川越散策・宝登山【2】(2013/11/02)

再び、蔵造りの通りを同行者が興味を持った店を冷やかしつつ、ブラブラと進む。途中、建物のちょっとしたスペースなどで何某かのアーティストが何某かを披露している。
それぞれの背後にはペットボトルで作った電飾オブジェが飾られていて、これがこの祭りの一つのテーマになっているようだ。

演奏(とか歌声)は、コメントに困るような微妙な面々ばかりで、そういう所も文化祭っぽい。

そのまま歩いて行くと、遠くから太鼓を打ち鳴らす音が聞こえてきた。その一糸乱れぬ打ちざまに、これは見ものだと思って、音のする方へと歩いていくと、音の出どころはスピーカーだった。。。
道着を身にまとった若者が舞台の上で対峙し、太鼓の音をバックにこれから何かの演舞を始めようとしている所だったが、余り興味をそそられなかったので素通り。

すぐ先の路地を入ってみると、その先に長喜院というお寺がある。

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ここもライトアップされており、こちらは境内も解放されていたので、拝観がてらお参りを済ませる。
さらに歩いて埼玉りそな銀行の前まで来ると、ここにもペットボトルオブジェが煌々と辺りを照らしていた。

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脇の埼玉りそな銀行の入口の前で、ピアノとチェロのデュオが曲を披露している。

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この2人はこれまで見てきた他のアーティストと比べるとだいぶアダルトな雰囲気で、その円熟味ある演奏に静かに耳を傾けていると、何とも心地よい気分になれた。

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ちなみに、この埼玉りそな銀行の建物はこの辺の建物からすると若手であるものの、それでも大正7年に第八十五銀行の本店として建てられたものだというから、間もなく100年選手になろうかとしているビルである。
瀟洒なつくりで、数々の意匠が施されており、既に周囲の蔵造りの建物に負けない威厳を醸し出している。

また昔話だが、自分がまだ学生だった時分には、川越から坂戸市の東部を経由して坂戸駅まで走るバスが1時間に1本程度走っていた。川後へ行く時には良くそのバスに乗っていたのだが、当時の車窓から見えたこの通りの風景はただの古臭い町並みでしかなかった。
この建物もまた、そんな古臭い建物の一つという印象しか持っていなかったのだが、こうやってライトアップされた姿を見ると、気品すら感じる。見る目が養われてきたのもあるのかもしれないが、まぁ、現金なものだ。

さらに余談。地元と川越を行き来する場合、東武東上線の若葉駅までバスで出て、そこから東上線で川越駅に向かうのが、本数も多く時間的にも一番早い。にもかかわらず、川越まで1時間近くかかるこのバス路線をなぜわざわざ利用していたのかというと、まぁ、一言でいえば親の教えである。おそらく乗り換えで迷ったりする事を避けるために、時間がかかっても1本で行けるバスを使わせた方が安心と考えたのだろう。

三つ子の魂何とか、ではないが、自分で分別がつくような年頃になってからも、このバスは結構利用していた。1本で川越へと行ける便利さもさることながら、わざわざ利用していたのには理由があった。

1時間に1本しか来ないような路線なので、まぁ閑散路線だった訳だが、そこを走るバスは主要路線からのお下がりと思われる、床が板張りのクラシカルなバスが多かった。

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ちょっと違うのだが、だいたいこんな感じのバスである。

最前列の椅子に陣取ると、運転手の挙動や機器類の動作する様子がよく見える。その古いバスは、スピードメーターのワイヤーが弱いのか、メーターの針は常にプルプルと震えていた。その挙動が新鮮すぎて、これを見たいがためにわざわざ乗っていた、というしょうもない理由である。

そのくせ、車酔いをしやすい体質だったので、ニス塗りの木の床が放つ独特の臭いにやられてしょっちゅうバス酔いをしていた。だから車酔いを防ぐためにも最前列に乗る必要があったのだ。

話を戻そう。
演奏は心地よく、2曲ほど続けて聞き入ってしまったが、カミさんは飽きてきたようだったので、再び先に進む。というか、そろそろ夕食の時間である。川越にはコレ、というグルメがない。何食べようかと考えているうちに、ふと川越B級グルメの一つである太麺焼きそばを思い出した。

よく知られているのは近くにある蓮馨寺(れんけいじ)という寺の境内にある屋台のものだが、流石に今の時間はやっていないだろう。他に食べられる店がないか探して通り沿いに一軒見つけた、、、のだが、セットメニューしかなく、1000円以上もする。焼きそばに札を出す気にはなれなかったので行かなかった。

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と、今度は山吉(やまきち)ビルの前に人だかりが出来ていた。
このビルもごらんの通り、実にクラシカルな建物である。昭和11年に山吉デパートとして開業し、昭和26年に閉店、その後丸広百貨店として営業していた。

丸広百貨店は、西埼玉在住の人なら知らない人はいないと断言できるほどの有名デパートである。
今はもうないと思うが、昔、東上線の川越駅の看板に、麦わら?帽子をかぶった女性のイラストが描かれていた。

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その女性を見るとなぜかいつも黒柳徹子さんに空目をしてしまうのだった。よく見ると全然違うのだが。
なので、個人的にはまるひろと言えば黒柳徹子さんなのであるw

また話が脱線した、というかしてばっかりだ。。。
で、この人だかりだが、周りにいる人の会話を聞くとはなしに聞いていると、どうやらこの建物を使った、プロジェクトマッピングをやるらしい。

それを聞いたカミさんが見たいといいだした。次の公演を調べるとまだ20分くらいあったので、もう一頻り付近を散策してから戻ってきた。

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やがて、開始前のアナウンス。

「写真を撮ってもよいですが、暗いからと言ってフラッシュを炊くと映像が写真に残りませんので、フラッシュは炊かないでください。」



プロジェクターで投影するのだから当たり前だが、やっぱり暗いとフラッシュ、となってしまう人が結構いるのだろう。

そして、ビート感のある音楽にのせて、建物に映像が投影され始める。
この建物の形をモチーフにした映像が投影されていく。最初のうちは建物の色が変わったり、ツタが絡まったり、といった感じの映像だったが、そこまではジャブであった。
次の瞬間、建物の一部分が回転し始めたり、ぼこぼこと出っ張ったり引っ込んだりし始める。映像によるものだとわかっていても、本当に建物が動いているように錯覚してしまう。

プロジェクトマッピングは初めて目にしたが、こんなに衝撃的なものだったとは。

残念なのは、撮影時にフラッシュを炊く人が思った以上に多かったこと。その都度投影された画像が白く抜けてしまい、没入感に水を差す。

というか、話聞いてました??

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映像は5分ほどで終了となった。世界観に引きずり込まれていたので、あっという間だった。

もう、いい加減程よい時間になってきた。明日の山登りもあるので、この辺で散策は終了しよう。
自分は人混みが苦手なので、お祭り開催中と聞いた時は、正直うんざりしたのだが、ライトアップされた蔵造りの街並みやお寺などの美しさは、自分の知らない川越を再発見させてくれたような気がする。そういう意味では偶然とはいえ絶好のタイミングで来れてラッキーであった。

まぁ、川越観光という割に、蔵造り資料館喜多院くらづくり最中ホームラン劇場もすっ飛ばしている。その辺はまの機会に。

Posted by gen_charly