箱根散歩2013 - 2(2013/03/09)

— ようやくまともな登山道に —

このページで通ったルートのGPSログ

駒ヶ岳のハコネザサに覆われたあのイメージから、もう少し見晴らしのよい登山道だと思っていたのですが、周りは背の高い木々や斜面に囲まれて、視界はあまり開けず、森の散歩だと思えばまぁまぁ心地よい空間ではあるのですが、景色を期待するとかなり物足りない感じです。。。

そんなこんなでどうにか防ヶ沢の分岐まで到着。

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ここが駒ヶ岳と神山のちょうど谷間の部分で、標高は1240mとのこと。
ここまでは道の状態はマッディーで最悪だったものの、おおむね緩やかな下りだったので、慎重に進めばどうにかなったのですが、ここから先は神山山頂まで登りなので、状態によっては進退窮まる可能性があります。

呼吸を整えてから、覚悟を決めて進み始めたところ、こちら側は南西向きの斜面になっているせいか道は予想に反して割と乾いていて、雪が残る場所も勾配のせいか水がたまっておらず、それまでとは比較にならないほど登りやすい道に変わりました。

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大きくごろごろとした岩が登山道に転がり、というか登山道の周囲にはあまり大きな岩が転がっていない感じなので、もしかしたら登りやすくするために敢えて撒いたのかもしれませんが、そんな感じの道だったので、岩登りのしんどさはあったものの、足場に不安を感じることのないまま案外順調に神山山頂に到着。

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それほど広くない頂上部分は箱根で一番高いところだというのに、ここも割と木が茂っていてあまり視界がよろしくありません。。。
頑張って登ってきたのに報われないなぁ。。。

山頂には先着というか反対の大涌谷側から登ってきた家族連れがいて、話を聞くと、最初は登山をするつもりではなかったのに、勢いに任せてここまで登ってきてしまったらしく、思いのほか雪深くて参ったとのこと。

ふと足元に目をやると確かに3人とも普通のスニーカーやランニングシューズといったいでたちで、今まですれ違った人たちがみんなトレッキングシューズを履いてきていることからすれば、どちらかというと原付たちと大差ない感じです。

そんな彼らの靴にはそれほど泥がついておらず、もしかしたらこの先はマッディーにやられずに済みそうな気がしました。

話が盛り上がってお互い写真を撮り合ったりした後、彼らはこのまま原付たちが今通ってきた駒ヶ岳の方向へ下山するとのことなので、ぬかるんでいるところがあるから気を付けてください、と伝えるとほどなく出発して行きました。

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広場の一画には「天照主大御神(あまてらすおおみかみ)」と掘られた石碑があります。
この山が古代山岳信仰の聖地とされ、ゆえに「神山」を名乗っているわけです。

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彼らが下山して行くのを見送った後、原付たちはお食事タイム。
メニューはもはや定番と化しつつあるカップヌードルと、それだけでは足りなさそうだったのでさんまのかば焼き缶詰を持参しました。

景色をおかずにすることはできませんが、達成感だけでも立派なおかずです。

— SNOW ROAD —

食事も済ませて今回の登山の後半戦。ここからは大涌谷まで下る一方です。
しかしここまでの道のりをだいぶ慎重に進んできたので時間はオーバー気味です。

ホテルには17時にチェックインと伝えてあるので、気持ち急がなければならない状況なのですが、さりとて油断は禁物。。。

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つか、ユギすんごくねぇか?

地図を見返してみると、こちら側はいわゆる北東側斜面にあたる場所なので、当然のことながら雪解けが一番遅い場所になるわけです。

なるほど、これなら確かに靴は汚れないわけだ。。。とか言ってる場合じゃない!
こうなると一番気を付けなければならないのは滑落。

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しかも二人をあざ笑うかのように下りの勾配もなかなか急です。
一歩一歩のぼりよりもさらに慎重に下っていきます。

ストックと道の両側に生えている木の枝をフル活用して三点指示を徹底して降りていきます。
誰かの踏み跡に着地すればそこは踏みしめられている場所なので滑る心配もなく安心ですが、踏み跡のない場所にうっかり着地してしまうと、思いがけず30センチ以上沈んだりして焦ります。

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足場の良いところでふと一息つくと、正面に見える斜面の上にお堂のようなものが見えました。
手元の資料にこの建物について何も書かれておらず分からなかったので、自宅に戻ってから調べてみたところ、神山の北隣にある冠ヶ岳への登山道の途中にあるお堂のようです。

それ以上の情報に尋ね当たらず、なんという名前なのかまでは判然としません。。。

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そこからさらにしばらく進むとようやく大涌谷側の斜面へと抜けたようで、木々の隙間から富士山が再び顔を出しました。

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これから向かう大涌谷は、未だにあちこちで噴気を上げ続けている場所なので、火山活動の加減によって人間にも影響を及ぼす濃度のガスが出る可能性があるため、大涌谷へ入る手前に警報盤が設けられています。

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もう少し先にセンサーが設置されていて、一定の基準を超えると黄色~赤色に点灯して警告を発するようになっているそうです。

火山ガスの成分の一つに硫化水素というものがあるのですが、硫化水素といえば近年問題になっている某洗剤を使った自殺の時に生じるガスとしても知られていたりするのですが、一番身近な存在といえば温泉や火山の近くで感じられる腐った卵のようなにおいです。

臭いがするなら歩いているうちに気付くだろうという気もしますが、このガスはある一定の濃度を超えると嗅覚が麻痺して逆に臭いを感じなくなってしまうという性質があるそうで、過去にも火山の近くで硫化水素に巻かれて命を落とす事故が何例か発生しているそうなので、バカにできません。

ある程度まで降りると一旦勾配が緩み、左手に冠ヶ岳を巻くように進んでいくと、もう一度下りに転じます。
にわかに硫化水素の臭いがするなぁと思いながら歩いていくと、ほどなく景色が突然開けた場所に出たと思ったら、いきなり大涌谷の谷頭に出ました。

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それまでうっそうと木々が生い繁っていた山林が一変し、背の低い枯草に覆われた荒涼とした岩場に様変わりし、至る所から盛大に水蒸気を噴き出している様子が見えてきます。

この辺りは北に面した斜面なのですが、大涌谷の地熱が伝わるため、それまで残っていた雪もすっかり消えてしまい、土の地面は割と乾いています。

そういえば、この旅行の一か月ちょっと前に大涌谷の付近で局地地震が続いて、気象庁の記録には残らなかったものの震度5程度の揺れを計測するほどだったというニュースが出ていたことを思い出しました。

そのニュースを聞いたときは、すわ、箱根山の噴火かと思ったのですが、今のところその兆候はないそうですが、こうやって噴気を盛大に吐き出す山肌を見ていると、実は不安定な状態なのではないかと疑心暗鬼になりそうです。

まぁ、最も大涌谷は何年も前からずっと噴気を吐き出したままなので、いまさらすぐにどうこうなるものでもなさそうですが。

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足元には雪はおろかぬかるみも一切なくきれいに乾ききっていて、やはり地熱が高いようです。
麓の方に大涌谷のメインスポットである玉子茶屋やロープウェーの大涌谷駅などが見え始め、次第に景色が開けてきました。

ここまで来るといよいよ終盤戦。

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植生の乏しい岩肌に沿ってひと気のない心細い登山道が伸びていて、谷の向こうの玉子茶屋の人だかりとのコントラストの差がすごくて、なんだか幻か蜃気楼でも見ているような気になってきます。

一頻り下っていくと整備された遊歩道に合流します。
この道はかつて大涌谷を一周していた散策路の一部のようですが、途中で斜面崩落があったらしく、現在は大涌谷のレストハウスの方へ行く方しか通行できないようになっていました。

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遊歩道の途中、所々に火山科学館がまだやっていた時に設置されたと思われる大涌谷についての解説板が残っていて、それを見ながら歩いていくと面白いです。

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それによると、大涌谷は火山ガスの影響で植物が育たず、また岩でさえも劣化させてしまうので、山崩れが絶えず、それを防ぐための治山工事がずっと続けられいてるそうです。

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遊歩道を歩いていくとやがて鉄の門扉があり、扉の反対側はレストハウスの敷地です。

今回の全ルートのGPSログ

Posted by gen_charly