— 粉雪舞う別府の湯 —
いくらか寒さを感じて7時ごろ起床。
朝食は昨日龍野西SAで買ってきたサバの押し寿司と味噌汁。
サバの押し寿司は周りが昆布でくるまれていて美味。
それから、トイレに行くついでに道路情報掲示版をチェックすると、なんとこの先の中国道が雪でチェーン規制とのこと。
チェーンは一応積んではいるのですが、チェーン区間がそんなに長くなさそうな感じで、わざわざ脱着するのが面倒だったのと、今いるところは全く降っていないので、海岸沿いに進めば案外平気なんじゃなかろうかと考えたのとで、山口南ICで一旦高速を降りることにしました。
一般道に下りると辺りは雪がうっすらと積もり、追い討ちをかけるように程なく粉雪が舞い始めてきたので、高速を降りたのは失敗だったかなと思ったのですが、道には積もっておらず、雪も小降りのままだったのでそのまま進んで無事下関市街にたどり着きました。
関門トンネルをくぐると、ようやく九州に上陸。
ここからは前述の通り、時計回りに大分県へ。
なんと言っても大分といえば別府の湯、ということで、まずは別府温泉を目指す事に。
途中見つけたディスカウントストア(ルミエール)に立ち寄り、旅行中に使う小物や丁度探していた車内履きのサンダル、旅のお供のおやつ等を入手。
国道10号を暫く走るとほどなく「豊前おこしかけ」という道の駅を見つけて立ち寄ってみると、売店で「ガメ煮」なる聞きなれない料理があったので買ってみることに。
で、車で早速食べてみたら、なんだかどこかで食べたことがあるような味で、調べてみたら別名を「筑前煮」と言うそうで。
筑前煮を地元ではガメ煮と呼ぶそうで、かつて鶏肉の代わりにすっぽんを使っていた頃にすっぽんのことを「どぶがめ」と呼んでいたことからその名が付いたとか、博多の方言で寄せ集めを意味する「がめくり込む」から来ているとか諸説あるようです。
ここでカミさんと二度目のドライバチェンジ。
再び助手席に乗ってノンビリと別府を目指します。
程なく山国川にかかる橋を渡って大分県に入りました。
大分県は日本の47都道府県の中で、原付が今まで唯一足を踏み入れた事が無い県だったので、これでようやく47都道府県を全て制覇!
いやはや、地味に感無量です。。。w
それはさておき、宇佐市から再び高速に入り暫く走っていくと、程なく別府温泉の源である鶴見岳の姿が見えてきます。
鶴見岳は、どういうわけか草木が刈り払われて、芝山のようになっています。
それを見てカミさんとあれなんだろうね、などと話すうちに別府ICに到着し、そこからナビで目指すは「鉄輪温泉(かんなわおんせん)」。
鉄輪温泉の蒸し湯という施設に興味を惹かれたので行ってみようと思います。
ここがむし湯。
昨晩風呂に入っていないので湯船でノンビリしたいと思い、受付で聞いてみたらありますよ、とのこと。
入浴料は500円ですが、蒸し風呂に入るためには汗で濡れても良い服が必要で、持ってなければ浴衣のレンタルがあって、これが210円。
チケットを買って窓口に出すと、男子はすぐ案内できるけど、女子は少し待つとのこと。
じゃあ、と分かれて男湯に入ると、脱衣所の片側が受付と繋がっていて、受付にいたおばちゃんが出てきて、
「衛生の為に、前と後ろを湯船にあるかけ湯で洗って、それから体をよく拭いて浴衣を着て待っていて下さい。」
と言われました。
はーい、と返事して服を脱ごうとした時に、そのおばちゃんが全然下がってくれないので、服を脱ぐのが躊躇われたのですが、一向に引き下がる気配がないので、だらしなくなった中年の裸体を惜しみなくさらす羽目に。。。
浴室で股間を流した後、浴衣に着替えている時におばちゃんが再び出てきて、蒸し風呂の入り方を教えてもらった後、いよいよ蒸し風呂へ。
小さなにじり口のような扉を開けて中腰でその奥にかかる暖簾をくぐると、立ち上がるにはちょっと低いくらい高さの空間に藁のようなものが敷き詰められていて、手前側には石の枕が4個置かれています。
その石枕に持参したタオルを敷いて横になると、地熱で程よく暖められた藁がやさしく体を包んで、なかなか気持ちが良いです。
藁から出ているのか室内には薬草のような、柔道場の畳のような何とも言えないむわっとした香りが立ち込めていて、それを軽く吸いながら気持ちを落ち着けるとすぐに汗が出始めました。
丁度そのタイミングで外に居るおばちゃんが扉越しに、
「熱くないですか?熱かったら無理をしないで下さいね。それからゆっくり深呼吸して吸い込んでも良い効果がありますよ。」
と教えてもらいました。
折角なので、胸いっぱいに吸い込んでみると、なんとなく薬草の薬効成分のようなものが胸に染み渡ったような感覚を覚えました。
心地よさに身を任せていると、眠ってしまいそうになるのですが、程なくタイマーのようなベルの音が鳴った後で、
「はい、8分経ちました。出たい方は出てください。」
出たい人?
その言い回しに若干違和感を覚えたものの、最初の説明で8分経ったら声をかけるので出てきてください、と説明されていたので、そのまま出る事にしました。
外に出ると、
「お疲れ様でした。いい汗かきましたね!」
といいながら手際よく浴衣を回収され、再び裸体を晒すハメに。。。
ちょっと気になったので、「さっき、8分経った時に出たい方は出るよう言われましたが、そのまま入り続ける事もできたんですか? 」と聞いてみると、
「伸ばせて2分です。それ以上は湯当たりしてしまうので無理なんですよ。」
とのこと。
敷き詰められていた草の事も聞いてみたら、これは石菖(せきしょう)といわれるものらしく、後で調べてみると蒸されることで石菖から発生する、鎮痛効果のあるテルペンという物質を皮膚や呼吸によって取り込むのだそうです。
おばちゃんはちょっと話が長くなりそうだったので、適当に終わらせて浴室へ。
湯船は一つしかないので、あれこれ楽しむ風情はありません。
ノンビリするつもりでしたが、既に蒸し湯で体はぽかぽかになっているので、体を流した後は軽く浸かる程度で上がってしまいました。