがて、尾根へのアプローチが始まり、 道は九十九折で高度を稼ぐようになりました。
この時点でこの道がカミさんが登ったというコースではないことが確定しました。。。
登山道のすぐ脇には万一足を踏み外して転落したら無事では済まされなさそうな深い谷が口をあけています。
しかしそれは数分で抜け、尾根の上に登りきったようで見晴らしが良くなりました。
ベンチなどが置かれているので、どうやら見晴台に到着したようです。
道が間違っていなかったことが再確認できてひとまず胸をなでおろしました。
見晴台のテーブルに腰を下ろして再度の休憩。
到着の少し手前あたりから薄雲がかかり始め、見晴台といいつつも、景色はガスがかって余り開けません。
件のガイドにはここから頂上までまだ距離があるように書かれているのですが、 尾根筋に出たなら多分この先は基本的に尾根伝いに行くのだろうと考え、それなら景色が開けているところも多そうだし、 さほど困難な道のりではなさそうだと予想。
ガイドブックを再びリュックにしまおうと思ったときに、急に小雨がパラつき始めました。
大山寺の辺りまでは雲ひとつない快晴だったのに、山の天気は変わりやすいものですな。。。
すわ、レインコートの出番か、と思ったのですが、 この気温でレインコートを着てしまうと汗で蒸れて非常に不快な思いをすることになりそうなるので、出来れば着ずに居たいところです。
しかもさっきまで晴れていたことを考えると、一時的にガスの中に入っただけかもしれず、もう少し様子見をしてもよさそうです。
周りにいた若者のグループのリーダー格の人も、ここから先は樹林帯だから雨は結構凌げるので着なくても大丈夫とメンバーに説明していたので、 原付たちもそれを信じることにしました。
ここにいると流石に雨がしのげないので、早々に頂上を目指して再出発。